4年に一度の県民の審判を終えて新しい栃木県議会議員50人が決まりました。今回の選挙では、単独過半数の議席を維持した自民党の1強は変わらなかったものの議長を経験したベテランが相次いで落選し、世代交代も印象付けました。さらに、女性の躍進も目立ちました。改めて当選者の内訳を見てみます。

 まず、政党別の内訳では、最大会派の自民党は、もともとあった28議席から1つ議席を増やして29議席、立憲民主党は、現在ある3から変わらず、議席は増やせませんでした。公明党と共産党は議席を維持し、日本維新の会は、初の候補者を立て議席を獲得しました。無所属で当選した13人のうち、大田原市選挙区でトップ当選した星雅人氏が自民会派入りを目指すなどここからわずかに数字は動きそうです。

 続いて、年齢別の内訳です。選挙戦となった12の選挙区のうち、新人がトップ当選したのは7つです。このうち5つの選挙区で30代と40代となり新陳代謝が図られた格好です。30代の県議が1人誕生した他、40代が8人から15人に増え、議員の平均年齢は57.02歳に下がりました。

 こうした一方、激戦区で、自民党の重鎮が敗れました。保守分裂の一騎打ちとなった那須烏山市・那珂川町選挙区は7回目の当選を狙った三森文徳氏66歳が敗れました。前回と同じ顔触れになった、鹿沼市選挙区では、自民党県連の政調会長で6回目の当選を目指した小林幹夫氏69歳が300票差で涙を飲みました。

 また、出馬した10人の女性のうち9人が当選し、改選前から3人増え、過去最多となりました。足利市選挙区では30年ぶりの女性県議誕生となりました。今年(2023年)は、6月に日光市で先進7カ国・G7広島サミットに伴う、男女共同参画・女性活躍担当大臣会合を控え、女性の進出も今回の選挙を象徴する言葉になりました。ただ、全体の割合でいうとわずか18%にとどまり、決して多いとは言えません。

 選挙結果を受けて、9回目の当選を決めた自民党県連幹事長の木村好文氏は、「何が何でも30議席は取りたかった。県議会最大会派として県政を支えていきたい」と話します。

 公明党県本部の野澤和一代表は「3議席は保てたが、2人は得票を減らし、かなり厳しい選挙だった」と振り返ります。

 また、立憲民主党県連代表の福田 昭夫衆院議員は、「県北で当選者を出せたのは大きいが議席の維持が今の党の実力からすると妥当。政権奪還のためにも地方議員を増やしていきたい」とコメントしています。

 共産党県委員会の小林年治委員長は「唯一の議席を守ることができた暮らしを守るという地方自治本来の役割を果たしていきたい」としています。

 栃木維新の会、幹事長の柏倉祐司元衆院議員は「非常に大きな一歩。後半戦の市と町の議員選挙では全員が当選がノルマ」とコメントしています。

 投票率は、過去最低を更新し初めて30%台に落ち込むことになりました。12の選挙区で5割を超えたのは那須烏山市・那珂川町選挙区の52.03%だけです。最低は下野市選挙区の32.59%で7つの選挙区で40%を下回りました。投票率が前回を上回ったのは小山市・野木町選挙区のみでした。選挙離れ、投票率の低さが毎回叫ばれる中で、当選した県議50人は、地域の声を届ける役割を担うとともに政治を身近に感じてもらうための使命も負うことになります。

 福田知事は10日、今回の県議選について記者団の取材に応じ低投票率が続く現状や地方政治の役割について考えを巡らせました。