この記事をまとめると

■トヨタのフラグシップモデル、センチュリー

■日本を代表するショーファードリブンだ

■それゆえ、あらゆる部分が「和」を感じるテイストになっている

ボディカラーへのこだわりが凄い!

 トヨタのフラグシップモデルであるセンチュリー。リヤシートに乗せる人を優先したショーファードリブンであるセンチュリーは、さまざまな部分に高級な装備が用意されている。また、日本を代表するショーファードリブンとしてあらゆる部分が「和」を感じるテイストとなっているのだ。そんなセンチュリーの和のポイントに注目してみよう。

 まずはボディカラーだ。センチュリーには4つのボディカラーが用意されている。一般的な呼び名で表すならば、ブラック、ディープブルー、あずき色、シルバーの4色だ。しかし、これらのボディカラーには日本らしい名称が与えられている。

 まずはセンチュリーと言えば多くの人がイメージするブラック。色品番は「225」だ。このボディカラーは「神威(かむい)」と名付けられている。ブラックはフォーマルなシーンで愛用されることが多いカラーだが、この神威は厳粛な場に相応しい伝統的で艶やかな漆黒感を追求しているカラーだ。一般的なブラックよりも深い黒で艶やかになっている。ちなみにこの神威。2018年に登場した現行型に合わせて新開発されたカラーで、7層もの塗装に研ぎと磨きを加えて奥深い艶と輝きを追求している。また、日本の伝統工芸である漆塗りを参考にして流水のなかで微細な凸凹を修正する水研ぎも3回行い、そのあとに鏡面仕上げをしているのだ。

 次にディープブルー。色品番は「8J9」だ。このカラーは「摩周(ましゅう)」と名付けられている。深いブルーはブラックと同様にフォーマルの場でも愛用される。そんな格調高く深みのあるフォーマルブルーのイメージを持っているのが摩周なのだ。実際に見る摩周はかなり黒に近く、その様子は上質なタキシードのミッドナイトブルーを思わせる。

 そしてあずき色を思わせるカラー。色品番は「3P6」だ。このカラーは「飛鳥(あすか)」と名付けられている。華やかで深みのある高貴な色であることから飛鳥という名称が与えられたそうだ。

 最後に紹介するのがシルバー。色品番は「1C0」だ。このカラーの名称は「精華(せいか)」。「そのものの本質をなすもっとも優れている点」や「美しくて華やかなこと」などを意味する精華だが、その意味のとおりで優美さと華やかさを兼ね備えたシルバーメタリックであることから、精華という名称が与えられている。

「和」の表現は内装にも

 和のテイストが用いられているのはボディカラーの名称だけではない。センチュリーには各所に和のイメージを表現したこだわりのアイテムが装備されているのだ。

 まず、センチュリーの象徴ともいえるフロントセンターの鳳凰エンブレム。これは工匠が、金型を約1カ月半かけて丁寧に手で掘り込み、躍動する翼のうねりや繊細な羽毛の表情を再現している。

 また、フロントグリル奥に七宝模様を配置して、前後二重構造を採用し品格のある華を再現している。

 インテリアにもセンチュリーならではのこだわりが表れている。まずショーファードリブンらしいと感じるのが、本杢のオーナメントで前後の空間を仕切っているポイントだ。運転手と後席の乗員を分ける仕切りを表現しているのがショーファードリブンらしい。そして天井には紗綾形崩し柄織物があしらわれており、日本らしさと格の高さを表現している。

 このようにセンチュリーが各所で和のイメージを採用しているのは、トヨタ、そして日本を代表するクルマであるというこだわりからだ。そのため日本の文化や伝統技能などを採用し、和のイメージを表現している。

 自動車というのは元々海外からやってきたものだ。そのため洋風なデザインや装備になるのは仕方ない部分もあるだろう。しかし、センチュリーは自動車のなかに上手く和の表現を取り入れている。それも悪目立ちしていなく、上品であるのが素晴らしい。センチュリーに取り入れた和の要素を見るとトヨタの表現力に感服するばかりだ。センチュリーの実車を見る機会があれば、そんな和の表現にも注目してみてほしい。