「未来がない恋愛」「結婚には興味なくなった」…不倫の果てに「婚活」した2人の女性、それぞれの“異なった結末”
最近ネットニュースで、有名人の不倫が話題になっています。不倫が報道されれば、芸能人や実業家の場合、仕事や人気を失うことになります。金銭的にも大きな損害を被るのに、不倫は後を絶ちません。
そして、有名人に限ったことではなく、一般社会にも不倫をしている人たちはたくさんいます。仲人である筆者が運営する結婚相談所へ、入会面談にやってくる人たちの中にも、不倫経験者や現在進行形の不倫をしている人たちがいます。今回は、不倫を経験した女性たちが、どう婚活と向き合ったのかを見ていきましょう。
2年半の不倫に決別し婚活、成婚した35歳
太田あやこさん（35歳、仮名）は入会面談に来たときに、こんなことを言いました。
「7つ年上の会社の上司と2年半、不倫をしていました。最初は、『好き』という感情が抑え切れずにお付き合いしていましたが、先日35歳になって、われに返ったんです。彼はおそらく離婚しない。こんなことをしていたら、あっという間に40歳になってしまう」
不倫がスタートしたのは、あやこさんが同じ部署の先輩女性から日常的につらく当たられ、それを上司に相談したことがきっかけでした。
「会社終わりに食事に誘われて、お酒を飲んだら緊張感が緩んだのか、私が思わず涙を流してしまったんです。そのときに、『仕事ができる太田さんに嫉妬しているんだから、気にするな。これからは、僕も目を光らせているよ』と、優しい言葉をかけてくれて」
食事を終えて、駅まで向かう道すがら、また涙をこぼしてしまったあやこさんを、上司は優しく抱きしめ、キスをしてきたといいます。
「そこで恋に落ちてしまいました。駅で別れたものの、帰りの電車の中も、家に帰ってからも、ずっとキスされた瞬間のことを思い出していました」
その日から、気が付けば会社の中で上司の姿を追うようになっていました。そんなあやこさんの気持ちに、上司も気付いたのでしょう。というよりも、そもそもこの関係は、既婚の上司があやこさんと浮気をしたかったのではないでしょうか。上司は、仕事終わりにまたあやこさんを食事に誘い、その日はホテルにも行って、男女の関係になりました。
「不倫はいけないこと、未来がない恋愛だというのは分かっていましたが、『好き』という気持ちが止められませんでした。32歳だったし、今は気持ちに任せて恋愛をしよう。この気持ちが落ち着いたら、次の展開を考えようと、自分に都合よく言い聞かせていました」
あやこさんは、「男性を好きになると、とことん尽くしてしまうタイプ」なのだとか。
「私との不倫が周りには分からないように、彼に余計なお金を使わせないようにと、デートはもっぱら私の1人暮らしをしているアパートになりました。私が手料理を作って待っていると、彼がワインやビールを買ってやってくるというパターンでした」
女性の場合、仲の良い仲間で集まると、恋愛話で盛り上がるのが常です。当時、上司に夢中だったあやこさんは、不倫していることを打ち明けました。すると、そのときの友人たちの反応はさまざまでした。
「反応は3パターンでしたね。まずは、『ふうん、そうなんだ』と聞き流すタイプ。『今はいいかもしれないけど、不倫していたら後で後悔するんじゃない？』とやんわり注意するタイプ。『不倫をしているあなたを軽蔑する』と否定するタイプ。否定してきた友達とは、自然と連絡を取らなくなっていました」
そして、「不倫に決別しよう」と思ったのは、既に結婚していた2つ下の妹の妊娠が分かったことと、35歳の誕生日が来たことがきっかけでした。
「私の実家は地方なので、結婚が早い。妹も、地元の男性と25歳のときに結婚しました。既に子どもが2人いて、3人目を妊娠したんです。妹は着実に家庭を築いているのに、私は未来のない恋愛をしている。このまま不倫を続けていたら、40歳を過ぎたときに後悔すると思ったんです」
さらに、不倫が始まったばかりの盛り上がっていた情熱はなだらかになり、ここ半年くらいは「他に誰かいい人がいないか」と、出会いの場にも出ていくようになっていたそうです。
「でも、この年になると、結婚を前提にお付き合いできる男性とは、なかなか巡り合えない。そんなときに、友達の友達が『結婚相談所で結婚をした』という話を聞いて、私も相談所で婚活してみようかと思ったんです。結婚するには、「結婚したい」と思っている人に出会うことが、一番の近道ですから」
そして、結婚相談所に入り、お見合いを始め、5人目にお会いした与田よしおさん（37歳）と成婚をしていきました。
始まったばかりの不倫を断ち切るのは、難しいかもしれません。相手を好きだという気持ちが、「不倫はいけないこと」という道徳心を上回ってしまうから。でも、その情熱が落ち着いたときに、思い切って別れを決断する。ずるずると不倫を続けていたら、年を重ねて過去を振り返ったときに、取り返しのつかない後悔することになると思うのです。
婚活を始めたけれど、不倫に戻った47歳
内田みさえさん（47歳、仮名）は、1年ほど前に結婚相談所で出会った男性と成婚し、結婚生活をスタートさせました。ところが、1年たたずに離婚となりました。
「半年を過ぎたあたりから、『いつ離婚を切り出そうか』と思っていました。実は、一緒に暮らすようになって1週間で、もう息苦しくなっていました」
結婚した久保まさるさん（47歳、仮名）は、自分の意に沿わないことがあると、すぐに不機嫌になり、時には大声を出したり、物に当たったりする人でした。
「全てを自分ルールで判断する人。例えば、休日に2人で午前10時に出かけることになっていて、その時間までに私の用意ができていないと、それで不機嫌になって、その日の外出は中止になる。朝、『今日は何時に帰ってくるの』と聞かれて、それよりも帰宅が1時間遅くなったときには、玄関を入った途端に怒鳴られました」
さらに、お金にも細かかったといいます。
「電気のつけっ放し、水道の出しっ放しには、すごくうるさかった。一緒にスーパーに行くと、食べたいものを買うのではなく一番安いものを買う。高い、安いにこだわるので、一緒に買い物に行くのがだんだんとおっくうになりました」
結婚生活がほとほと嫌になっていたとき、高校時代の同窓会がありました。参加すると、当時付き合っていた元彼もいました。現在、大手メーカーに勤務している彼は、30歳のときに結婚し、2人の娘さんの父親になっていました。
「有名私大から今のメーカーに就職して、部長職に就いていました。2次会で隣の席に座っていろいろと話しているうちに、『今度、2人で飲みに行こうよ』と誘われました」
そして、飲みに行き、現在の不満だらけの結婚生活の話をしているうちに、彼もマンネリ化した結婚生活への不満を漏らし、その夜は2人でホテルへ。その日を境に、W不倫がスタートしました。
「時間にもお金にも寛容な彼といると心地よくて、今の結婚生活が余計に息苦しいと感じるようになりました」
そして、夫には内緒で家を借り、ある日を境に夫とは別居。どこに家を借りたかは夫に告げず、別居から3カ月後に離婚を申し出て、離婚となりました。
ただ、離婚をして独り身になってみると、不倫している彼とのバランス関係が悪くなっていきました。
「スタートしたときの関係は、お互いに家庭のあるW不倫。ところが、自分が独身に戻ってみると、既婚の彼が家庭を優先させることに、ヤキモチを焼いている自分がいるんです。心のどこかで、彼が離婚してくれないかな、と思うことも。彼とは考え方も合うし、体も合う。これからもいい関係で付き合っていくなら、私が再婚した方がいいと思ったんです」
そして、スタートした婚活でした。ところが、婚活市場にいる男性は、女性とのコミュニケーションが苦手な人が多く、デートをしても女性をうまくリードできない。食事やお茶をする気の利いたお店も知らなかったり、その支払いがきっちり割り勘だったりと、不倫の彼と比べると見劣りしてしまう人たちばかりでした。
結婚相談所で10カ月間、活動をしていましたが、お見合いした男性と「仮交際」に入っても、1、2度会うと、みさえさんから交際終了を出していました。結局、不倫の彼以上に好きになれる男性は、現れなかったのです。そして、こんな言葉を残して、退会していきました。
「私、結婚には興味がなくなりました。結婚しなくても、気の合う人たちに囲まれて笑っていられる人生の方が楽しいって気付きました」
本当にそうなのでしょうか？
夫婦や家族は、何があっても縁が切れるものではありません。しかし、友人関係、恋人関係というのは、相手の気持ちが変われば、関係は簡単に終わってしまうのです。
人はなぜ不倫をするのか
道徳的にしてはいけない恋愛の形だと分かっているのに、人は不倫をします。不倫は犯罪ではないので、不倫していたからといって逮捕されたり、刑罰に処されたりすることもありません。ですが、不法行為なので、今回のようなケースは『された側（妻）』が、夫と不倫相手の両方に慰謝料請求をすることができます。
燃え上がっている最中は、好きな感情や情熱を止めることはできないのでしょう。不倫をしている当人たちは、不倫を肯定する言い訳を自分の中につくります。しかし、最大値だった感情や情熱は、時の経過とともに、なだらかに下降していきます。それが落ち着き、平坦になったときに、客観的に不倫の恋愛を見つめ直すことも大切ではないでしょうか。
不倫は、当事者たちにとっては純愛なのかもしれませんが、それによって傷ついているパートナーや子どもがいることを忘れてはいけません。
もしも今、不倫をしている人は、1例目のあやこさんのようにそれを断ち切って、結婚できる新しいパートナーを探すために、婚活をしてみたらいかがでしょうか。
ただしそのときは、不倫相手は断ち切ることです。そこをつながったまま、婚活をすると、2例目のみさえさんのように、結婚できる相手に巡り合えなかったときに、さらに不倫の沼にハマっていく結果になります。
