腎臓内科医が教える「コレステロール値の注目ポイント」。大切なのは善玉と悪玉の比率

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 腎臓内科、透析科等を専門とする「大森真帆麻布十番クリニック」の院長・大森真帆先生に「CoCoKARAnext」がインタビューを行った本連載。

前回は知られざる腎臓と痛風の関係についてお伝えしました。

3回目となる今回は、痛風も含まれる、生活習慣病についてご紹介します。

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コレステロール値はどう見ればいいのか?

生活習慣病の中でも、特に中年男性の多くが気にしているのは、コレステロール値ではないでしょうか?最近では、コレステロール値を下げる健康食品も多く出ていますよね。

実は、このコレステロール値について、大森先生は、ある点に気をつけて欲しいといいます。

「今は総コレステロールの数値よりも、悪玉コレステロール、善玉コレステロールの比率で判断します。たとえ、悪玉コレステロールの数値が低くても善玉も低ければ、投薬が必要になることもあります。例えば悪玉コレステロールが同じ180だとしても、善玉コレステロールが100の人と30の人では全然違う。投薬の基準が違ってきてしまうんですよね」

加えて、総コレステロール・、善玉コレステロール・悪玉コレステロールと同じく血中脂質成分の一種である中性脂肪についても、このような注意が必要だといいます。

「中性脂肪は、前日や直前に食べた物が影響します。当然脂肪分の多いものを摂取したら数値も上がります。あとは、肝臓での代謝の問題なんですよね。肝臓は、必要な脂質を蓄積したり、不要なものを排除する。例えば、そんなに食べてもいないし痩せているのに、中性脂肪だけ高い方もいます。
そういう方は、普通よりも肝臓での分解能力が低いと思ってください。すごい痩せていても若い時からコレステロール値が高くて狭心症になっちゃうとかもありますから」

と大森先生。

 生活習慣病が増大していることによって注目を集めるコレステロール値に関しては、「その人その人の処理能力もあるので、検診をしてみないとわからない」といい、その上で「健康診断を受けた際、何か一つでもA判定ではないものがあれば病院を受診してもらうのが1番良いと思いますね」。

先にも取り上げましたが、病院ごとに健康診断の判定の意味が異なる場合もあります。いずれにせよ健康診断を含め何か検査をおこなった際には、数値の見方、さらには人それぞれ処理能力が違うということを頭に入れておいたほうが良さそうです。

次回は、近年流行りつつある、筋トレと腎臓の関わりについてお伝えします。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

大森真帆(おおもりまほ)

医師・医学博士。大学卒業後、都内の大学病院などで腎臓内科、透析科で勤務。その後、腎臓内科、アレルギー科を専門とする「大森真帆麻布十番クリニック」を開業。糖尿病や高血圧などを含む生活習慣病や予防医療にも注力している。