西武・隅田知一郎【写真:荒川祐史】

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即戦力として期待も…今季1勝10敗に終わった西武ドラ1・隅田

 西武のドラフト1位ルーキー隅田知一郎投手が、試練の1年目を終えた。昨年のドラフト会議で4球団が競合した即戦力左腕は、16試合に登板し、1勝10敗、防御率3.75と大きく負け越し。大きな期待に成績で応えることはできなかったが、データを見ると“運のなさ”も災いしていた。

 開幕ローテーション入りを果たし、3月26日のオリックス戦(ベルーナドーム)でプロ初登板初先発。7回までわずか1安打、二塁さえ踏ませない好投で、新人最速の白星を挙げた。昨季パ・リーグワーストの防御率に終わったチームにとって、希望の光になると思われた。

 しかし、そこからまさかの10連敗。8月には救援に回ることもあった。しかし、2桁黒星の詳細を見ると、運のなさも。セイバーメトリクスの指標を用いてプロ野球のデータを分析などを行う株式会社DELTAによると、今季、16登板で援護点はわずかに18。援護率は1.98で、80回以上投げた中では、唯一の1点台だった。計算上では、2失点したら勝てないことになる。

 隅田の防御率は3.75だが、与四死球、奪三振、被本塁打で投手を評価する「FIP(fielding independent pitching )」は3.03。守備が関与しない失点率を評価した指標で、80回以上投げた中では、リーグ8位だった。今季10勝を挙げた日本ハム・伊藤大海投手や12勝した同僚・高橋光成投手らよりも良い数値を残しており、決して“自滅”ではないことがうかがえる。

 今季の西武は自慢の“山賊打線”が影を潜め、チーム打率は12球団ワーストの.229。援護率(9イニング当たりの援護点)も、中日の次に悪い3.28だった。投手が辛抱する試合が続いたが、中でも隅田は苦しめられていた。

 ただ、例え打線に苦しめられたとはいえ、今季の成績は4球団競合のドラ1左腕としては物足りない。“無援護”に負けずに、来季は勝ちを積み重ねることができるか。2年目に真価が問われる。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1〜3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。