NTTドコモの5G契約者数は急増でも、「5G SA」「ミリ波」対応が限定的な理由とは

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NTTドコモは6日、「2022-2023冬春 新商品ラインアップ」として12の新製品を発表した。

内訳は、
・スマートフォン6機種(ハイスペック3機種、スタンダード3機種)
・タブレット2機種
・モバイルWi-Fiルーター1機種
・ホームルーター1機種
・ケータイ(DIGNOケータイ)1機種
・キッズケータイ1機種
これら合計12製品だ。

このうち、DIGNOケータイとキッズケータイを除く10製品はすべて5G通信に対応している。

現在、NTTドコモでは5Gの契約が急増している。
順調に5Gへの移行が進んでいるかのように見えるが、実はまだ課題は多い。

新商品の発表前にメディア向けに開催された「事前体験会」にて、5G契約の推移や今後の展開などについて聞くことができた。


■スマートフォンが全機種5G対応に
事前体験会では、NTTドコモのプロダクト部長 松野亘氏が、新商品に関するプレゼンテーションをした。その中で松野氏は、NTTドコモの5G契約数の推移についても解説した。


棒グラフの赤が5Gの契約者数、折れ線グラフが5Gスマートフォンの販売割合


松野氏が提示した資料によると、2021年3月時点でおよそ5%だった5G契約者数が、2022年7月時点でおよそ26%と1年余りで全体の3割弱にまで増加している。

理由のひとつに、
2021年冬モデルにおいてスマートフォン全機種で5Gに対応していることがあげられる。

そして、今回の2022年〜2023年に発売される予定の冬春モデルでは、スマートフォンとルーター製品だけでなく、およそ2年ぶりの発売となるタブレット製品2機種も5Gに対応し、5G契約者数をさらに増加することが見込まれる。


型番に「4」が入る「DIGNOケータイ」と「キッズケータイ」以外はすべて5Gに対応


型番が「5○C」となっている10製品が5Gに対応しており、このうち、
・Galaxy Z Flip4 SC-54C
・Galaxy Z Fold4 SC-55C
・Wi-Fi STATION SH-54C
これらの3機種は「5G SA(Stand Alone)」と「ミリ波」にも対応している。


■SAとミリ波対応で5Gはもっと速くなる
5G SA(ファイブジー・エスエー)のSAは「Stand Alone(スタンドアローン)」の略。
現在の5Gスマートフォンのうち、ほとんどの機種はこのSAには対応しておらず、「5G NSA」(ファイブジー・エヌエスエー)での5G通信を実現している。
「NSA」はNon-StandAloneの略で、非スタンドアローンという意味だ。

スタンドアローンとは「単独型」や「独立型」を意味する言葉で、5G SAにおいてはコアネットワークの設備から基地局に至るまですべてを5G専用装置に置き換え、対応することを指す。

そして、非スタンドアローンとは、LTE(4G)設備と併用して運用することを指しており、コアネットワークによる制御機能はLTEに依存している。


NTTドコモのHP( https://www.docomo.ne.jp/service/5g_sa/ )から引用


このように現在の5Gは半分が4Gといえるような仕組みとなっている。
5G SAに対応するためには、5G専用のネットワーク設備を展開する必要があり、そのための時間やコストがかかる。

ドコモでは2023年3月まで(今年度中)にはすべての都道府県で5G SAを展開する予定で、その後はニーズの高いスポットに順次拡大していくとしている。

一方の「ミリ波(mmWave)」とは、電波の周波数帯のことだ。30GHz帯から300GHz帯を指す。これまで携帯電話向けに使われてきた周波数帯は300MHz帯から3GHz帯に収まる「UHF」(Ultra High Frequencの略で極超短波)の帯域が割り当てられてきた。

ところが、5Gではこれまでの周波数帯に加え、ミリ波の帯域も割り当てられることになった。一般的に高い周波数になればなるほど情報伝送容量が大きいため、結果的に高速で通信するには高い周波数帯を使うことが優位とされている。

しかし、低い周波数帯よりも電波の直進性が強いため、到達する距離が短くなってしまうという欠点もある。このことにより、
・たくさんのアンテナを設置
・中継機の設置や新たな技術を開発
これらにより、できるだけ電波の劣化を防いだり増幅したりするなどして、少しでも到達距離を伸ばすということが必要になってくる。


Galaxy Z Flip4の側面にはミリ波専用のアンテナを搭載


もちろん受信機側となるスマートフォンもミリ波に対応する必要があるのだが、単純に周波数帯に対応するだけでなく、受信感度を上げるなどの工夫も必要になってくる。

ミリ波に対応しているGalaxy Z Flip4やGalaxy Z Fold4には、本体の側面にミリ波用のアンテナを搭載している。

つまり、5G SAやミリ波は、ネットワークの設備はもちろん受信機側のスマートフォンも対応する必要があるため、非対応のものと比べて開発コストが増してしまう。

事前体験会の質疑応答でも、松野氏は
「スマートフォンにミリ波を対応させることによって、価格や本体デザインに影響してくることは間違いない」「4Gと同様、時間が経てば部材代が安くなったり、サイズが小さくなったりすることで、広まっていくと思う」
このように語り、現時点では販売価格との兼ね合いからも、一部の機種でしか対応していないことを明かした。

設備および機種の両面で対応していくことが必要のため、真の5G通信をいつでも体験できる環境が整うのはまだ先だが、逆にいえば、5Gにはまだ大きな可能性があると言えるのだ。


S-MAX:NTTドコモ 2022年〜2023年冬春モデルのラインアップおよび製品説明【プレゼン】



S-MAX:NTTドコモ 2022年〜2023年冬春モデルの事前体験会【質疑応答】


関連リンク
docomo collection 2022-2023 スマホの最新機種特集 | 製品 | NTTドコモ
5G SA(Standalone) | サービス・機能 | NTTドコモ
総務省 電波利用ホームページ|周波数割当て|周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴



執筆:S-MAX編集部 2106bpm