365日ホテル生活を実践中の男性 1ヶ月にかかる費用は?
いつもと違う場所で仕事をすると気分転換になるものだ。最近は観光地で仕事をする「ワーケーション」という概念も出てきているが、さらに先を行くのが、常に各地を転々としながら生活する“アドレスホッパー”と呼ばれる人たちだ。
都内の企業でフリーランスとして働く久保智さんは、完全リモートで「365日ホテル暮らし」を実践中だ。全国のホテルを定期的に移動しながら日々の業務をこなしているという。一体どんな生活をしているのか、久保さんに語ってもらった。
もともと引っ越しが好き、一か所に留まりたくないタイプ
株式会社ニットでカスタマーサクセスリーダーを務める久保智です。国内外を問わず365日ホテル生活をする「アドレスホッパー」生活を始めて約3年が経ちました。
ホテル生活を始めるに至った理由を考えると、私の元来のパーソナリティの影響が大きいです。幼少期より、外の世界への興味関心が強く、愛媛県に生まれ育ちましたが、ずっと「たまたまこの土地に生まれ育っただけで、住んだこと無い場所が多い中、知ってる情報だけで住む場所を決めるのはもったいない」と考えていました。
久保智さん
大学は県外の大学に進学し、就職では全国転勤の職場を希望したりと、振り返れば、ホテル生活前から移動してばかりでした。福岡に約5年ほど住んでいたこともありますが、その時も県内で2年に1回ペースで引っ越しをしていました。その後、東京との2拠点生活を経て、今のライフスタイルに行きついたのです。
将来的には、いくつかの拠点で生活をしたいと思っています。それに向け、自分にとって住みやすい場所はどこなのかを、国内外問わず実際に住んで体感するために、現在さまざまな場所を試しているというわけです。
現在の仕事は、オンラインアウトソーシングサービスの営業です。メンバー全員がフルリモートので、全てオンラインで完結しているサービスだからこそ、今の生活が実現しているともいえます。
2〜3週間ごとに全国を移動
現在は「1週間は東京、3週間は別の場所に滞在」という生活を送っています。基本的に移動は週末に行い、2〜3週間ごとに移動。その中でホテルを変えることもあります。
移動先は、その時の気分や季節によって選んでいます。たとえば、知っている場所でゆっくりしたい場合には福岡や大阪を選び、冬に暖かいところで生活したいなと思ったら沖縄にいきます。訪れたことのない県にも積極的に行くようにしていて、これまで約40県ほど滞在してきました。
食事でも、その土地のものを堪能するために、地元料理を食べられる店で外食をすることが多いです。沖縄ではジューシーやゴーヤチャンプル、福岡ではごまさば丼など、アドレスホッパーにとって、土地それぞれの味覚も楽しみのひとつです。
沖縄のジューシー、ゴーヤチャンプル
外食する時間がないときは、チェックイン時に近くのスーパーで食料を買いだめをしておいたり、ホテルで用意することもあります。
東京で家を借りて生活するのとコストは大差なし?
恐らく多くの方が気になるのは、ホテル生活を送るために、実際どれぐらい費用がかかるのかということですよね。結論から言うと、東京に定住するのと変わらないか、むしろ安く抑えられると個人的には感じています。
詳しい内訳をみていきましょう。基本的にホテル代が1日につき3000〜4000円、月間では10万円前後です。ここには通信費や清掃費用や生活消耗品(トイレットペーパーやシャンプーなど)も含まれます。私が東京で1人暮らし用の家を借りていたときには、家賃が1か月12万円程度、さらに光熱費や通信費など様々な費用がかかっていました。そのときと比較すると、大きな差はないと思います。
一般的なビジネスホテルを利用していますが、サイト間で比較するなどして、割引等を上手に利用すれば、上記の値段で宿泊可能です。また、場所を日本に限定せずに、物価の安い国に滞在すれば食費などがさらに安く抑えられます。生活スタイルは人によってさまざまです。私が現在おこなっているホテル暮らしも、1人であるからこそ実現可能なのかもしれません。
生き方と同じく生活スタイルも、「みんながこう生活しているから」ではなく、自分の理想を考えそれに近づくことを意識し、柔軟に行動してみるのもいいのではないでしょうか。