「鉄道なくして脱炭素なし」国が方針 燃料電池車両や「架線レス化」に補助金検討へ
いよいよ「キハ」淘汰の時代がはじまる…!?
脱炭素社会に鉄道を明確に位置付け
JR東日本のの蓄電池駆動電車「EV-E301系」(画像:photolibrary)。
国土交通省は2022年8月16日(火)、「鉄道分野におけるカーボンニュートラル加速化検討会」の中間とりまとめを発表。その中で、国の方針として、取り組みを「2H3T」の5種類に分類し、「鉄道なくして脱炭素なし」「脱炭素なくして鉄道なし」の考えを主軸に進めていくとしています。
鉄道は国内の電力消費の2%を占めますが、鉄道のCO2排出の9割が電力由来で、その4分の3が火力発電由来とのこと。そこで、鉄道業界で脱炭素の取り組みを進めることは、日本全体の脱炭素へのインパクトも大きい、ということです。
「2H3T」の取り組みは、「減らす・運ぶ・作る・貯める・使う」の5分類。未利用空間の発送電システムへの活用や水素拠点、輸送方式の構築など「鉄道が社会にもたらす脱炭素の仕組み」に加え、目玉となるのは、消費エネルギーを「減らす」に分類される、省エネ車両の促進です。
国は「ローカル線の進化」と位置づけ、非電化区間のディーゼル気動車を燃料電池(水素発電)や蓄電池による車両に置き換えるほか、電化区間の閑散路線を「架線レス化」して電池車両による運行とするなど、「持続可能性を高める鉄道」をめざすとしています。
今後この検討会では、最終とりまとめに向けて、「2050年に鉄道のCO2排出量を実質ゼロ」といった具体的な目標値設定を図るほか、鉄道事業者などへの補助金を早ければ2023年度予算へ盛り込めるよう、検討を進めていくとしています。
補助金による非電化区間の「無架線電化」が進めば、各地のディーゼル気動車もいよいよ淘汰の時代を迎え、電車の車窓も「架線や電柱の無い風景」へ移り変わっていくかもしれません。
国は取り組むべき事項について「今年度中にロードマップを作成する」としています。