休眠預金とは? 休眠預金にしない方法・出金方法・休眠預金の活用事例も解説!
国内の金融機関では毎年多額の休眠預金が発生していますが、実際に払い戻されているものは全体の3~5割程度に過ぎません。
この記事では休眠預金とは何か、どのような預金が休眠預金となるのか解説していきます。また、自分の預金が休眠預金とならないようにする方法や、万が一休眠預金を発見した場合に預金を引き出す方法、休眠預金となってしまった資金の活用事例などについても紹介していきます。
休眠預金とは?
まず、休眠預金とはどのようなものなのか見ていきましょう。
休眠預金とは、対象となる預金口座のうち直近10年以上入出金などの動き(異動)がない預金を指し、休眠口座や睡眠預金などとも呼ばれます。
入出金や支払い請求などは全金融機関共通で「異動」として認められます。一方、通帳の記帳・繰越、預金者による残高照会、利息の入金などだけでは異動とみなされない金融機関もあるため注意が必要です。
休眠預金になりやすいのは、学生時代に作ったアルバイトの給料受取専用の銀行口座や、相続人が存在を把握しておらず相続の手続きがされていない銀行口座など、預金者本人もしくは相続人が口座の存在自体を忘れていたり知らなかったりするケースです。
10年以上異動がないと休眠預金になる可能性がある「預金等」としては、普通預金・定期預金・当座預貯金・貯蓄預貯金などが挙げられます。一方、外貨預貯金や譲渡性預貯金、財形貯蓄といった口座は休眠預金の対象になりません。
休眠預金となる預貯金の残高に制限はありませんが、残高1万円未満だと預金者へ通知がされないため、気づかないまま休眠口座になってしまうケースが多くなっています。
休眠預金になるとどうなる?
10年以上入出金などの異動がない普通預金・定期預金などは、休眠預金となる可能性があります。続いては、実際に休眠預金となってしまうとどのような事態が発生するのか見ていきましょう。
預金残高が預金保険機構に移管される
休眠預金はかつて金融機関の収益として計上されていましたが、2018年に「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(休眠預金等活用法)」が施行されてからは、預金保険機構へ移管されるようになりました。
休眠預金になると、手元にある通帳やキャッシュカードを使ってそのまま引き出すことはできなくなってしまいます。引き出したい場合には、通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを持参して取引先の金融機関で手続きをしなくてはなりません。
つまり、休眠預金となっても金融機関で手続きさえすれば引き出すことは可能ですが、口座を継続して使い続けられるのか、現金で受け取るのかは金融機関ごとに異なります。
民間公益活動に充てられる
休眠預金等活用法は、預金者の利益を保護しつつも休眠預金等を民間公益活動に活用し、国民生活の安定向上や社会福祉の増進を図ることを目的としています。
こうした法律の趣旨に沿って、休眠預金は預金保険機構に移管された後、公募によって選定された民間団体(指定活用団体・資金分配団体・実行団体)を通じて民間公益活動に充てられています。
休眠預金等活用法では以下4つの「公益に資する活動」が掲げられており、それぞれの項目に応じた民間公益活動が行われています。
1. 子ども及び若者の支援に係る活動
2. 日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動
3. 地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動
4. 前3号に準ずるものとして内閣府令で定める活動
休眠預金になることを予防するためにできることとは?
休眠預金になるのを予防するには、どのような手段が有効なのでしょうか。先ほど紹介したとおり、休眠預金になりやすいのは預金者が口座の存在を忘れていたり、相続人などがそもそも口座があることを知らなかったりするケースです。
そのため、学生時代のアルバイト給料受取口座など使わなくなった口座は早めに整理するのが大切です。口座を維持し続けるのであれば、貯蓄用や引き落とし用といった一定の入出金が見込まれる別用途で活用することにより、休眠預金になるのを予防できます。
相続による休眠預金化を防ぐには、配偶者や子など相続人になることが予想される人に口座の存在を知らせておいたり、遺言書等で相続する旨を記しておいたりするのが効果的でしょう。
休眠預金の資金を引き出す方法とは?
自身の預貯金が休眠預金となってしまった場合、資金を引き出す方法は金融機関によって扱いが異なります。元の口座を復活させて再度使えるようになるかどうかは金融機関ごとに異なるほか、口座によっては同一番号を使えない場合もあります。
また、取引店でしか手続きできないなど休眠預金の引き出しに制限を設けている金融機関もあります。休眠預金を保有していることがわかったら、事前に取引金融機関へ問い合わせるのがおすすめです。
休眠預金に関するよくある質問
ここからは、休眠預金に関してよくある4つの質問に回答していきます。休眠預金を保有している人はぜひ参考にしてみてください。
休眠預金の復活にかかる時間は?
休眠預金を通常どおり引き出せる状態にしたり資金化したりするのにかかる時間は、取引先の金融機関や休眠預金となってからの期間などによって異なります。
一般的に休眠預金になってからの期間が長ければ長いほど、復活にかかる時間も長くなるケースが多くなっています。復活にかかる時間を少しでも短くするためには、休眠預金に気付いたらなるべく早期に手続きを行うのが大切です。
特に旧取引先の銀行や支店の統廃合があった場合などは手続きが複雑になりやすいので、早めの手続きを心がけましょう。
休眠預金の引き出しに期限はある?
休眠預金の引き出しには特に期限がなく、所定の手続きを行えばいつでも払い戻しが可能です。
ただし、多くの金融機関で一定期間利用されていない普通預金口座に対して、未利用口座管理手数料が設定されています。三菱UFJ銀行を例に見ると、2年以上未利用の口座では年間1,320円の手数料がかかります。
残高が少ない休眠預金だと、毎年の手数料支払いによって残高がなくなっている可能性もあるのです。
休眠預金になる前に通知は来るのか?
休眠預金になる可能性のある口座の残高が1万円以上であれば、休眠預金となる前に預金者へ対して通知されるのが原則です。通知は金融機関に届出されている住所等へ行われるため、現況が届出情報と異なっている場合には通知が届かず、気付かないまま休眠預金となってしまうケースも考えられます。
また、口座残高が1万円未満の場合には事前通知がされないので、より休眠預金になるリスクが高いと言えるでしょう。
休眠預金は相続人でも引き出せるのか?
休眠預金の名義人がすでに亡くなっている場合、その相続人による預金の引き出しは可能です。相続するにあたっては所定の相続手続きが必要となりますが、手続き方法や必要書類は金融機関によって異なります。
故人の休眠預金に気付いたら、なるべく早めに金融機関へ相談するのがよいでしょう。
まとめ
休眠預金とは、10年以上入出金などの取引がない状態の預金のことです。普通預金だけでなく、定期預金や当座預貯金なども休眠預金となる可能性があります。休眠預金になると通常のキャッシュカードや通帳を用いた手続きができなくなってしまうため、金融機関で手続きを行って復活させなくてはなりません。
休眠期間が長くなるほど手続きにかかる時間も長くなるケースが多いほか、休眠預金に対して手数料がかかる金融機関もあるため、長期間使っていない預金口座を発見したらできる限り早く手続きをするようにしましょう。