テレビCMでも有名、ピーク時には長崎県

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自社ブランドのコーヒー「Jima Coffee」なども展開していた

 (株)お茶の山口園(TDB企業コード:850065641、資本金3250万円、長崎県長崎市文教町8-2、代表山口正憲氏)と関係会社の山口園商事(株)(TDB企業コード:850247410、資本金4800万円、同所、代表山口幸敏氏)は、6月17日に長崎地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は中西祥之弁護士(長崎市栄町1-25、中西総合法律事務所、電話095-895-7070)。

 (株)お茶の山口園は、1962年(昭和37年)2月に創業、71年(昭和46年)3月に法人改組した茶類の小売業者。長崎県を中心に九州各県や山口県において、「お茶の山口園」の店舗名で、自社加工した九州産の緑茶やウーロン茶などの贈答用商品の販売および卸売を手がけていた。テレビCMの放映や新聞のチラシなど積極的な宣伝活動により、相応の知名度を有しており、ピーク時にはショッピングセンターや百貨店などの商業施設内の店舗も含めて約60店舗展開し、2002年9月期には年売上高約25億1500万円を計上していた。

 しかし、景気悪化による個人消費の低迷や、安価なペットボトル商品の普及に加えて、贈答用などの高価なお茶の需要が低下したことで業績は苦戦を強いられていた。打開策として、自社ブランド「Jima Coffee」等コーヒー豆を販売するほか、HP上で通信販売などを行っていたが、売り上げは伸び悩んでいた。新型コロナウイルス感染拡大以降は、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用により、一時休業や時短営業を強いられたことで、2021年9月期の年売上高は約10億3500万円までダウン。3期連続で営業損益段階から赤字を計上し、債務超過状態となっていた。近時は、取引先に対して支払い遅延が常態化するなど資金繰りが逼迫。不採算店舗の閉鎖を進めていたなか、年商の2倍を超える借入金の返済負担が重荷となっていたこともあり、事業継続を断念。全店舗を閉鎖し、今回の措置となった。

 山口園商事(株)は1989年(平成元年)2月に設立。不動産管理などを手がけていたが、(株) お茶の山口園に連鎖する形となった。

 負債は、(株)お茶の山口園は債権者約38名に対して約27億1000万円、山口園商事(株)は債権者約22名に対して約2億円、2社合計で約29億1000万円。