82年前の8月24日、ドイツの戦艦「ビスマルク」が竣工しました。

ドイツ復活を賭けた巨大戦艦


1940年のきょう竣工したドイツ戦艦「ビスマルク」(画像:アメリカ海軍)。

 1940(昭和15)年の8月24日。ナチス・ドイツが建造した同国史上最大の戦艦「ビスマルク」が竣工しました。

 全長250m、満載排水量約5万405トン、速力30.8ノット(57km/h)。同時期に日本の帝国海軍が建造した「大和」「武蔵」などと同じく、当時の技術の粋を詰め込んだ巨大戦艦として誕生しています。

 建造開始は1936(昭和11)年。かつてドイツは第1次世界大戦で連合国に敗れ、ヴェルサイユ条約で軍備を大幅に縮小・制限されていました。しかし1933(昭和8)年にヒトラー率いるナチス(国民社会主義ドイツ労働者党)による全体主義体制が成立すると、ヴェルサイユ条約を一方的に破棄し、軍備拡張の一環でシャルンホルスト級戦艦(巡洋戦艦)の建造を開始。それに続く超ド級戦艦の1番艦として生まれたのがこの「ビスマルク」でした。

「ビスマルク」は対イギリス戦で脅威を見せつけます。正式な“デビュー戦”となった翌年5月24日のデンマーク海峡の海戦では、当時イギリス海軍の象徴的存在であった戦艦「フッド」と直接対峙。激しい砲撃の応酬ののち、「フッド」を撃沈することに成功します。さらに最新型の「プリンス・オブ・ウェールズ」にも砲撃を加え、艦橋を破壊する大損害を与えます。

 イギリス海軍の出鼻をくじく戦果を挙げた「ビスマルク」ですが、その後、執拗な攻撃を受け続けます。空母「ヴィクトリアス」から発進した雷撃機による航空魚雷の攻撃を受けますが、かろうじて軽傷で逃げ切ります。しかし空母「アークロイヤル」も現れ、今度は数発が命中してしまいます。

 駆逐艦からの魚雷攻撃も振り切った「ビスマルク」ですが、戦艦「ロドニー」「キング・ジョージV世」、さらに重巡洋艦「ノーフォーク」「ドーセットシャー」に囲まれ、万事休す。「フッド」の敵討ちとばかりにイギリス海軍の猛攻撃を受けて、ついに沈没しました。5月27日の昼前のことでした。

 デビュー戦で「フッド」を沈めてからわずか3日のことでした。ドイツ戦艦の脅威を目の当たりにしたイギリス軍の、「絶対に生かして帰すまい」という執念が上回った結果だったといえるでしょう。

 ちなみに、「ビスマルク」に乗っていて救助された猫は、その後イギリス軍の駆逐艦「コサック」と空母「アークロイヤル」の沈没も経験したものの、いずれも生還。そういった経緯から「不沈のサム」というあだ名がついたそうです。