厳選!2歳馬情報局(2023年版)
第10回:サフィラ

 今春の3歳牝馬クラシックで二冠を遂げたリバティアイランドをはじめ、夏の新潟開催でデビューし、その後に出世を果たした馬は数多くいる。そして今年も、将来を嘱望されている素質馬がこの夏の新潟でまもなくデビューを迎える予定だ。

 栗東トレセンの池添学厩舎に所属するサフィラ(牝2歳/父ハーツクライ)である。


GI馬のサリオスを兄に持つサフィラ

 同馬の母はGIディアナ賞(ドイツオークス)を制したサロミナ。兄姉にも重賞戦線で活躍した馬が多数いる、まさに屈指の良血馬だ。

 優秀な兄姉のなかでも、特に際立った戦績を残しているのは2017年生まれの全兄サリオス(牡/父ハーツクライ)。デビューから3連勝を飾って、GI朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)を制覇した。

 3歳になってからも、クラシック戦線で奮闘。三冠馬コントレイルと真っ向勝負を繰り広げて、GI皐月賞(中山・芝2000m)、GI日本ダービー(東京・芝2400m)で、いずれも2着と健闘した。

 その後は、マイル・中距離路線の重賞で活躍。GIを勝つまでには至らなかったが、3歳秋と5歳秋にGII毎日王冠(東京・芝1800m)で勝利を挙げている。

 サリオスの他にも、2015年生まれの姉サラキア(牝/父ディープインパクト)、2019年生まれの姉サリエラ(牝4歳/父ディープインパクト)が重賞戦線で躍動。サラキアはGII府中牝馬S(東京・芝1800m)で初の重賞勝ちを決めたあと、GIエリザベス女王杯(阪神・芝2200m)、GI有馬記念(中山・芝2500m)で2着と好走した。

 一方、サリエラはいまだ重賞勝ちこそないものの、GIIローズS(中京・芝2000m)で2着、GII目黒記念(東京・芝2500m)でも3着と善戦。今後のさらなる飛躍が期待されている。

 そうした兄姉の活躍もあって、多大な注目を集めるサフィラ。現在は初陣となる8月5日の2歳新馬(新潟・芝1600m)に向けて調整を進めているが、陣営の評価はどうなのか。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「今週の調教では、レースでもコンビを組む松山弘平騎手が騎乗。走りを見守った厩舎スタッフは『しっかり動けていた』と高い評価を下していました。

 さらに、『430kgほどの馬体重ですが、体が柔らかくて、上質なバネを持っている』とスタッフ。『いい馬です』と素直に褒めていました」

 トラックマンによれば、気性面についても「陣営の口ぶりからは不安はなさそう」とのことだ。

「ゲートについて陣営に話を聞くと、『先週も試しましたが、まずまず速かったですね』と確かな手応えを感じているようでした。続けて、『気性についても、気になるところはありません』と話していました。

 細かい点で課題を挙げるなら、『走っている時に、体が上ずって伸び上がるような傾向がある』と言っていましたが、『今週の調教を見る限りは心配ない』そうです。デビューへ向けて"体勢は整った"と言っていいでしょう」

 有数の血統馬とあって、多くのファンがその動向を注視しているサフィラ。新潟デビューから出世街道に乗ることができるのか、注目である。