ユーザーがウェブサイトを訪問した際に訪問先のウェブサイト以外(ウェブサイトに掲載される広告など)が発行するCookie「サードパーティーCookie」は、利用するとユーザーの好みに合わせた広告を配信できるようになるという強みがある反面、ユーザーのプライバシーを侵す恐れがあるとして、利用を取りやめる企業が出たり、ブラウザでの利用廃止が検討されたりしています。Googleは以前から自社製ブラウザのChromeでサードパーティーCookieを廃止する計画を立てていたのですが、延期に次ぐ延期を経て、ついに2024年からユーザーの1%に廃止を適用する試験を始めることを明らかにしました。

Preparing to ship the Privacy Sandbox relevance and measurement APIs - Chrome Developers

https://developer.chrome.com/en/blog/shipping-privacy-sandbox/



Google’s turning off third-party cookies for 1 percent of Chrome users early next year - The Verge

https://www.theverge.com/2023/5/18/23728263/google-chrome-ad-tracking-third-party-cookies-privacy-sandbox

ユーザーデータを追跡することでプライバシーを侵害してしまう可能性があるとの懸念から、GoogleはChromeにおいてサードパーティーCookieの利用を段階的に廃止する計画を進めています。当初は2022年に利用を廃止する予定だったのが、2023年末にまで一度延期となり、さらに2024年に再延期するかたちとなっていました。

GoogleがChromeからサードパーティーCookieを廃止する計画を2024年まで再延期すると発表 - GIGAZINE



計画の中で、GoogleはCookieを使用することなく「ウェブサイトのユースケース」を満たすことのできる代替手段「プライバシーサンドボックス」を構築しています。これはサードパーティーCookieに代わり利用できるもので、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、パーソナライズ広告を展開できるシステムだとされているもの。このシステムの導入により、サードパーティーCookieのサポートを段階的に廃止できることが期待されています。

2023年5月18日、Googleはプライバシーサンドボックス計画が1つのマイルストーンに到達したことを明らかにし、プライバシーサンドボックスの測定APIを2023年7月下旬に配信する予定のChrome Stable 115に搭載するとの見解を示しました。

これにより、企業がより大きな規模でプライバシーサンドボックスをテスト可能になるとされています。また、このテストに合わせ、サードパーティーCookieを一部のユーザーを対象に廃止する予定であるともGoogleは伝えています。



Googleによると、サードパーティーCookieのない世界がどのように動作するのかを確認するための「2種類のテスト」を行う予定だとのこと。1つは、広告関連企業がラベルの付けられたトラフィックを実験的に受け取れるというテストで、これによりトラフィックプロセスのあらゆる時点でサードパーティーCookieが使用されないように企業が調整できるようになることが期待されています。

2つ目がサードパーティーCookieの廃止で、2024年第1四半期以降、全体の最大1%のブラウザに対してサードパーティーCookieが廃止される予定。Googleは「ウェブサイトがCHIPSやファーストパーティ・セットなどの代替ソリューションをまだ採用していない場合、一部のサイト機能に影響が出る可能性があります。サイトの機能をサードパーティCookieに依存している場合は、段階的廃止に備えるためのガイドを読んで、代替手段を検討してください」と述べました。