「天皇退位に関する特例法案は大型連休後に」 自民党高村副総裁が見通しを語る - BLOGOS編集部
※この記事は2017年04月08日にBLOGOSで公開されたものです
2017年4月5日、内外ニュース主催で自民党高村副総裁の講演会が開かれ、天皇陛下退位に関する特例法案について、大型連休後に国会提出となると見通しを語った。
天皇陛下の退位特例法に関する議論を開始
最近、特命を受けたことといえば、天皇陛下のご退位の問題。これを党内でまとめて欲しいということでありました。
この問題の難しいところは、あまり独断専行して決めてもいけない。みなさんの意見も聞かなきゃいけない。けれども静かな議論のうえで決めなければいけない。あまり大騒動にしてはいけないということ。
そういう中で、非常にしっかりしたものをイデオロギー的には持っていて、やはり皇位の継承は崩御のときに限られるべきだという方たちも一部いましたけれども、国民全体とすれば天皇陛下のお気持ちからいって、退位を認めて差し上げたいという気持ちの方が多かったという風に思います。
党執行部の役員15人と、その他ひとり、私が頼んで野田毅さんという方に入ってもらい、その人たちで議論をすることにいたしました。
退位を認める場合の要件をあげるのは不可能に近い
なかなか難しかったのが、世論調査で見ると一代限り特例法で退位を認めるというのと、皇室典範を改正して、すべての天皇陛下に退位を認めるような制度を作るべきだという意見が多かった。
皇室典範を改正して、すべての天皇陛下に退位を認めるという制度にすべきだという方が世論調査なんかで見ると多かったのです。
ただ、すべての天皇陛下に退位を認めるという制度を作ると、退位を認める場合の要件を法律に書かなければいけない。
その要件を具体的に書けますか。
私なりに、例えばどんなことが書けるか考えてみたんですが、難しいですよね。
極めて困難、不可能に近い。
すべての党で、衆参議長、副議長の下で一応の意見がまとまったわけですから、どの党も批判するつもりは毛頭ないのですが、皇室典範改正をして、制度として全ての天皇に当てはまるような法改正を行うべきだ、と言ってきた党の退位の要件を見てみますと、この3つになっていました。
1番目は「皇太子が成人に達していること」。
これは問題ないと思います。
2番目の要件として、「天皇陛下の意思」というのがありました。
退位というのはある意味で大きな政治行為ですから、それを天皇の意思にかからしめるというのは「憲法違反の疑いがある」というよりも、私は正面から「憲法違反だ」と思いました。
3番目の要件として、「皇室会議の決議」。
皇室会議の決議といっても、国の政治は三権で分立してやることになっているのに、三権ではない皇室会議にそれ以上の力を、退位という大きな政治行為に持たせていいのか、というのもある。
それは非常に作るのは難しいですね、ということを私は申し上げていた。
そういう中で、世論調査での一代限り退位を認めるということに抵抗を覚える人がいるというのは、将来同じようなことが起こるかもしれないじゃないか、これから高齢化じゃないかと誰でも思いますよね。
その「一代限り」という言葉はちょっと強すぎて、特例法で今上天皇陛下に対して一代限りというのは間違いじゃなくて、一代限りに認めるんですけれども、その後はもう一切認めないよという意味は含まないんですよね。
だからいま、今上天皇陛下に認めるという法律を作ることによって、次の代、先々の天皇陛下の先例になりうるでしょう。
特に、いま初めて先例を作る時点ですから、生みの苦しみをしてるけれども、ひとつ例ができれば、今度はよりやさしくできるようになるんじゃないか、ということを申し上げました。
それについては驚いたことに、日本共産党が理解を示してくれ、あるいは民進党も、先例となるということであれば考えられるかなとこういうことで、結局は皇室典範第4条の皇位の継承は、天皇陛下の崩御されたときに継承が起こるということの例外として、今上天皇陛下の退位を認める法律を作ると。だけどこれは後々の先例になるんですよ、という。
こういうところで衆参議長、首長のもとで各党の話し合いがまとまった。
小沢一郎さんのところの自由党だけは最後まで反対といっていたんですが、それ以外は全部まとまったということであります。
具体的な退位特例法案の骨子は連休前に
それに基づいて、今度の連休前に政府がそのまとまった国会の意志に基づいて具体的な立法作業をする。そして、その立法作業の骨子みたいのが連休前にできます。
各政党がこういう方式ですね、ということを了承して、連休後に具体的な法案が出てきて、という手はずになると思っています。
今のところ自由党を除けば、各政党の意思がまとまったということで、九十九里きたけれどもあとの一里が半分くらい難しい。
具体的な法案になると、大変に難しい部分もないわけではない、という風に思っております。
要するにポイントは、皇位の継承は天皇陛下がお亡くなりになったときに起こる。これが原則である。だけど、例外として、今上天皇陛下に認める。
これが先例となって、将来も同じようなことが今やっているよりも、よりやさしくあり得るだろうということだとご理解をいただきたいと思います。