150人超死亡の韓国・梨泰院群衆事故「ドラマの輝かしい場所で…」日本中から集まる悲しみ、同情の声
10月30日、韓国の尹錫悦大統領は梨泰院の事故現場を訪問した(写真・ロイター/アフロ)
10月29日、韓国・ソウル市内の梨泰院(イテウォン)で起きた群衆事故は、犠牲者が150人を超える惨事となった。
事故が起きたのは、地下鉄の梨泰院駅からすぐの坂道。飲食店やクラブなどが並ぶ一帯に向かう、幅3〜4mほどの細い道だ。
梨泰院は、若者や外国人が多く集まる繁華街で、東京の六本木にたとえられることも多い。事故当日も、ハロウィーン前の週末ということで、仮装姿の多くの外国人らでごった返していた。
もともと、ハロウィーンやクリスマスの時期に多くのイベントが開かれる場所としても有名だった梨泰院。事故は、3年ぶりに本格的にハロウィーンを楽しみたい若者たちでにぎわう中で起きた。大勢の通行人が坂道で転倒し「群衆雪崩」を起こした可能性があると報じられている。
日本国内でも2001年7月、兵庫県明石市の花火大会会場近くで起きた「群衆雪崩」によって、見物客が歩道橋上で転倒し、11人が死亡、247人が負傷する事故が発生した。安全を守る責任を果たせなかった主催者の明石市や、警備を担った警察が責任を問われた。神戸地検は、雑踏警備を担当した元兵庫県警明石署地域官ら5人を在宅起訴し、有罪が確定している。
「ソウルのど真ん中で、起きてはならない悲劇と惨事が発生した」
10月30日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、国民向け談話でこう述べた。「国政の最優先順位を本件事故の収拾と後続措置に置く」「本件事故の原因を徹底して調査し、今後、同じような事故が再発しないよう、根本的に改善したい」と話した。
梨泰院は、日本でもNetflixで配信され、大ヒットした韓国ドラマ『梨泰院クラス』の舞台となった観光名所でもあり、日本人にも人気の街だ。SNSには、日本人の間でも悲痛な声が上がった。
《梨泰院クラスが好きだったので、あの活気あふれる梨泰院で…。まさか人の雪崩事故が起こるとは、誰も想像がつかなかったはず。ニュースの映像を見て、本当に胸が痛みます…》
《梨泰院クラスも観ていたからより悲しい。ドラマとしての輝かしい場所から歴史的事故現場になってしまうのではないか。1人でも多くの方の命が助かりますようにご冥福をお祈りします》
《梨泰院の事故がショッキングすぎて…梨泰院クラスでもハロウィンのシーンあったし、余計行く人多かったんじゃないかな。みんな楽しむために行ったはずなのにこんな結果になって悲しい》
東京都でも、渋谷駅周辺などで、3年ぶりに自粛要請のないハロウィーン本番を迎える。痛ましい事故が起きぬよう、警視庁は10月30日夜も警備を徹底するという。