ストレスの発散・解消方法をメンタルトレーナーが解説。心身のケアにランニングが効果的な理由
4~6月にかけては変化が多い季節。新しい職場や住まい、仲間などとの出会いがあったり、日によって寒暖差が激しかったりと、心身ともにストレスをため込んで自律神経が乱れがちです。
そんななか、「リフレッシュしたい!」と感じている人も少なくないのではないでしょうか。
ストレス解消やリフレッシュ方法の一つとしてランニングがあります。
「運動不足の解消に!」と気軽に始められることもランニングの魅力の一つですが、走ることによって精神面に良い影響を与えることも期待できます。
今回は、「アンブロ」ブランドアンバサダーの元プロフットサル選手で、メンタルトレーナーの清水利生さんに、ランニングによるストレス解消メカニズムと、自分に合ったランニングの始め方を教えていただきました。
株式会社43Lab代表取締役・メンタルトレーナー
清水利生
山梨県韮崎市出身、元プロフットサル選手。現役時代、自身が受けたメンタルサポートに多大な影響を受け、引退後はメンタルトレーナーの道へ。プロスポーツチームのサポートのほか、一般企業の研修講師を務めるなど実績を積んだ後「株式会社43Lab」を設立、代表取締役に。500人を超える日本のトップアスリート、1万人を超える子どもたちのサポートをはじめ、講演会や社会貢献活動、メディアでの情報発信など幅広く活躍中。
ストレス解消法にランニング。「非日常」と「脳内ホルモン」で気分を発散
まず、ストレスについてですが、「ストレスをためるバケツがある」とイメージしてみましょう。
ストレスは、バケツ満杯までため込んでから一気に解消するのは難しく、少しずつ「こぼし」、ストレスを低く保つことが大事だと考えています。
その点、ランニングは日常的に取り組みやすいスポーツ。ストレスを少しずつ解消するのにぴったりです。
ランニングで「非日常」を体感する
そもそも、なぜ、ランニングがストレス解消になるのでしょうか。この理由はいくつかありますが、なかでも私が重視するのは「非日常」を体験できるという面です。
人は、非日常の体験をすると感情が動き、ストレス軽減につながります。非日常と聞くと大げさな気がしますが、実は「好きなものを食べる」「軽い運動をする」「場所を変える」「人と会う」といったことで十分。
ランニングは景色を変えながら運動をするスポーツですし、一緒に走るのが楽しい仲間を見つけると、さらにストレス解消になるでしょう。
ランニングによって発生する脳内ホルモン
ランニングがストレス解消になる2つ目の理由は「セロトニン」という脳内ホルモンの分泌。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、ストレスを緩和する効果があります。
ランニングのような適度な運動で「心地良い」と感じると、セロトニンが分泌されると言われています。
さらに3つ目の理由は「ドーパミン」の分泌。これも同じく、ストレスを緩和する効果がある脳内ホルモンの一つ。
ランニングを習慣にすると「今日も達成できた!」という充実感を味わえる人が多いのではないでしょうか。そうすることでドーパミンが分泌され、ストレス解消を助けてくれるのです。
ストレス発散には睡眠も効果的。ランニングと合わせて健全な生活サイクルを
ストレス解消には、睡眠をしっかりとることも重要です。
しかし実際には、「あくびが出るほど疲れているのに、夜はなかなか寝付けない」ということはありませんか。
やる気に満ちあふれている、考えごとがぐるぐると頭をめぐる、夜遅くまで仕事をしてしまった…。
私自身もこういった理由で、「寝なくては」と思うほど目が覚めてしまう経験がありました。その場合、もしかすると自律神経が乱れているサインかもしれません。
交感神経・副交感神経の切り替えを意識して良質な睡眠を
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経系から成り立っています。思考をめぐらすときは交感神経が優位で、リラックスしているときは副交感神経が優位に。
この2つの神経系のスイッチをきちんとできている状態が「自律神経が整っている」ということです。
ぐっすり寝るためには副交感神経へ切り替えることが肝心。眠れない夜は、交感神経が優位になっている可能性があります。
ランニングで体の疲労を適度に感じながら、心地良さも味わい、夜にはぐっすり寝る。そんな生活サイクルが作れるように意識してみてはどうでしょうか。
日常的にストレスをためない!三日坊主を防ぐおすすめのランニング方法とは?
「よし、やろう!」と思い立った翌日、あるいは当日にランニングを始めてみた人も多いのではないでしょうか。
すぐに行動に起こすことは素晴らしいことですが、実はこれこそランニングを習慣化させることができず、いわゆる“三日坊主”になりやすいケースの典型かもしれません。
テンションが上がっているときは、普段の生活を考えずに「毎日やろう」と高い目標を掲げがち。
テンションが落ち着いたときには、目標とモチベーションが嚙み合わず、「やりたい」よりも「やらなきゃいけない」という感覚に陥り、嫌になってしまうのです。
ゆるやかな目標を立ててモチベーションを維持
そこで、ランニング継続のコツとしておすすめなのが、「テンションには波があるもの」と理解したうえで目標を立てること。
テンションが落ち着いたときに、現実的にランニングを週に何日走るのか、1回に何分間ほど走るのかなど、着実な目標を設定してみましょう。
最初から高い目標を立てる必要はありません。「これぐらいだったらやりたいな」という意識で、「週末だけランニングする」「1回に10分間ほど走る」「疲れたらウォーキングにしてOK」などの目標設定で十分です。
「できた」「良い感じ」とプラスの感情を積み重ねることが大事です。「また走りたい」というモチベーションが生まれたら、少しずつ頻度や距離を伸ばしていくこと。やる気を優先して考え、自然と行動が伴う流れを作るように心掛けてみてください。
もう一つ、おすすめしたいのは「また、やりたい」と思える自分にとっての“感情の餌”をランニングに組み合わせるという方法。
楽しいことが“感情の餌”になるなら、友達を誘ったり、ロケーションを変えたりするのも良いでしょう。
ストレスをコントロール。ランニングが精神にも良い影響をもたらす5つの理由
ランニングは精神面に良い影響がたくさんあります。そのなかでも特に重要な5点を紹介しましょう。
1.鬱の症状軽減
定期的なランニングや早歩きは、鬱の症状を軽減させることが多くの研究で明らかになっています。
また、1971年に米国で行われた心理学実験「スタンフォード監獄実験」でも知られる通り、人間は環境になじんでくる習性があると考えられています。
コロナ禍などで室内に1人でこもり、鬱々とした気持ちになっている場合は、ランニングを習慣にして外へ出て五感を動かし、リフレッシュをすると良いでしょう。
2.疲れの解消
スポーツ選手は「アクティブレスト」という休み方を行うことがあります。これは、疲れたときに休むより、軽い運動をして血行を良くし、筋肉をほぐしやすくする方法。
一般の方の場合でも、「心地良い」と感じる程度の運動をすることで血行を良くし、心身の疲れを軽減できることがあります。
3.記憶力の低下予防
ストレスがたまりすぎると、記憶力が低下するというデータがあります。
記憶は脳の中にある「海馬(かいば)」という場所で短期記憶と長期記憶に振り分けられるのですが、ストレス値が高いと、海馬が長期記憶へ情報を移す働きかけが弱くなると言われているのです。
そのため、ストレスを下げることで、記憶力低下の防止が期待できると考えられるでしょう。
4.自己肯定感が高まる
ランニングを着実に実行できることは、スケジュールから内容まで自己管理ができるということ。これは「自分の日常を変える」ことで実はとても大変なこと。自己肯定感を高めることにもつながります。
身体的にも自分の好きな体型になれば、メンタル的にはさらに前向きな効果が見込めます。
5.睡眠の質向上
ランニングという非日常体験で感情を動かし、ストレスが軽減され、自律神経が整うことにより睡眠の質が高まります。
特に、午前中に日光を浴びながらランニングすることを習慣にしている場合は、体内時計が整って、夜の寝つきが良くなるという説も。
このようにストレス解消をはじめ、精神面にプラスの影響を与えるランニング。心地良い走りでストレスの“バケツ”を空っぽにしていく感覚を、ぜひ味わってみてくださいね。
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