大人になる年齢が20歳から18歳に変わり、18歳からいろいろな「契約」が可能となったことで、その分トラブルに見舞われるケースは増えると言われています。大人になる前から法的な知識を習得しておく必要があります。そこで必要なのが「民法」です。『もうすぐ大人になる君が知っておくべき13歳からの民法』(扶桑社刊)の著者である司法書士の岡信太郎先生に詳しく教えてもらいました。

大人になってからのトラブルを防ぐために、子どもが覚えておきたい民法

じつは「大人は18歳から」というのも「民法」によって決められています。

「法律には、民事訴訟法、刑法、少年法、刑事訴訟法、消費者契約法などさまざまなものがありますが、お子さんが大人になったときにいちばん関係してくるのが『民法』です。民法には大人になったときに、仕事やお金に関するルールが決められているからです」と話すのは、司法書士の岡信太郎先生。では、実際の生活の中で民法がどのようにみなさんを守っているのかを岡先生に解説してもらいました。

●他人の写真を勝手にSNSにアップした場合

SNSを使ったコミュニケーションが当たり前になりました。

「写真を勝手にSNSにアップする行為はじつはアウトです。私たちには、自分の顔や姿を無断で撮られたり、それを勝手に公表されたり利用されないための『肖像権』という権利があります。相手に無断でSNSに写真をアップする行為は、そうした肖像権の侵害になります。また、個人的な生活に関する情報を、他人が勝手に公表することは許されないとされています。さらに、一方的にウワサを広めたりすることは、プライバシーの侵害に当たり、損害賠償を請求されるような民法上の責任だけでなく、刑法上の責任を問われることもあります」

●傘を差しながら自転車に乗り、相手にケガをさせた場合

梅雨のこの時季、傘を差しながら自転車に乗る人も多いと思います。また、スマホを見ながら自転車に乗る人も見たことがあるのではないでしょうか? もし前方をしっかり見ないで相手にぶつかって大ケガをさせてしまった場合はどうなるのでしょう。

「わざとでなくても、自分の不注意で他人にケガをさせてしまった場合は『不法行為』となり、これによって生じた損害に対してお金を支払わなければなりません。ここでいう『不注意』とは、被害が起こると予想でき、それを避けようと思えば避けることができたのに、それをしなかったことをいいます。傘を差して運転していたら、明らかに“不注意”によって生じたことなので、相手にケガをさせてしまったら治療費などを支払わなければいけません。さらに“慰謝料”として心の傷に対する支払い責任が発生することもあります。ですから、自転車に乗る際は、前方をよく確認し、スピードを落とすなり、歩道では降りて自転車を押すことが求められます」(岡先生)

 

大人になるということは、こうした「責任」を負うことになります。

「民法は大人の世界のルールブックともいえるのです。民法を学べば、論理的な考え方、権利と義務といったようなバランス感覚、高い倫理観が自然と身につきますよ」と岡先生は言います。

そして民法は、親であるみなさん自身にとっても必要な知識です。

「大人になる」とはどういうことなのか、「大人の責任」とは何なのかについて、親子で一緒に学び、話し、考えてみませんか?

 

『もうすぐ大人になる君が知っておくべき13歳からの民法』(扶桑社刊)は発売中。