介護保険料は月額いくら? 制度の仕組みや保険料の計算方法などを解説
40歳になると介護保険への加入義務が生じますが、毎月どのくらい介護保険料がかかるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、介護保険制度の仕組みや第1号被保険者と第2号被保険者の違い、保険料の計算方法や支払い方法、滞納した場合のペナルティーなどを解説していきます。
介護保険とは、どのような制度?
まずは、介護保険料制度について解説します。基本的な仕組みや、第1号被保険者と第2号被保険者の違いをおさえることで、保険料の計算方法も理解しやすくなるでしょう。
介護保険制度の仕組み
介護保険制度は、介護ニーズの高まりに応じて、高齢者の介護を社会全体で支え合うために設けられた制度です。基本的な理念には、自立支援、利用者本位のサービス、社会保険方式の3つがあります。窓口は全国の市区町村となっており、保険料50%、税金50%で運営費がまかなわれています。
介護保険は「40歳の誕生日の前日の属する月」から加入義務が生じ、毎月保険料を支払う必要があります。また、要介護または要支援状態と認定されると介護サービスを受けることが可能です。
第1号被保険者と第2号被保険者の違い
介護保険制度は年齢によって第1号被保険者と第2号被保険者に分かれており、それぞれ受給要件や保険料の徴収方法が異なります。各被保険者の違いは次のとおりです。
介護保険料は毎月いくら支払う?
介護保険料は、第1号被保険者と第2号被保険者で異なります。ここでは、それぞれの被保険者の介護保険料について解説します。
介護保険料は人によって異なる
介護保険料は第1号被保険者と第2号被保険者で、計算方法や支払い方法に違いがあります。第1号被保険者の保険料は自治体ごとに定められている一方、第2号被保険者は加入している健康保険によって計算方法が異なります。同じ第2号被保険者でも、給与所得者と自営業者で違いがあるので注意が必要です。
第1号被保険者の介護保険料
第1号被保険者の保険料は、市区町村ごとに決められた基準額、または所得の状況を考慮して計算します。具体的には、本人の所得以外に世帯ごとの扶養家族や住民税の課税の状況などを考慮して決定されることになります。
介護保険料の基準額は、「自治体の介護サービスに必要な年間予算額×23%÷その自治体の第1号被保険者の総数」で求められます。基準額が市区町村によって異なるため、保険料を計算するには住んでいる市区町村に確認が必要です。3年ごとに基準額は見直され、2021~2023年度は全国平均で月額6,014円となっています。
第2号被保険者(給与所得者)の介護保険料
会社員のような第2号被保険者の場合、給与と賞与に介護保険料がかかります。給与にかかる介護保険料の計算式は、「標準報酬月額×介護保険料率」です。
「標準報酬月額」とは、毎年4月~6月の給与の平均額を、全50等級の「標準報酬月額表」に当てはめたもので、「介護保険料率」は保険者によって異なります。たとえば、保険者が全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、2022年3月分からの介護保険料率は1.64%(半分の0.82%は事業主が負担)となっています。
また、賞与にかかる介護保険料は、「標準賞与額×介護保険料率」で計算されます。「標準賞与額」とは、税引き前の賞与の合計額から、1,000円未満を切り捨てた額のことです。ただし、標準賞与額は年度ごとの累計で573万円が上限になります。
第2号被保険者(国民健康保険加入者)の介護保険料
自営業など国民健康保険加入者の介護保険料は、「所得割+均等割+平等割+資産割」で計算します。つまり、「所得割」「均等割」「平等割」「資産割」の4つの項目によって介護保険料が決まります。それぞれの項目の内容は次のとおりです。
・所得割:前年の世帯所得から基礎控除額を引いた額に税率をかけたもの
・均等割:最低限の保険料負担で、「世帯ごとの加入者数×均等割」で求められるもの
・平等割:すべての世帯が平等に負担する金額
・資産割:固定資産税額に税率をかけたもの
ただし、介護保険料は自治体独自の基準で計算されるため、市区町村によって料率や計算に含まれる項目が異なります。具体的な計算方法は住んでいる市区町村に確認しましょう。
介護保険料を支払う方法
介護保険料の支払い方法も、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)で異なります。
第1号被保険者の場合、特別徴収と普通徴収の2通りの方法があります。特別徴収は、年間18万円以上の年金を受給している人が対象で、年金から自動的に天引きされます。普通徴収は、年金額が年間18万円未満の人や、年金の繰り下げ受給を選択した人などが対象で、納付方法は納付書による支払いまたは口座振替です。
第2号被保険者の場合は、健康保険料と一緒に介護保険料を支払うことになります。会社員の人は給与から天引き、自営業の人は口座振替や納付書による支払いです。
介護保険料を滞納したらどうなる?
介護保険料を特別な理由なく滞納した場合、滞納期間によって次のような措置が取られます。
・1年未満の滞納:延滞金や督促手数料が発生します。
・1年以上の滞納:介護サービスを受ける際に、本来なら1~3割の負担で済むところ、利用者が全額負担しなければなりません。滞納解消後に申請すると、保険給付分が払い戻しとなります。
・1年6ヶ月以上の滞納:介護サービスを受ける際に利用者が全額負担した後、滞納を解消して申請しても、保険給付の一部または全部が一時的に差し止められます。
・2年以上の滞納:後払いができなくなり、利用者負担割合が3割または4割に引き上げられます。高額介護サービス費も適用されません。
このように介護保険料の滞納にはペナルティーがあるので注意しましょう。
介護保険料の支払いが困難な場合は?
生活困窮や災害などの事情がある場合は、介護保険料が減免される可能性があります。その場合は納期限までに市区町村へ減免申請書を提出しましょう。申請が認められれば、2ヶ月から1年まで保険料が減免されます。納期限延長の猶予措置もあるので、大幅に収入が減ったときは、早急な申請を検討してください。
なお、申請する際は、収入減少を証明する書類や罹災(りさい)証明書などが必要です。詳細は市区町村に確認するとよいでしょう。
まとめ
介護保険料は年齢や職業、自治体によって計算方法や納付方法が異なります。具体的な計算方法が知りたい場合は、市区町村の窓口などに確認が必要です。
介護保険料の支払いができない場合、申請すれば介護保険料の減免や、納期限の猶予を受けられる可能性もあります。滞納せず、早めに市区町村の窓口に相談しましょう。