凋落した岸田文雄が最後にすがるのは「母校・開成高校出身者」という超露骨な霞が関人事

写真拡大

 岸田文雄首相というと、6月18日の母校・早稲田大学での講演で「受験で失敗を繰り返し、早大に入学した」と述べて、「私学の雄」として誇りを持つ早大生や早大OBから反発を招いた。ところが同じ母校でも、東大合格者数首位を40年以上続けている「私立開成高校LOVE」は尋常ではない。

 このほど霞が関で話題となったのは、財務省が首相秘書官を宇波弘貴氏から一松旬氏に交代させたことだ。宇波氏は1989年に入省、対する一松氏は1995年に旧大蔵省入省と、6期離れている。宇波氏は財務省に復帰し、官房長に就くが、一松氏はまだ主計局主計官にすぎず、首相秘書官を選ぶにあたり他省庁との年次を重視する財務省にあって、珍しい人事といえる。

「一松氏は『10年に一人の逸材』と言われ続け、国家公務員試験でも上位だったのですが、決め手は開成高校出身ということです」

 と内情を明かすのは、財務省関係者だ。岸田首相の政務秘書官の嶋田隆氏も開成高校出身で、1982年に通産省に入省し、事務次官などを歴任した。

 一松氏はこれまで、奈良県の副知事や主計局調査課長などを務めた。一松氏の名前は社会保障分野では有名だったが、昨年末の防衛費のGDP(国内総生産)比2%への大幅増額に向けて、新川浩嗣主計局長ととともに、法人・所得・たばこ税の増税で充当するなどの案を作成したことで、さらに知られるようになった。

 小渕恵三政権で建設政務次官になった時、岸田首相は旧建設省内に「開成会」を発足させたほか、安倍晋三政権の2017年には永田町、霞が関の開成出身者で「永霞会」を作り、初代会長に就いた。それほど岸田首相の「開成LOVE」は強い。母校愛では橋本龍太郎元首相の「麻布愛」が有名だったが、岸田首相ほど露骨な人事は発動しなかった。

 広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)でせっかく支持率を上げたものの、昨年末に公邸で親族を集めたドンチャン騒ぎの写真が明るみに出て、息子の翔太郎首相秘書官が引責辞任。マイナンバーカードをめぐる不祥事などで、内閣支持率が急落した。通常国会会期末の衆院解散・総選挙にも踏み切れず「落ち目」となっている岸田首相にとって、もはや母校開成出身の「秀才」に頼るしかないようだ。