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識者による独自選考のJリーグ月間ベストイレブンを発表。5月は、サッカーライターの原山裕平氏が11人を選んだ。ストライカーを含め攻撃面で目立った活躍をした選手が多かったなかで、すばらしかったのは誰か。

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5月のJリーグは、攻撃面で目立った活躍をした選手が多かった

FW/大迫勇也(神戸)、キャスパー・ユンカー(名古屋) 
FW/鈴木優磨(鹿島)、武藤嘉紀(神戸) 
MF/ヤン・マテウス(横浜FM)、金子拓郎(札幌) 
MF/稲垣祥(名古屋) 
DF/森下龍矢(名古屋)、アレクサンダー・ショルツ(浦和)、関川郁万(鹿島) 
GK/キム・ジンヒョン(C大阪)

【攻守両面の貢献が高いDFたち】

 5月はストライカーの活躍が目立ったため、なんとも強引な布陣になったことはご容赦を。

 まずGKでは、最終ラインの背後をカバーする機動力を駆使し、川崎フロンターレの復調を導いた上福元直人も捨てがたかったが、5試合で2失点、3つの完封勝利を実現したキム・ジンヒョンのパフォーマンスをより高く評価した。

 セレッソ大阪一筋15年、今年で36歳を迎えるベテランは、チームに安心感をもたらす不動の守護神として、今季も輝きを放ち続けている。

 3バックとした最終ラインでは、アレクサンダー・ショルツの存在感が際立つ。ACL決勝があったため5月はハードスケジュールを強いられたが、浦和レッズの守備が安定感を保ち続けられたのも、このセンターバックの存在があったからだ。

 相棒のマリウス・ホイブラーテンも遜色ない働きを見せているが、13節のガンバ大阪戦で1得点1アシストを記録するなど、攻撃面にも関与できるデンマーク出身のDFがインパクトで上回った。

 関川郁万の存在も見逃せない。低迷していた鹿島アントラーズの復調は、この男が昌子源からポジションを奪い返した時期とピタリと重なる。力強い対応で相手の進入を防ぎ、パワフルなヘッドでクロスやロングボールを跳ね返す。12節のC大阪戦では決勝ゴールをマークし勝負強さも示すなど、鹿島のセンターバックの正統後継者として日増しに存在感を増している。

 名古屋グランパスの森下龍矢はウイングバックが主戦ながら、前目のポジションが渋滞してしまったため、かなり強引ながら3バックの一角を担ってもらう。90分間、上下動を繰り返せるスタミナはもちろん、力強い攻め上がりから良質なクロスを供給。

 14節のサンフレッチェ広島戦、15節の北海道コンサドーレ札幌戦と2試合連続でアシストをマークするなど、目に見える結果も残した。攻守両面で貢献度が高く、日本代表での活躍も期待される。

【圧巻の攻撃力、出色の活躍】

 ボランチは、豊富な運動量と力強いボール奪取で名古屋の堅守を支える、稲垣祥を選出。米本拓司と形成する2ボランチは、今季もリーグ屈指の堅牢さを誇る。前線に飛び出しチャンスにも絡むダイナモは、12節のG大阪戦で決勝ゴールをマーク。インパクトのある活躍を見せた名古屋のキャプテンは、上位争いを演じるチームを力強く牽引している。

 圧巻の攻撃力を示す札幌のなかで、出色の活躍を見せているのが金子拓郎だ。右ウイングバックながら4得点2アシストと、ストライカー級の結果を残した。持ち前の突破力に加え判断力にも磨きがかかり、単独でも連係からでもゴールに迫ることができる。

 新天地でブレイクを果たした浅野雄也とともに、スピード感あふれる札幌の攻撃サッカーに不可欠な存在となっている。

 左には横浜F・マリノスのヤン・マテウスを配置。右ウイングとして鮮烈な活躍を見せているが、この位置でも機能するはずだ(おそらく)。昨季加入したブラジル出身のドリブラーは、徐々に戦術理解を高め、初スタメンとなった11節のサガン鳥栖戦でいきなり2ゴールをマーク。続く京都サンガF.C.戦でも1得点1アシストを記録し、5月は全5試合にスタメン出場、3得点3アシストと目に見える結果を残した。

 エウベル、アンデルソン・ロペスと形成する3トップはリーグ最強の破壊力を備えており、新たなタレントの台頭により王者の勢いはさらに増していきそうだ。

 ほとんど4トップの前線は、便宜上2トップ+2トップ下とさせていただいた。

 2トップ下には鈴木優磨と武藤嘉紀を選出。前者は迷走した鹿島を復調させた立役者である。11節の札幌戦では決勝ゴールをマークし、国立決戦となった13節の名古屋戦でも先制ゴールをマーク。15節の鳥栖戦では終了間際に同点弾を叩き込み、敗色濃厚のチームを救う活躍を見せた。

 魂のプレーでチームを鼓舞し、大事な場面で結果を残す勝負強さも備わる。この男の存在がなければ、鹿島はさらなる窮地に追い込まれていたかもしれない。

 大迫勇也の陰に隠れてはいるものの、進撃を続けるヴィッセル神戸において武藤の活躍も見逃せない。迫力のプレスで守備のスイッチを入れる役割を担いながら、強靭なフィジカルを活かし、前線で起点となる。

 圧巻だったのは13節の広島戦。先制しながら押し込まれる展開となったなか、守備に奔走しながら、後半アディショナルタイムに独力で相手の戦意を削ぐダメ押しゴールを奪取した。古巣が相手となったFC東京戦でも2ゴールをマークするなど、もはや手のつけられない状態だ。

【大迫勇也のパフォーマンスは別次元】

 キャスパー・ユンカーも新天地で躍動を続けている。5月は4得点を挙げ、名古屋に多くの勝点をもたらした。際立つのはシュートの巧さだ。劣勢だった14節の広島戦ではシュート3本で2点を奪い、逆転勝利の立役者となった。続く札幌戦では開始30秒で先制ゴールをマーク。

 首位神戸との一戦でも2点のビハインドを負ったなか、反撃の狼煙を上げるゴールを奪っている。卓越した動き出しと正確なフィニッシュワークを武器とするデンマーク出身のストライカーは、堅守速攻の名古屋のスタイルにうまくはまっており、今後もゴール量産が期待される。

 そして、最後は大迫勇也だ。開幕から結果を出し続ける日本を代表するストライカーは、5月に入ってもその勢いは衰えず、5試合で5得点3アシストと驚異的なパフォーマンスを見せた。

 相手を背負いながらもボールを収めるポストワークは群を抜き、強さと冷静さを備えたフィニッシュワークは圧巻の一言。敵を食いつかせ、味方のゴールをお膳立てすることもできる。そのパフォーマンスは、もはや別次元にあるとさえ感じられる。シンプルに前線に預ける神戸の効率的なサッカーは、大迫によって成り立っていると言っても過言ではないだろう。

 この男がシーズンを通してコンディションを保つことさえできれば、神戸の悲願成就は決して夢物語ではないはずだ。