ゾンビ企業倒産件数 推移

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経営再建か市場健全化のための淘汰か、分岐点が近づいている

 低金利環境でなければ存続できない「ゾンビ企業」に、淘汰の波が強まってきた。2022年の倒産件数6376件のうち、借入金の利払いを自前の営業利益で3年以上賄うことができなかった「ゾンビ企業」の倒産は少なくとも332件発生し、3年ぶりに増加に転じた。また、22年のゾンビ企業の倒産1社当たり負債額(トリム上下0.5%)は約3億1100万円/社となり、全体(7700万円/社)に比べて約4倍の規模に達した。コロナ関連融資や各種助成金といった多額の支援金が「塩漬け」のまま、有効に活用されずに霧散した可能性がある。

 倒産したゾンビ企業には、コロナ危機がなくとも既にビジネスモデルが破綻してしまっていた企業も含まれる。再建の見込みがないままコロナ融資などで延命してきたゾンビ企業が、物価高や人手不足、円安といったショックの前に、過剰債務を抱えたまま為す術なく市場退出を余儀なくされている。昨年8月に実施したコロナ関連融資に関するアンケート調査では、コロナ融資を受けたのは回答企業全体で5割だった。一方、ゾンビ企業に限ると8割に迫り、このうち今後の返済に不安を抱える割合が約2割を占める。

 2023年はゼロゼロ融資の元金返済も迫り、実質的に免除されてきた利払いもスタートする。さらに、今後は低金利を支えてきた金融緩和も縮小に向かい、金利上昇によって「債務ショック」が起きる可能性が残されている。低金利や各種金融支援を支えによろめき歩く状態を容認し、リストラやリファイナンスなどによる経営再建の可能性を追求するべきか、それとも市場健全化に向けゾンビ企業の淘汰を進めるべきか、分岐点が近づいている。