グリーンカーテンは夏の暑さを和らげるだけでなく、観賞用としても楽しめます。ただし、グリーンカーテンに使用される植物は、夏が終わると枯れてしまうものがほとんどです。せっかく作ったグリーンカーテンを夏だけでなく一年中楽しみたいと考える人も多いでしょう。そこで今回は、冬でも枯れないグリーンカーテンにおすすめの植物を紹介します。

グリーンカーテンにおすすめの植物

グリーンカーテンを作ったことがない人のために、まずは定番の植物を紹介します。初心者でも育てやすい品種が多いため、参考にしてください。

ゴーヤ
ゴーヤはツルレイシやニガウリとも呼ばれる熱帯アジア原産の植物で、暑さに強いのが特徴です。病害虫にも強く育てやすいため、初めてグリーンカーテンにチャレンジする人も上手に育てられるでしょう。5月ごろに苗を植えれば、7月下旬から10月上旬にかけて実を収穫できます。本来は多年草に分類される植物ですが、日本では屋外での越冬ができません。

沖縄料理「チャンプルー」でおなじみのゴーヤは栄養価が高く、夏バテ予防効果が期待できる夏野菜です。暑さ対策に加えて、収穫や食べる楽しみがあるのは嬉しいですね。

アサガオ
アサガオをグリーンカーテンにするなら、繁殖力がある西洋アサガオがおすすめです。種まきの時期は4月下旬から5月ごろです。苗から育てる場合は6月ごろに植え付けます。日本アサガオに比べて開花時期が長く、8~11月ごろまで涼しげな空色の花が咲きます。

より長く花を楽しむコツは、花の咲きガラをこまめに取り除くことと、適度な摘芯を行うことです。なお、夜になっても明るいと花がつきにくくなるため、設置場所に注意してください。寒くなると枝葉は枯れてしまいますが、土中の根は生きているので、土が乾いたら水を与えるようにしましょう。

フウセンカズラ
フウセンカズラは、その名のとおり紙風船のような可愛らしい実をつけます。バルーンパインの別名を持つ、熱帯地方原産のつる性植物です。生長が早いのが特徴で草丈3mほどまで育ちます。発芽や生育には20度以上の気温が適しているため、夏のグリーンカーテンにぴったりの植物といえるでしょう。

種まきの時期は4~6月ごろ、開花時期は9~10月ごろです。一年草のため越冬はできません。

ミニカボチャ
カボチャは畑でゴロゴロと育つイメージがありますが、小さくて軽いミニカボチャならグリーンカーテンとして栽培できます。種まきの時期は4~5月ごろ、実を収穫できるのは7月ごろからです。異なる株の花を利用して人工受粉を行うため、2株以上を育てるようにしてください。上手に育てられれば、1本のつるから3~4個の実が収穫できます。

病害虫に強い植物ですが、うどんこ病やウリハムシへの対策が必要です。通気性をよくするために、つるが混み合ってきたら適度に剪定を行いましょう。

キュウリ
夏野菜の定番ともいえるキュウリもグリーンカーテンにおすすめの植物です。大きめの葉が日射熱をしっかりガードして室内の涼しさを保てるうえ、新鮮なキュウリを味わえるのは楽しみですね。5~6月ごろに種をまけば、7月中旬から9月下旬にかけて収穫できます。15~20cmほど育ったら収穫のタイミングです。残しておくと重みが出て株に負担がかかるため、すべて収穫するようにしてください。

病害虫に強く育てやすい植物ですが、うどんこ病などの病害やアブラムシが発生することがあります。枝葉を剪定して風通しのよい状態を作るようにしましょう。

グリーンカーテンは冬を越せない?

グリーンカーテンにおすすめとされる植物の多くは、春から夏にかけて生長する一年草です。冬になれば枯れてしまうため、つるをネットから外して処分しなくてはなりません。本来は多年草のゴーヤも屋外では日本の冬を越せないので、屋内に移動させるか撤去することになります。

「撤去の手間を省きたい」「一年を通して植物を楽しみたい」という場合は、同じつる性の植物でも寒さに強いタイプを選んでみてはいかがでしょうか。常緑性のアイビーやスイカズラ、冬咲きのクレマチスなど、冬の窓辺を美しく彩ってくれる植物がおすすめです。

冬でも枯れない常緑のグリーンカーテン

ここからは、冬でも枯れないグリーンカーテンにおすすめの植物を紹介します。一年中、グリーンカーテンを楽しみたい人におすすめです。

カロライナジャスミン
カロライナジャスミンは常緑のつる性植物で、一年を通じてグリーンカーテンが楽しめます。耐寒性が強くマイナス10度の気温にも耐えますが、寒い地方では赤褐色に紅葉し、葉が落ちることもあります。別名はゲルセミウム。漏斗型の花を咲かせることからトランペットフラワーとも呼ばれています。

春になると香りのよい濃黄色の花が咲きますが、誤って口に入れないように注意してください。お茶にできるジャスミンとは違い、カロライナジャスミンは有毒性です。香りを楽しむだけにしましょう。

アイビー
アイビーは暑さにも寒さにも強く、とても繁殖力が高い植物です。日陰でも生長するほど丈夫で、凍ることを避ければ屋外での越冬も可能です。

葉の形や色、模様は品種によってさまざまです。グリーンカーテンにするなら特に丈夫なヘデラ・ヘリックスやヘデラ・カナリエンシスといった品種を選ぶとよいでしょう。春から夏にかけては驚くほどのスピードで生長するので、伸びすぎたと感じたらこまめに剪定するようにしてください。

トケイソウ
時計の文字盤のような花が特徴的なトケイソウには500種以上の品種があり、南国の果物パッションフルーツもその一つです。亜熱帯を中心に分布する植物ですが、クリア・スカイやアメジストなど寒さに強い品種もあります。

開花時期や花の色は品種によって異なります。なかには耐寒性のない品種もあるため、冬も楽しみたいなら耐寒性のある品種を選びましょう。

クレマチス
クレマチスはつる性の多年草で、英国ではバラのパートナープランツとして知られています。初夏の花というイメージがありますが、系統や品種によって開花期はさまざまで、くりかえし咲く四季咲きタイプや、冬に上品な花を咲かせる冬咲きタイプがあります。

冬咲きタイプの一つアンスンエンシスは常緑性で、12~2月中旬にかけてベル型の白い花を咲かせます。同じく12月に開花期を迎えるナパウレンシスは落葉性です。夏は休眠して秋に生育を始めるため、夏のグリーンカーテンにはなりません。一年を通して楽しむのなら常緑性のアンスンエンシスがおすすめです。

スイカズラ
スイカズラは日本に自生する半落葉性のつる植物です。4~6月にかけて甘く爽やかな香りを放つ花を咲かせ、花の色が白から黄色へと変化することから金銀花とも呼ばれています。英名はハニーサックルといいます。

海外での品種改良により、ピンクやオレンジなど花色が豊富になりました。暑さ・寒さに強く、丈夫で育てやすい植物です。花が咲きにくくなったときは花用の肥料を与え、咲き終わったら随時剪定するようにしてください。

まとめ

グリーンカーテンに適したつる性植物には、冬が越せない一年草と何年か続けて育つ多年草とがあります。冬が越せない品種は秋から冬にかけて枯れてしまうため、一年を通して楽しむことができません。夏の暑さ対策だけでなく冬も観賞用に楽しむなら、耐寒性のある多年草を選ぶとよいでしょう。