北朝鮮住民の間で旅行需要が増えている(北朝鮮の対外宣伝サイト「ネナラ」より)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

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【ソウル聯合ニュース】北朝鮮で近年リゾート開発が進み、旅行を楽しむ住民が増えていることが4日、旅行保険の販売実績資料から分かった。

 北朝鮮の損害保険会社、北極星保険会社はホームページで「近年、全国随所に文化休養地が数多く登場し、旅行保険に対する需要が増え続けている」と説明している。同社は火災、技術、信用、農業保険のほかに、2019年から旅行保険の取り扱いを始めた。

 ホームページに公表されている資料によると、21年に信用保険と旅行保険を合わせたその他保険料の収入は1790万北朝鮮ウォンだった。先月末時点のレートで1ドルは約8400ウォン。同保険料収入は19年の約2600万ウォンから20年は887万ウォンに落ち込んだが、21年は大きく盛り返した。

 同資料は「20年に国は伝染病(新型コロナウイルス)に対し一部の予防的な措置を取ったが、昨年(21年)には住民に国内での自由な移動を許可した」とし、国立休養施設のサービス再開に伴い旅行保険事業が著しく伸びたと説明した。

 北朝鮮はここ数年、東部・元山の海岸沿いの元山葛麻海岸観光地区、内陸部・陽徳の温泉、元山郊外の馬息嶺スキー場など観光産業の育成に力を入れてきた。観光業は国際社会による北朝鮮制裁の対象でなく、当初は海外からの観光客誘致を目的としたものの思惑通りに進まず、ひとまず国内需要に主眼を置いているとみられる。

 世界的に新型コロナウイルス感染の拡大が始まった20年初め、北朝鮮は国境を封鎖したが、住民に対する移動制限は翌年に解除し、旅行者が増えたようだ。

 ただ、北朝鮮は22年5月に新型コロナ感染者の発生を初めて公に認め、非常防疫体制に移行した。そのため22年は旅行需要が再び萎縮した可能性がある。

 一方、北朝鮮の保険業は大きく変化している。以前は国営機関の朝鮮民族保険総会社が独占していたが、16年に火災、技術、信用、農業保険を専門とする北極星保険会社と、海上、航空保険が専門のサムヘ保険会社が設立された。17年には不動産、技術、海上保険を扱う未来再保険会社も登場した。