久保建英はR・ソシエダのラブコールに応じるのか。(C)Getty Images

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 久保建英の移籍先候補として再び浮上しているのがレアル・ソシエダだ。近年、ロベルト・オラベSDとイマノル・アルグアシル監督がそれぞれフロント、現場のトップに君臨する双頭体制を確立し、昨シーズンはラ・リーガを6位でフィニッシュ。3年連続でヨーロッパリーグ(EL)の出場権を獲得した。

 戦術に目を向けると、バルセロナのそれを連想させるポゼッションを基調にした攻撃的なサッカーがR・ソシエダの代名詞。ただ昨シーズンは、少し様相が異なった。ラ・リーガの38試合で得点40、失点37という数字が示すように、前線の得点力が減少。代わりにチームを支えたのが守備陣だった。

 そんな中、今夏、主に右ウイングで起用されていたふたりのアタッカー、アドナン・ヤヌザイ(契約満了)とポルトゥ(ヘタフェにレンタル)がすでに退団。FWのアレクサンダー・セルロトと攻撃的MFのラフィーニャもレンタル期間の満了に伴い、それぞれ所属元のRBライプツィヒとパリ・サンジェルマンに返却した。

 さらにエースのミケル・オジャルサバルを筆頭に、アンデル・バレネチェア、カルロス・フェルナンデス、マルティン・メルケランス(ラージョからレンタルバック)と、怪我で昨シーズン、長期欠場を余儀なくされたアタッカーを数多く抱えている。

 その昨シーズンは、終盤にダビド・シルバが活躍を見せ、それがELの出場権獲得に繋がったが、36歳のベテランだ。フル稼働は期待できない。実際、20年夏の加入以来、故障による欠場を繰り返している。

 その一方で、R・ソシエダはスペイン屈指の育成クラブでもあり、現在のBチームにもFWのホン・カリカブル(19歳)、攻撃的MFのロベルト・ナバーロ(20歳)にロベルト・ロペス(22歳)と逸材が揃うが、トップチームでどこまで活躍できるかは未知数だ。
 
 つまりメンバーが揃っているようで、その実、不確定要素が少なくないのだ。

 現地紙『マルカ』は、R・ソシエダが5年契約の完全移籍で久保の獲得を狙っていると報じているが、その背景には、新たな攻撃の核を必要としているそうしたチーム事情があり、“エムバペ2世”の異名をとるモアメド=アリ・チョ(アンジェ)を今夏に獲得したのも、その一環に他ならない。ちなみにR・ソシエダは昨夏も、2年前の夏も、久保の獲得に動いている。

 R・ソシエダはチームの実力的にも、ELに参戦するという点でも、久保が2020−2021シーズンの前半戦に所属したビジャレアルと似ている。そのビジャレアルでは出場機会に恵まれず、冬にヘタフェに所属先を切り替え、後日、本人が「選択ミスだった」ことを認めていた。

 しかしR・ソシエダ一筋で指導歴を築いてきたアルグアシルは、年々現実路線への傾倒が強まっているビジャレアルのウナイ・エメリとはまた異なる監督だ。戦力的なニーズにも合致し、久保獲得に向けての本気度も高く、そして長年、攻撃的なサッカーが育まれた環境を持つR・ソシエダ。久保の新たな移籍先として、魅力的な選択肢であるのは間違いない。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

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