今まさに梅雨の季節。不安定な天候が続きます。こんなとき、体調不良を起こす人も多いのではないでしょうか? 「天気痛」とも呼ばれるこの症状を少しでも軽減するために普段取り入れたいことを、うつメンタルコーチで公認心理師の川本義巳さんにうかがいました。

「天気痛」はうつと似ている?症状を少しでも抑えるコツ

今年も各地で大雨や暴風雨など、大荒れの天候に悩まされています。電車はもちろんのこと、高速道路も通行止めになるなど、生活に支障をきたした人も多かったのではないでしょうか。また、そういった大雨の日があったと思えば、急に真夏並みの猛暑日になったりと天候の移り変わりも激しかったです。それに伴い、「体調がすぐれない」という声も今年はいつもよりたくさん聞いたように思います。

●「天気病」の症状とは?

かくいう私も、この時季は体調不良に悩まされています。もともと天候や気圧の変化で調子を崩すことがあったのですが、今年は少しがんばりすぎたツケが回ってきたのもあって、結構しんどい症状が長く続きました。こうした天候が影響した体調不良のことを「天気痛」と呼ばれます。

もちろん、こういった症状を感じる人は昔から多くいました。ただ「天気痛」という名前を聞いたのは最近のように思います。それだけ最近の気候変動でこの症状を実感する人が増えているからなんだろうなと思います。市販薬も販売されているようです。

天気痛の症状は多岐にわたりますが、主なものとしては下のようなものがあります。

(頭痛・めまい・倦怠感・関節痛・耳鳴り)

この他にも咳が続いたり、アレルギー反応が出る人もいるようです。

経験された方はわかると思いますが、調子が悪くなると、「そろそろ雨が降るかも」という前触れを感じることもあります。

天気痛の原因は、内耳が気圧や天候の変化を感じ取りそれを脳に伝達することで起こるという説がありますが、確かに起こっている症状は自律神経のアンバランスで起こるものと同じなのでうなづけます。予防策や緩和法として耳のマッサージ、耳を温めるなどがありますね。

●天気病の症状は「うつ」と似ている?

さて、この天気痛ですがひとつ気になる点があります。

それはうつ病や抑うつのときの症状によく似ているということです。一度うつ病や抑うつを体験された方は、そのときの感覚を覚えているため、天気病の症状が出るとそのときのことを思い出してまいます。そのため、気候が不穏になることで、再度うつの症状を引き起こしてしまうこともあります。

また、これとは逆に、天気痛の症状が長引くことで、うつ状態になってしまう可能性も十分に考えられます。

そうならないためにどうすればよいでしょうか?

●うつ症状を避けるために、普段からできること

私がよくアドバイスしている点はこの3つです。

(1) 深く呼吸をする

呼吸が浅くなると自律神経のバランスが崩れやすくなります。実際、うつ状態の人は呼吸が浅い人が多い印象があります。また背中が丸くなっていたり、うつむく姿勢が多くなっていると胸骨が肺を圧迫するため、自然と呼吸が浅くなります。背筋を伸ばしてゆっくり深呼吸をするようにするとよいでしょう。

(2) 睡眠をしっかりとる

睡眠が不規則になると自律神経は乱れやすくなります。特に天気痛になりやすいこの時季は早めに就寝するように心がけるとよいでしょう。寝つきをよくする方法はいろいろと紹介されていますが、私が実感したものとしては「寝る前に乳製品を摂取する」というものです。牛乳やホットミルクがよいと言われていますが、私の場合は、寝る前にヨーグルトを食べるようになってから寝つきがよくなったような気がしています。

(3) 体を冷やさない

冷えは自律神経の大敵です。特に日中エアコンの効いた部屋で過ごしている方は、外気との温度差が大きいので調整が難しくなります。とはいえ現代社会で環境を変えるのは難しいですから、なるべく温かいものを食べたり飲んだりすること、シャワーではなく湯船につかることを心がけるとよいでしょう。

天気痛は梅雨〜台風のシーズンにかけて発症することが多くなります。なるべく自分に負担をかけないように日頃から呼吸・睡眠・冷え対策を意識しましょう。またストレスも自律神経にとっては悪影響を及ぼしますので、リラックスすることを日常のルーティンに取り入れることもおすすめします。