板倉滉(撮影:岸本勉/PICSPORT)

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29日、日本代表の板倉滉が現在の状況をポジティブ変換して勝利への意欲を見せた。

日本はグループリーグ第3戦でスペインに対して勝利を収められれば決勝トーナメント進出となる。ただし日本がFIFAランク24位であるのに対してスペインは7位。ドイツが同11位ということを考えても、このグループで一番の難敵に挑まなければならない。

だが、板倉は「ネガティブになる要素がないですもんね」という。

「だって、コスタリカに負けて敗退したわけじゃないし。スペインという最高の相手と最後の1試合を戦ってグループリーグ突破できたらもう最高です」

「この状況でスペインを倒せたら盛り上がるし、日本としても勢いがつくんで最高の状態でスペイン戦ができると思います」

「思い切ってやるだけだと思うし、勝てば(ベスト16に)行ける。その状況が1試合を残して整ってるっていうことが、まずはすごいポジティブに捉えていい」

もっとも単純に楽観視しているわけではない。スペインに攻め込まれることは百も承知だ。

「スペイン相手となると引き込む(攻められる)状況が増えると思うし、どちらかというとねブロックを敷いて守る展開が多くなってくると思います。僕はセンターバックななので最後のところで守らないといけないシーンはたくさんあると思うし、そこは絶対やらせたくない」

「(スペインは)セットした状態からのプレスも早いし、奪った後の切り替えもすごく早いので、逆に僕たちがいい状況で(ボールを)奪えたときはチャンスになるシーンも多々あると感じてます。そこは意識して、奪った後は特に大事に思い切ったプレーをしていかないといけない」

「試合開始から前からガツガツ行きたいという気持ちはありますけど、試合展開的に引き込む(攻め込まれる)ことが多いと思うので、どこでボールを奪えるか分からないですが、そこはアグレッシブに行きたいと思います」

耐える時間が増えるだろう。だが板倉は楽しみにしていることがある。東京五輪の準決勝でスペインと対戦したときは、延長の末0-1で敗れた。そのときの借りがあるのだ。

「今でも五輪で負けたときの悔しさは残ってるし、その悔しさを忘れずにここまでやってきたつもりです。素晴らしい舞台でまたスペインと対戦できるというのは、何かいいストーリーじゃないですけど、まさかここで当たるかという感じです。ここで借りを返したい」

夢の舞台だったワールドカップでも臆することなく堂々とプレーしている。そしてワールドカップを見るだけの立場だったことも覚えているから、より感じることもある。

「4年前はファンとして見ていた側でその盛り上がりは覚えているし、そういうピッチに立ててることはうれしいですけど、逆にすごく責任感が湧いてるというか、僕たちの力でみんなを喜ばせたいという思いもある」

次の試合を最後だと思ってすべてを出そうと思うか、という質問が出たとき、板倉は「いや、次の試合を最後にできないですよね」と即答した。

「やっぱ日本日本を背負ってここに来てるので、次の試合で帰るわけにはいかないと思います」



【文:森雅史@ドーハ/日本蹴球合同会社 撮影:岸本勉/PICSPORT】