UNIVERSITY of CREATIVTY(UoC)の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。

9月7日(水)の放送では、ハピキラFACTORYの代表取締役・正能茉優(しょうのう・まゆ)さんがゲストに登場。これまでの経験とデジタルの力を活用した政策について語ってくれました。

(左から)Misa、正能茉優さん、Hide


正能茉優さんは、慶應義塾大学総合政策学部在学中、“かわいい”を入り口に地方を元気にしていく会社「ハピキラFACTORY」を創業。現在、31歳という若さでありながら、社長・社員・先生と、パラレルキャリアの持ち主です。さらに、「まち・ひと・しごと創生会議」の最年少委員や、地方を中心にしたデジタル技術の実装を進めていく「デジタル田園都市国家構想実現会議」のメンバーとしても活躍しています。

◆地域の魅力に気付いた大学生時代

Misa:実は茉優さんとはお互い新卒で入った博報堂の同期なんです。昔からすごかったけど、今、何をやっているのかますます気になっています(笑)。改めて、茉優さんの経歴から教えていただけますか?

正能:私は東京生まれの東京育ちで、大学入学をきっかけに長野県の小布施町ってところに行ったんです。大学の先生からの紹介で、“まちづくりインターンシップ”というプログラムで行きました。そこで地域の魅力にびびっと来てしまいました。

Hide:20歳ぐらいのキラキラした女子大生時代に。

正能:19歳ぐらいでしたね。ずっと東京で暮らしていたときは、受験戦争のなかで、いい大学に入っていい会社に入っていいお家にいい車、いわゆる「勝ち組ってこういうのだよ」みたいな経済的な豊かさを追い求める10代だったんです。

Misa:おお。

正能:だけど、小布施町に行ったら、みんながみんな、いい車に乗っているわけではないけど、めっちゃ幸せそうに暮らしているんですよ。また、小布施町に住んでいることにみんながすごく“誇り”を持っているんですよね。

Misa:うんうん。

正能:かたや、東京という大都市で生まれ育った私は、東京に生まれたことを誇りに思ったこともなければ、暮らしていることを楽しんだこともなかったわけです。

受験戦争のなかで、親とか先生に言われてきた「勝ち組って何だったんだろう?」って思うようになってきて、経済的な豊かさや物質的な豊かさ以上に、精神的な豊かさを持つ地域を好きになったのが19歳ぐらいのときです。それから小布施町に通い始めたのが、地域との出会いです。

Hide:自分も今だとその感覚がすごくわかるけど、(当時の)同級生はどんな反応でした?

正能:「地域を魅力的に!」って話すような人はいなかったですね。でも、今だと「地域と関わることってイケてるよね」みたいな空気感があるじゃないですか?

Hide:この10年ぐらいでだいぶ変わりましたよね。

正能:当時はそういった感覚がなかったですからね。夜まで友人と遊んでから夜行バスに乗って小布施町に行っていたんですけど、「最近、小布施って街がイケててさ」「は?」みたいな空気感でしたね、当時は(笑)。

Hide:なるほどね。

正能:それで小布施町に行ったことがきっかけで、“かわいい”を入り口に地方を元気にしていく会社、ハピキラFACTORYを起業することになるんですけど、起業した状態で博報堂に入社したのが2014年ですよね?

Misa:そうですね(※Misaと正能さんは同期入社)。

正能:そのあとにソニーに転職をして、今はパーソルキャリアという人材系の会社で新規事業を担いながら、ハピキラFACTORY、国のお仕事、慶應義塾大学の特任助教など、けっこういろんなことを好きなバランスでやっているって感じですね。

私が考える幸せな働き方を「ビュッフェキャリア」って呼んでいるんですけど、ビュッフェみたいに好きなものを好きなバランスで、好きなだけ楽しんでいくってことができたらいいなと思っています。

◆異質であることは“価値”にもなる

Hide:「いろんな選択肢を持ちながら仕事をする」という生き方をしていますけど、創造性との関係はどう思われます?

正能:「社会との貸し借り」はめちゃくちゃ大きなキーワードですね。先ほど言った「ビュッフェキャリア」という働き方や環境を与えてもらっているからこそ、社会や国に何か貢献したいって気持ちがベースにあります。自分は何を持っているんだろう、自分に何ができるんだろうって考えると、特殊なスキルがあるわけではないので、自分の能力が活かせる環境に自分がどういう風に身を置くかってことを考えるようにしています。やっぱり、均質な環境では均質な存在って価値発見ができないじゃないですか?

Misa:うんうん。

正能:その人がひとたび異質な環境に身を置くと、「その異質さでその環境に何か貢献できることがあるんじゃないのかな」って私は考えます。自分みたいな人がいないような場所、たとえば地域だったり、官邸で開かれる会議だったりとかで、ありのままの自分の目線を伝えることって価値になると考えています。

Hide:たしかに。異邦人というか、自分とは違う場所に行ったほうが、自分の価値、創造性が発揮できるということですね。

正能:はい。しかも、異質な存在が当事者として、物事を述べることがすごく大事だと思います。

Misa:なるほど。

◆デジタルの力ができること

Misa:官邸ではどんな話をしていますか? 言える範囲でいいので。

正能:岸田首相は「デジタル田園都市国家構想」を肝煎りの政策としてやっています。何をやろうとしているのかというと、デジタルの力を使って、都市部にある経済的な豊かさと田園部、つまり、地域にある精神的に豊かな暮らしを両立させていこうという構想なんです。

Misa:うんうん。

正能:これまでは、地域に住んだら地域のなかで教育や医療も受けるし、そこで働くといった、住むところとその他諸々がすべて一緒だったんですよ。でも、デジタルの力を使えば、住む場所とそれ以外のことが物理的に遠くても可能になるよねっていう発想です。

その構想において、実際にどういうことをやっていくかを考えたときに、性別、世代、地域との関わり方などについて、自分の考えや立場をフラットにしながら「こういう立場の人はこういうことを思っています。ですので、政策はこうしていきたいです」みたいなことを発言しています。

Hide:(正能さんが)先ほどおっしゃったように、異質な存在が当事者として、物事を述べているわけですね。

Misa:切り込んでいますね!

◆社会創造を育む方法は褒めること

Misa:それでは最後に、番組恒例の質問です。正能さんにとってワクワクする社会創造のタネは何ですか?

正能:褒めたい、褒められたい。

Misa:昔から言っていますね(笑)!

正能:そう(笑)。自分でやったことを自分で褒めたいし、周りからも褒められたい。そうすると、社会のためになることを自ずとしますよね。

Misa:たしかに。さっき言っていた“貸し借り”に近いところがあるかもしれない。

正能:「社会との貸し借り」はカッコよく言っているんですけど、日々の感覚だと「褒められたいな。自分のことをすごいって思いたいな」みたいな(笑)。

Misa:それで周りが巻き込まれていって、風が吹くんですね。なるほど、納得です。



次回9月14日(水)は、東京アーバンパーマカルチャー創始者で共生革命家のソーヤー海さんがゲストに登場します。お楽しみに!

番組でお届けしたトークは音声サービス「AuDee」 https://audee.jp/voice/show/49474と「Spotify」 https://open.spotify.com/show/6biaO40gUuf4gbI2QhdTsL?si=C2-xOifkQz230V6X514UlAでも配信中。ぜひチェックしてみてください!

----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック! https://www.tfm.co.jp/link.php?id=9377
聴取期限 2022年9月15日(木)AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です⇒詳しくはコチラ https://www.tfm.co.jp/listen/#radiko
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:hhttps://www.interfm.co.jp/mandala