三国ボートで起こった負の連鎖 ツキに見放されたのは昼寝のせい!?
福島から北陸道をゆく「旅打ち」
第7回:芦原温泉で迎える至福の時
土地のモノを肴にして嗜む晩酌も「旅打ち」の醍醐味のひとつ
芦原温泉2日目は、今回の「旅打ち」がスタートして5日目。
朝起きて、まずはたまった洗濯物を洗うために近くのコインランドリーへ。これで、気分がすっきりした。
その帰り道、コンビニで朝食用のパンとコーヒーを買って、宿に戻ってから食べる。それから少し雑用をこなし、仕事と私用のための連絡を何本かとった。
全国的に「猛暑」がニュースとなっているが、ここ北陸もかなり暑い。連日、最高気温は36度くらいある。
その暑いなかを歩いて、この日も三国ボートレース場へ向かう。ボート場の左脇の坂道に弁天様の祠があったので、「今日も勝たせてください」と願かけして入場した。
10時前には着いて、第5レースから舟券を買う。いきなり、3連単1600円の配当が的中した。
昨日のラッキーが、まだ続いていそうだ。いや、先ほどの弁天様の願かけが効いたのか。早速、祝杯とばかりにビールを飲んでノドを潤した。
最初のレースを当てて、幸先のいいスタートをきったが...
すると、今飲んだビールが早くも効いたのか、急に睡魔に襲われた。
三国ボートレース場は、室内の観覧席が大きくて、適度に冷房が効いている。しかも、ギャンブル場にしてはとても静かなのだ。
都心近郊のボートレース場であれば、ほぼ毎レースごとに歓声や罵声が飛んでいるものだが、ここではそういった声が上がることがほとんどない。場内に何件かある予想屋も、客寄せの口上などをがなり立てることなく、静かに予想を売っている。
このおとなしさは、どこかおっとりしたイメージの、県民性によるものなのか......。いずれにせよ、居眠りをするにはもってこいの環境だった。
ボートレース三国のイメージキャラクター「カニ坊」
ウトウトした状態から目が覚めたのは、第7レースの少し前。そのレースは"見(ケン)"として、次の第8レースから勝負することにした。
ただ、今思えば、この昼寝中の第6、第7レースを見送って間隔をあけてしまったことが、この日のツキに微妙に影響したかもしれない。
迎えた第8レース。内側3艇の勝負と見て、1−2−3の3連単ボックスの舟券を買う。
スタートして1マーク(第1ターンマーク)を回ると、なんと3−1−2の順番で走っているではないか!? 2周2マークを回っても、その隊列は変わらない。
このレース、1番人気は最も腕がいいA1級の2号艇。これが頭なら大した配当にはならないが、ボックスで買った3艇のうち、3号艇は最も人気がない。さらに、1番人気の2号艇は3番手に甘んじている。
このままいったら、かなりの配当がつくはず。そう思って、こっそり発走直前のオッズを見てみると、なんと72倍だ! 今晩はエビに、カニに......と、妄想が止まらなくなった。
ところが、である。
最終マーク付近で、2番手を走っていた1号艇と3番手の2号艇の差がわずかに迫った。そこで、チャンスと見た2号艇が1号艇を外から抜きにかかる。
その瞬間、2号艇はターンミスして大きく外に膨れ、4番手を走っていた6号艇にも抜かれてしまう。終わってみれば、3−1−6の万舟券。今夜のエビも、カニも、幻と消えた......。
これが、この日の不ヅキの始まり。
第9レースでは、この選手だけはいらないと見た3号艇が3着入線。第10レースでは狙った5号艇がまったくの舟券外で大ハズレ。こうなるともう、負の連鎖は止まらない。
続く第11レースもハズレた。最終の第12レースこそ当たったが、小銭程度のプラスでしかなかった。
すべてのレースが終わって、ファンはボートレース場からただちに締め出される。だが、三国ボートはモーニング開催ゆえ、時間はまだ14時半にもなっていない。
満たされない思いを抱えて外に出ると、駐車場の外に場外の舟券売り場があるではないか。ネット口座に残っていた3000円を元手に、浜名湖ボートのG2戦にチャレンジした。
3レースやって3レースとも的中。三国ボートでの負けを取り返した。
悪いツキを払拭。何より気持ちが晴れてよかった。
意気揚々と宿に戻り、再び半額券を片手に温泉施設『セントピアあらわ』に行って、ゆっくりと汗を流す。その後は、近くの三国港で揚がった海のモノを食べさせてくれる居酒屋へ直行した。
地元でしか食べられないというガスエビ
三国港直送のおこぜと、地元でしかなかなか食べられないというガスエビを肴に地酒をいただく。至福の時とは、こういう時を言うのだろう。
トドメは、三国産のめぎすの天ぷら。これも、いけた。日本海の幸を堪能し、夢心地だった。
私は、旅が好きで、温泉はもちろん好き。飲兵衛で、地酒に目がなく、その土地土地の旨いものにも目がない。加えて、ギャンブル好きだ。
そんな私にとって、三国ボートを取り巻く環境は、望んでも望みきれないほど、すべてのものがそろっている。居酒屋をあとにして、宿までの帰り道にて、しみじみと思った。
「あぁ〜、帰りたくない」
(つづく)