昨年から続いている物価の値上げラッシュが止まりません。この10月からは、食料品を中心にさらに多くの品目の値上げが予定されています。家計への影響が気になる中、2022年10月の【フラット35】金利はどうなったのでしょうか。動向を見ていきます。

2022年10月の【フラット35】金利

今月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は融資率9割以下、返済期間21~35年、機構団信加入で1.48%となり9月から0.04ポイント引き下げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.32%と、0.07ポイント引き下げて、2ヶ月続けて引き下げとなりました。なお、8月1日から取り扱いが開始された融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は9月の2.09%から0.08ポイント引き上がり、2.17%となりました。

※ARUHI フラット35 各商品の概要、ARUHI フラット50の活用方法はこちら

ARUHI 住宅ローンの実行金利一覧

建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHI フラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHI スーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。

物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み)は1.27%。

物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.31%。

物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.32%。

物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.33%。

物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.34%。

物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.35%。

物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.40%となっています。

物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.43%となっています。

最新の住宅ローン金利はこちら→【ARUHI フラット35】

2022年10月の【フラット35】金利は機構債とは逆に大幅低下

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。

9月22日米中央銀行のFOMCでは3連続となる0.75ポイントの大幅利上げが決定され、米長期金利が上昇を続けています。FOMCに先立つ9月16日には【フラット35】のベースとなる機構債の表面利率が発表されましたが、市場では大幅な利上げを織り込んで国内金利が上昇しており、前月よりも0.08ポイント高い利率が発表されています。

これによって【フラット35】の金利は上昇することが見込まれましたが、蓋を開けてみると下表に示すように前月よりも0.04ポイントも低い1.48%となっています。

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組みによると、住宅金融支援機構が機関投資家に機構債を販売して資金調達し住宅ローンを貸すという基本スキームとなっています。つまり機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたると考えてみれば理解しやすいと思います。

これまでは、機構債の表面利率の上昇又は下降に対して【フラット35】は同じ方向にだいたい同じ幅で動いてきました。まれに逆方向に動くこともありましたが、その差異は0.01ポイント程度の誤差の範囲内に抑えられていたのです。そのため、機構債の表面利率が0.08ポイントも上昇した翌月に【フラット35】金利が逆に0.04ポイントも低下するというのは極めて異例なことだと言わざるを得ません。

こうなった理由の一つとして【フラット35】は民間の住宅ローンではなく、住宅金融支援機構による公的な住宅ローンであることが考えられます。住宅金融支援機構は独立行政法人であり、政府に代わって公共的な事業を行うために設立され、利益の獲得を目的としていないのです。

これまで急激な金利上昇のあった局面では、利用者が困ってしまわないように住宅ローンの金利上昇幅を緩やかにして、吸収する対応を行ってきました。これは「激変緩和」というもので「民」にはない「公」に特有の考え方です。ただし、今回の【フラット35】金利低下は「激変緩和」を呼ぶにはあまりにも大幅な金利低下です。2022年10月を境として、なんらかの政策的な意図として住宅金融の金利水準を下げるという判断があったのだろうと思います。

なお、2022年10月には【フラット35】の金利引き下げ制度の改正があります。一つは【フラット35】S(ZEH)であり、ZEH水準の住宅を取得する場合に【フラット35】の借入金利を当初5年間0.50%引下げ、6年目から10年目まで0.25%引き下げる制度です。さらに【フラット35】の多様な金利引き下げパターンをわかりやすくするため、2022年10 月以降借入申込受付分から金利引き下げ方法が「ポイント制」に変更されます。

10月の異例の金利低下に加え、制度改正によっても低金利で住宅ローンを借りられる人が増えていますので、今後さらに【フラット35】を利用する人が増えていくでしょう。

※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。

フラット35の仕組み

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