「まぶたが重い」のは眼瞼下垂や眼精疲労かも?医師が対処法や原因など徹底解説!
まぶたが重いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 裕紀(医師)
名古屋大学医学部卒業、名古屋大学医学部附属病院、江南厚生病院などで眼科医として勤務経験を持つ。患者の笑顔を見ることを何よりの喜びと思っている。日本眼科学会所属。現在は医学の発展に貢献できるよう、また目の前の患者にひたむきに向き合うため日々邁進中。
「まぶたが重い」症状で考えられる病気と対処法
まぶたが重い症状で考えられる病気には、まぶたに原因がある場合、目に原因がある場合、神経や脳の病気の場合などです。原因を突き止め適切な対処を心がけましょう。
まぶたが重く違和感がある、だるさを感じる症状で考えられる原因と対処法
まぶたが重く違和感がある、だるさを感じる症状の場合、眼精疲労の可能性が考えられます。眼精疲労とは、眼を使う作業を続けることにより目に疲れを感じ、目のかすみや眩しさなどの目の症状や頭痛など全身症状が現れる状態を言います。眼精疲労の症状の特徴としては、目が疲れる、ぼやける、霞む、眩しい、充血する、頭痛がする、めまい、肩こり、吐き気などが挙げられます。眼精疲労の原因には、度の合っていないメガネの使用や老眼、ドライアイ、斜視、緑内障などの病気などが考えられます。また、パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見る作業は眼精疲労を引き起こすと考えられています。すぐにできる処置としては、長時間画面を見る作業をする場合は休憩をこまめにはさみ遠くを見たり目を閉じる時間を作ること、人工涙液の点眼、加湿器の使用などが挙げられます。病気が隠れていないかチェックするために一度病院を受診することをお勧めします。主な診療科は眼科です。
眼精疲労を引き起こす原因には、目の病気の他にも更年期障害、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、虫歯や歯周病、精神的ストレスなどもあると言われています。眼科で原因が見つからない場合は内科や耳鼻咽喉科、歯科、精神科などの受診も検討しましょう。
まぶたが重く頭痛がする症状で考えられる原因と対処法
まぶたが重く頭痛がする症状の場合、眼瞼下垂の可能性が考えられます。眼瞼とはまぶたのことで、眼瞼下垂とは上のまぶたが垂れ下がってくる状態のことです。上まぶたをあげる筋肉や腱の力が弱くなることなどが原因で発生します。眼瞼下垂の症状の特徴は、物が見えにくい、二重の幅が広くなる、上の方の視野が狭く感じられる、眠そうに見える、肩こり、頭痛、疲労などが挙げられます。眼瞼下垂の原因には、加齢や長期にわたるコンタクトレンズの装用、外傷、脳梗塞などが考えられます。また白内障手術後にも眼瞼下垂が起こりやすいことが知られています。眼瞼下垂の治療法は基本的に手術になりますので自宅でできる対処法は少ないですが、アイメイクを落とすときに強くこすらないこと、コンタクトの着脱時に上まぶたを引っ張らないようにすること、アイクリームなどで保湿をすることなどが挙げられます。物が見えづらい場合や見た目が気になる場合は形成外科、眼科を受診しましょう。眼瞼下垂の症状に加え、手足が痺れる、うまく喋れないなどの症状がある場合は脳梗塞など重大な病気の可能性があります。できるだけ早く脳神経外科を受診しましょう。
片目のまぶたが重い症状で考えられる原因と対処法
片目のまぶたが重い症状の場合、麦粒腫という病気の可能性が考えられます。麦粒腫は俗に「ものもらい」や「めばちこ」とも呼ばれ、まつ毛の根元付近にある涙や汗の分泌腺や毛穴に細菌が感染する病気です。まぶたの一部が赤く腫れる、かゆい、痛いなどの症状が現れます。すぐにできる処置としては、まぶたや目を触らないように気をつけ、抗菌薬の点眼を行います。数日でよくならない場合は眼科を受診しましょう。
40代のまぶたが重い症状で考えられる主な原因と対処法
40代のまぶたが重い症状の場合、眼精疲労やむくみ、眼瞼下垂などの可能性もありますが、注意が必要なのは甲状腺眼症という病気です。甲状腺眼症とは、甲状腺機能の異常により、まぶたの腫れや赤み、目の奥が重い、物が二重に見える、眼球突出などの症状が現れる病気です。甲状腺とは喉仏のすぐ下にある臓器で、体の新陳代謝などを調節する作用がある甲状腺ホルモンを分泌しています。この甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると甲状腺がはれたり動悸や息切れなどの症状が現れます。この甲状腺ホルモン異常の病気の一種にバセドウ病という病気があり、バセドウ病になると一部の人に甲状腺眼症の症状が現れると言われています。バセドウ病の発症のピークは20代と40代で、男性より女性に多く、女性の発症率は男性の4倍程度と言われています。対処法としては、バセドウ病はストレスによって病気が悪化することがあるため、なるべくストレスを避けて規則正しい生活を心がけましょう。またタバコを吸っていると目の症状が悪くなりやすいため禁煙をしましょう。バセドウ病は甲状腺ホルモンの量をコントロールすることが重要なため、病院で治療を受ける必要があります。疑わしい場合は早めに病院を受診しましょう。主な診療科は内科、眼科です。
すぐに病院へ行くべき「まぶたが重い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
手足が痺れる、うまく喋れない場合は、救急科へ
まぶたが重いのに加え、手足が痺れる、うまく喋れないなどの症状がある場合は脳梗塞の可能性があります。脳梗塞とは脳の血管がつまり脳が壊死してしまう病気です。片方の手足の麻痺やしびれ、うまく喋れない、視野が欠ける、めまいなどの症状が現れます。脳梗塞は突然発症し、数分から数時間で急速に症状が進みます。死んだ細胞は元に戻らないため、一刻も早く詰まった血栓を溶かす治療を開始することが大切です。命に関わりますので救急車を呼びましょう。その後の治療は脳神経外科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「まぶたが重い」ときのセルフチェック法
・まぶたが重い以外に視野が欠ける症状がある場合
・まぶたが重い以外に手足が痺れる症状がある場合
・まぶたが重い以外に強い頭痛の症状がある場合
「まぶたが重い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「まぶたが重い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
眼瞼下垂
眼瞼下垂は、上まぶたが下がってくる状態のことで、それにより視野が狭く感じられたり、見えにくいなどの症状が現れます。発症の原因は、加齢やコンタクトレンズの長期装用による刺激などでまぶたをあげる筋肉の力の低下や腱が伸びてしまう、脳動脈瘤や糖尿病などが原因の神経麻痺などが挙げられます。
筋肉の腱が伸びてしまっている場合は、治療は基本的に手術になります。まぶたの上の皮膚を切開する術式の場合、切開した皮膚は二重まぶたの線になります。一重まぶたの人も術後は二重まぶたになるため、美容整形の領域と重なる部分もありますが、基本的に見えにくさを解消するためなど医療目的の場合は保険診療に、見た目を美しく整えるためなど美容目的の場合は自費診療になります。個々のケースにより保険診療が適用になるか自費診療が適用になるかは異なるため、必ず医療機関で個別に確認しましょう。
生活に支障がある場合や他の病気が疑わしい場合は病院を受診しましょう。主な診療科は形成外科です。喉が乾く、疲れやすいなどの症状がある場合は糖尿病が疑わしいため内科を受診しましょう。
麦粒腫
麦粒腫とは、まつ毛の根元付近にある毛穴や汗などの分泌腺に細菌が感染して炎症が起きる病気です。まぶたが赤く腫れる、かゆい、痛いなどの症状が現れます。治療法は、抗菌薬の点眼や内服になります。数日で自然に膿が出て回復することもありますが、悪化して腫れやできものが大きくなり切開する必要がある場合もあります。早めに病院を受診した方がいいでしょう。主な診療科は眼科です。
ドライアイ
ドライアイとは、目を保護する役割のある涙の量が減ったり性質が低下することにより目の表面が傷つきやすくなり、目の不快感や疲れ、乾き、かすみなどの症状が現れる病気です。
長時間の画面を見る作業やコンタクトレンズの装用、エアコンの風に当たることなどはドライアイを悪化させる要因として知られており、これらを避けるよう気をつけましょう。目が乾く場合は人工涙液の点眼も効果がある場合があります。生活に支障がある場合や痛みがある場合は病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。
「まぶたが重い」ときの正しい対処法は?
まぶたが重い原因は、むくみ、ドライアイ、まぶたやその付近の炎症、まぶたを持ち上げる筋肉などの力の低下、まぶたを持ち上げる神経の障害、アレルギーなど様々な可能性が考えられます。
むくみの場合は塩分が多い食事を控えましょう。バナナやかぼちゃなどに含まれるカリウムには塩分を排出する働きがあるので積極的に取り入れましょう。十分に睡眠をとることも重要です。
ドライアイの場合は目が乾燥しないよう加湿器を使用したり、人工涙液を点眼するものいいでしょう。参天製薬のソフトサンティアは防腐剤不使用で目を傷つける心配が少なく、目の保湿に役立つ効果があるとされています。また、ストレスは涙の量を減らし、ドライアイを悪化させる要因として知られています。ストレスをできるだけ避け、リラックスできる時間を確保しましょう。
炎症が起きている場合はまぶたが腫れていたり、痛みを伴う場合があります。できるだけ刺激をせず、もしすぐに病院に行けない場合は市販の抗菌薬の点眼をしてもいいでしょう。ロート抗菌目薬は防腐剤不使用で抗菌薬が配合された目薬です。点眼する際は、目薬のケースがまぶたや目につかないように気をつけましょう。目の近くの炎症は目の表面に傷がついたりする可能性もあるので、眼科を受診することをお勧めします。
アレルギーが原因の場合は目の周りを冷やす、分泌腺が詰まっている場合は目元を温めると症状が良くなるとされています。
まぶたが重い原因がまぶたの筋肉や腱、神経にある場合は自分での対処が難しいため病院を受診しましょう。
コンタクトレンズの使用はどうしてもまぶた付近を触ることになるため、まぶたに刺激を与え症状が悪化する可能性があります。控えた方がいいでしょう。
まぶたが重い場合、眉や目の周りの骨を優しく押すようにマッサージすると血流が良くなりむくみが解消する可能性があります。まぶたを直接マッサージすると逆に悪化する可能性があるので、まぶたにはマッサージをしないようにしましょう。
早く治したい場合や、応急処置をしても良くならない時は早めに医療機関を受診しましょう。
「まぶたが重い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「まぶたが重い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
片目のまぶたが急に重く違和感があるのは何かの病気でしょうか?
伊藤 裕紀(医師)
片目のまぶたが急に重く違和感がある場合は、まぶたの分泌腺に感染が起きる麦粒腫、分泌腺が詰まる霰粒腫、金属や化粧品などのかぶれ、脳梗塞などが考えられます。触らないようにして一度病院を受診した方がいいでしょう。
年齢とともに上まぶたが重くなるのは眼瞼下垂でしょうか?
伊藤 裕紀(医師)
眼瞼下垂は加齢によっても引き起こされますので十分にその可能性は考えられます。
まぶたが重いのですがメイクは控えた方がいいでしょうか。
伊藤 裕紀(医師)
まつ毛の根元付近には汗や脂質の分泌腺があり、炎症や詰まりがあるとまぶたが重く感じられることも考えられます。特に目のきわのアイメイクは控えた方がいいでしょう。
まぶたが重い時、有効なマッサージはありますでしょうか。
伊藤 裕紀(医師)
まぶたが重い時、マッサージ[ih1] により刺激を与えるとより症状がひどくなる可能性があります。塩分の取りすぎを控えることや、運動して血流をよくすることの方が大切でしょう。
まぶたが重いのですが疲れが原因でしょうか。
伊藤 裕紀(医師)
まぶたは体の中で最も皮膚が薄い部分であり、疲れにより体がむくんだりすると影響が出やすい場所ではあります。テレビやパソコンの画面の光は刺激が強く、目が乾燥し疲れてまぶたの症状が現れる場合もあります。
まとめ
まぶたが重い症状の場合、気になってまぶたを持ち上げたり触りたくなるかもしれませんが、まぶたの皮膚は薄く、その奥にある目の表面はとても繊細で傷つきやすいです。できるだけ刺激を与えないようにして、気になる場合は早めに病院を受診しましょう。
「まぶたが重い」で考えられる病気と特徴
「まぶたが重い」から医師が考えられる病気は31個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経内科/脳神経外科の病気
重症筋無力症
脳梗塞脳動脈瘤脳腫瘍動眼神経麻痺
ホルネル症候群
眼科の病気
矯正不良
ドライアイ緑内障
白内障斜視
斜位
眼瞼下垂VDT作業
霰粒腫涙嚢炎涙小管炎
眼窩蜂窩織炎
悪性腫瘍
眼瞼けいれん顔面けいれん
甲状腺眼症
内科の病気
更年期障害アレルギー性鼻炎風邪糖尿病歯科の病気
虫歯歯周病精神科の病気
自律神経失調症精神的ストレス
チック
目に問題があるだけではなく、神経や皮膚、歯、精神的な問題などさまざまな原因が考えられます。
「まぶたが重い」と関連のある症状
「まぶたが重い」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
まぶたの腫れ目の腫れめばちこ涙袋が腫れるまぶたの裏白いできものまぶたの痙攣まぶたが痛い
まぶたが赤い
頭が痛い目に違和感がある
目が痛い視野が欠ける
視力が落ちる
目が霞む
「まぶたが重い」症状の他にこれらの症状がある場合、「重症筋無力症」「脳梗塞」「矯正不良」「ドライアイ」「更年期障害」「アレルギー性鼻炎」「虫歯」「歯周病」「自律神経失調症」「精神的ストレス」などの疾患の可能性が考えられます。
意識がおかしいなど全身状態での変化を認める場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
・眼精疲労(日本眼科学会)
・眼瞼下垂(日本眼科学会)
・眼瞼下垂(日本眼科医会)