至学館vs名城大附 至学館の伊藤幹太にプロ複数球団が注目中!春の初戦は5回7奪三振1失点と好投
<春季高校野球愛知県大会1次予選:至学館8−1名城大附>◇21日◇名古屋地区2回戦◇至学館志段味グラウンド
昨秋の県大会では、例によってミラクルな粘り強さを発揮して準優勝を果たして、2年連続で秋季東海大会進出も果たした至学館。2017年以来のセンバツ出場を目指したが、初戦で加藤学園(静岡)に競り負けてその夢はならなかった。だけど、その戦いぶりは、至学館らしいもので、麻王義之監督も、敗れはしたものの十分な手ごたえは感じていた。そして、一冬越えて、そのミラクル度がどこまで磨かれて行っているのか、さらにはどんなチームになってきているのか、興味深いところでもあった。
それに挑む名城大附は、昨秋は県大会進出を逃しているだけに、この春季大会は、何とか県大会に進出は果たしたいところであろう。
先制したのは至学館で、先頭の清水が内野安打で出ると、四球とバントで1死一、二塁。ここで、4番高橋の内野ゴロの間に三塁走者がかえるという形で、至学館らしい得点だった。さらに、2回は2安打が出たが得点には至らなかったものの3回、1死後3番竹村が中前打で出ると、ボークで二進。ここで4番高橋は左前へポトリと落として二塁走者を迎え入れて2点目。
至学館のエース伊藤 幹太投手は昨秋から身体も一回り大きくなったという印象だったが、麻王義之監督も、「今までで至学館で観てきた投手の中では、一番の投手じゃないかなと思っています。プロからも何球団からか問い合わせも来ているんですよ」と、その素材力の高さを評価している。コントロールもよく、ストライク先行で相手を追い込んでいくので、常に投手優位の位置で勝負できているというのも大きい。直球の力もあるがスライダーと勝負球としてのフォークボールも有効だ。
5回までは2安打7奪三振で全く危なげなく抑えていた。そして、その伊藤が好投していく中で至学館は6回、名城大附の3人目となった右サイドの伊藤 琉来投手に対して四球とバントで1死二塁という場面で代打五日市がしっかりと捉えて右翼へ2ラン。見事な代打本塁打となった。
これで、試合の流れは完全に至学館に傾いていった。
それでも、名城大附は7回、5番野呂の二塁打と畑中、唐川と安打が続いて1点を返す。しかし、至学館は8回から代わったエースナンバーを付けた4人目の渡辺投手に対して失策絡みで8番磯村の適時打で2点を追加。8回にも暴投とスクイズなどでダメ押しのダメ押しともいえる2点を追加した。
麻王監督は、「けが人が多いんで、必ずしもベストメンバーは組めていない」と言いつつも、「5番に代打でバント専任の選手を出して、その選手が3本バントを決めたり、至学館らしい試合だったといえば、そうかもしれません。ただ、こういう展開だったら、7回四死球で無死一、二塁になったところで、(コールド勝を)決めに行かないといけないんですけれども、バント失敗併殺なんかで、それができなかったというのは、課題でもあります」と、それぞれが、自分の役割を果たしていくということでチーム力を示していく形の至学館としては、決めるべきバントができなかったとか、代走の選手が走り切れなかったというところは、今後へ向けての修正点ともいえるところだったようだ。
名城大附は敗者復活トーナメントに回ることになり、次の試合では、昨秋に敗れている名古屋南と当たるということになった。
(取材=手束 仁)