10日の債券市場で、先物中心限月6月限は反発した。低調と受け止められた前日の10年債入札を受けた売りが一巡し、買い戻しが入った。もっとも4月の米消費者物価指数(CPI)の公表を前に様子見ムードは強く、方向感を欠く展開だった。

 前日の米国市場で長期債相場が下落(金利は上昇)したが、円債相場への売り圧力は限られた。国内生損保などが外債から円債に運用資金をシフトさせる姿勢を示していたこともあって、10年債入札後の長期債の需給を巡る懸念は一時的なものとなった。

 日銀の植田和男総裁が10日の参院決算委員会で、物価安定の実現にはなおしばらくの時間を要するとの見方を示すとともに、出口局面の政策運営を具体的に議論できる状況にはない、などと言及したと伝わった。円債相場の反応は限定的だった。

 先物6月限は前営業日比12銭高の148円58銭で取引を終えた。現物債市場で新発10年債利回りは同0.010%低い0.410%に低下した。


出所:MINKABU PRESS