この記事をまとめると

ポルシェがディズニー映画「カーズ」に出てくるクルマを実車化

■過去に「モックアップ」という形で再現されていたが、今回は走行可能だ

■オークションに出品され、ポルシェ史上類を見ない額で落札された

ポルシェがディズニー映画の登場人物を実車化!

 ピクサーの映画「カーズ」(2006)を、まさか子ども向けのマンガアニメだなどと思っている方はいらっしゃらないでしょうね。もし、思っていたとしたら、このニュースに仰天すること請け合いです。

 カーズは、クルマが擬人化された世界で、主人公ライトニング・マックイーンがNASCARをイメージしたレースを軸にストーリーを展開。そこで、ルート66沿線の忘れ去られた街を再興しようと奮闘するクルマたちとの交流を描いた心温まる「カーマニア」な映画。とにかく、アニメながらレースシーンの迫力は別格で、またNASCARの王者、キング・ペティことリチャード・ペティをはじめ、ポール・ニューマン、ジェイ・レノといったレーサーやクルマにまつわる有名人が声優を務めるなど、ジョン・ラセター監督のクルマ愛が存分に伝わってくる作品です。

 2008年には、国内でもピクサーとのコラボによってaprチームが「カーズ・レーシング」としてスーパーGT選手権に参戦。MR-Sをベースとしたマシンは「ライトニング マックイーンapr MR-S」を名乗ったこと、ご記憶の方も少なくないでしょう(ちなみに、前年は「トイストーリー・レーシング」として活躍していました)。

 で、主人公がほのかに恋心を抱く相手がポルシェ911。サリーという彼女は訳あり弁護士であり、またルート66沿いにあるラジエーター・スプリングスでモーテルを経営。はじめこそライトニングに反感をいだくものの、一緒に爆走ドライブをすると次第に互いを意識し始めて……なんて感じ。で、このサリーは「あまりにチャーミング!」ということで、公開後すぐにポルシェ自身がモックアップを製作しました。

 完成したモデルはポルシェ・ミュージアムに飾られ、運がいい方は実物を目にすることができたはず。劇中のサリーを忠実に再現しており、広報写真を見る限りでは実際の911に程近い大きさで、いわゆる「原寸大」モックアップとされています。クルマが人格をもつ設定を守っているのでしょう、ヒトが乗ることはかなわず、ドアすら開かないようです。

 で、このモックアップの人気に気を良くしたのか、はたまたマテルが売り出しているカーズのミニカー人気を羨んだのか、ポルシェが再びサリーを作っちゃいました。

 なにしろ、いまやマテルの売り上げの10%はカーズが稼ぐというほどの大人気ですし、映画はパート3まで公開され、またスピンオフ作品も数多くリリースされているのです。こうなると、ディズニーにたきつけられたバイザッハの首脳陣が「まだイケるっちゃイケんだな」と、デザイン部門に「サリー、今度は実車でヨロ〜」と下命したのも容易に想像がつきますね。

 もっとも、ポルシェなのかディズニーなのかわかりませんが、売り上げは全額寄付することが決定されていますので、実際はそれほどキナ臭い話ではなさそうですがね。

ただのコラボモデルではないところがポルシェの凄いところ

 さて、実車のサリースペシャルはその名のとおり、サリーへのオマージュが込められたワンオフモデル。現行ストックモデル中、最速の911カレラGTSがベースに選ばれ、前述のとおりポルシェのデザイン部門とピクサーのコラボによって作り上げられました。

 サリーブルーメタリックと呼ばれるオリジナルなボディペイントをはじめ、随所にカーズのシリーズエンブレムやサリースペシャルのロゴが配されたインテリアや「サリーのドライビングへの情熱」に敬意を表したマニュアルシフトを選ぶなど、なるほど気が利いた1台となっています。

 さらに、劇中のサリーが履いていたターボ仕様のホイールも、再解釈したデザインで再現。サリーを知らない人が見ても「おや、カレラGTSにこのホイール!?」となること請け合いです。

 しかも、これまたワンオフのポルシェ製クロノグラフウォッチ、サリースペシャルの開発・製造を丹念に記したブックレット(デザイナーの原画までついてくるそうです)など、オマケというにはゴージャスなものが付属しているのです。

 でもって、売りに出されたのはお馴染みRMサザビーズなんですが、ついた値段が360万ドル(約5億円)。同社でも「ポルシェの新車としては記録的」とホクホク顔(売り上げの1割を手数料としてかすめるのですから当然です)。購入者は公表されていませんが、ディズニー/ピクサーがカーズシリーズを制作していく限りは値下がりどころか、とんでもないプレミア上乗せが期待できると、こちらもウハウハ顔してるのは間違いないでしょう。

 ポルシェのワンオフといえば、オールドファンには「ポルシェ博士の誕プレ」がデフォ。このしきたりはずいぶん昔になくなってしまいましたが、サリースペシャルのニュースによって「ポルシェ博士が聞いたらさぞ喜ぶに違いない」などと想像してしまったのは、おそらく筆者だけではないでしょう。