関西の「実現してほしかった未成線」ランキング発表 3位は「阪急新大阪千里環状線」…1位＆2位は？ 1100人調査
LIFULL（ライフル、東京都千代田区）が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」が、計画されながらも実現されていない鉄道路線「未成線」に関する調査を実施。その結果を、「実現してほしかった未成線ランキング（関西編）」として発表しました。
1位は「遅延が減りそう」の声も
調査は2023年7月11日から同月13日、京都府、大阪府、兵庫県在住の20〜60代の男女を対象に、インターネットリサーチで実施。関西の主要な12の「未成線」について、1100人から有効回答を得ています（複数回答形式）。
3位は、北摂エリアを一周し、新大阪駅へ向かう「阪急新大阪千里環状線」（338票）。阪急宝塚本線や京都本線の混雑緩和や、新幹線が発着する新大阪駅へのアクセスを目的に計画した路線によって形作られた、大阪北部の千里ニュータウンや新大阪駅を循環する環状線の計画です。実現していれば、北摂エリアの東西方向の移動や、阪急沿線から新大阪駅へのアクセスが便利になっていたと考えられます。既にほとんどの区間で鉄道の敷設に必要な免許が失効し、環状線は未成線に。しかし今も一部区間の免許が維持されており、2031年に「新大阪連絡線」の開業を目指しています。
回答者からは「ずっと十三から新大阪に行けたらいいのにと思っていた」「阪神間から新大阪駅に行く場合、かなり遠回りしている。阪急の計画では、移動時間を大きく短縮できる」「北摂地方では、それぞれの路線がつながっていないので、つながることのメリットが大きい」といった声が寄せられました。
2位には、大阪から有馬温泉へのアクセスがスムーズになる「箕面有馬電気軌道（現：阪急電鉄）有馬線」（345票）がランクイン。かつて、宝塚と有馬を結ぶ鉄道を計画していたという、阪急電鉄の前身である箕面有馬電気軌道。有馬には、日本三古泉の一つ「有馬温泉」があり、大阪からは電車で神戸または三田を経由してアクセスできますが、この路線が実現していたら、大阪から有馬温泉へ直線的にアクセスできていたことになります。なお、箕面有馬電気軌道は箕面や宝塚温泉などへの遊覧客を乗せる鉄道として建設されましたが、沿線の住宅開発を成功させたこともあり、有馬線の計画は取り下げられたとのことです。
実際、有馬温泉へのアクセスについては不便や不満を感じる人もいるようで、「有馬温泉は近いが、なかなか行きにくい」「既存路線は通勤色が強く観光気分にならない。新線に観光特急を走らせてほしい」「宝塚方面からも行けると便利で需要がありそう」といった声が聞かれました。
そして、1位となったのは、大阪市中心部と関西国際空港がリニアモーターカーで結ばれる「関空リニア構想」（393票）でした。実現すれば、現在30分以上かかる大阪市中心部〜関西空港間が、10分台でアクセスできるようになるとされていた同構想。しかし、新たに関空アクセスを担う新線「なにわ筋線」の計画が進み、この構想が具体化することはありませんでした。
回答者からも「空港の利用がはるかに便利になる」「海外から訪日した方に日本の技術をアピールできる」「関空専用路線で運用してもらえればアクシデントや事故による遅延が減りそう」とポジティブな意見が寄せられる結果となりました。
調査結果を受けて、関西を拠点に活躍する鉄道系YouTuberの西園寺さんは「4位にランクインした『京阪梅田線』構想では、昔にこんな路線が計画されていたというだけでなく、梅田乗り入れを実現するために京阪が設置費を負担した『京阪電鉄乗越橋』などの遺構が現在でも残っています。先人が考えた路線の未来が目に見える形で残されている、鉄道ファンとしてはこれ以上のロマンはありません！」「今回ピックアップされた路線の他にも未成線はたくさん存在します。案外、皆さまの最寄り路線の近くにもその構想の名残が残っているかも？ かつて先人が思い描いた“未来”に思いをはせてみるのも良いかもしれません」とコメント。
また、LIFULL HOME’S PRESS編集部の渋谷雄大さんは「関西空港は伊丹空港の廃港も念頭に計画されましたが、伊丹空港は存続し、現在は両空港が併用されています。しかしそうなると、伊丹空港と比べて関西空港の都心からの遠さが際立ってしまうものです。1位となった幻の『関空リニア構想』は、そんな不便を解決してくれそうな、希望を与えてくれる未成線です」「2〜5位の未成線も、『こことここがつながっていたら』『あともう少し伸びていたら』という、かゆいところに手が届く未成線がランクイン。それは、既に関西では便利な鉄道ネットワークが構築され、鉄道だけでどこへでも行ける社会だからこそ生まれる願いともいえます」とコメントを寄せています。
