「“成長するオフィス”を提案するのが我々の仕事」~ワイズ・ラボ代表取締役社長・坂入 充氏インタビュー~ - BLOGOS編集部PR企画
※この記事は2017年03月22日にBLOGOSで公開されたものです
ワイズ・ラボ株式会社は、独自のコンサルティング手法で、幅広い建築やインテリアのデザインを提供している。その中でも、《企業文化や働き方》に最適なオフィスを提案する同社のサービス「ワーク×スタイルラボ」は、多くのクライアントから支持を得ているという。
「働く人と企業とが成長するオフィス作り」とはどのようなものなのだろうか。また、そうした業務を支えているオートデスク社の3D CADソフト「Autodesk AutoCAD」の魅力はどのような点にあるのだろうか。代表取締役社長である坂入 充氏に話を聞いた。
「ヒトコトバ」を視点にオフィスを設計する
―ワイズ・ラボの業務内容を教えてください。
我々はコンサルティングをベースに建築・インテリアのデザインを行う設計事務所です。
もう少し広義に言えば、我々はワークスタイルやライフスタイルといった”スタイル”を提案している会社でもある。つまり、ユーザーにとって居心地の良い空間や、働きやすいオフィス環境といった”スタイル”を提案している会社なんです。
―御社の提供するサービスの一つである「ワーク☓スタイルラボ」とはどのようなものなのでしょうか。
「企業文化と働き方で“成長する企業”を支援する」というのが、このブランドのコンセプトです。
もう少し具体的に説明すると、オフィスというのは、これまで「場→事→人」という順番で考えられていました。私たちはこれを「人→事→場」といった逆の発想で「人」を中心とすることで、成長するオフィスを作るお手伝いをしています。
おそらく皆さんのオフィスにもリフレッシュコーナー、ミーティングスペース、ラウンジエリアといった名前の付けられた場所があると思います。「ミーティングスペース」と呼ばれているのは、「そこで打ち合わせしなさいね」と、定義付けられていることを意味します。これまでの設計の多くはこうした考え方に基づいていました。
「ここは◯◯する場所ですよ」「ここで◯◯してくださいね」といって、場所が作られていく。その作られた場所に人が集まって、何をしようか話し合うわけです。つまり、「人」が「場」よりも後回しになっているのです。
ところが現在では、働き方が変化しつつあります。「もっと自発的に考えて、創意工夫して働いてよ」「もっと様々なアイデアを出して、イノベーションを起こせよ」なんてことを社内で言われている人も多いでしょう。このように自発的に動いて、アイデアを創出するために、「従来の場作りのままでよいのか?」というのが私たちの問題意識なんです。
つまり、いままでのオフィスの作り方とは真逆で、「場」ではなく「人」が先にある。「場・事・人」ではなく、「人・事・場 《ヒトコトバ》」という順番でオフィスを設計して行く。これが我々の根本にある視点なのです。
例えば、同じ打ち合わせをするにしても、その内容や目的はまったく違います。にも関わらず、これまでのオフィスは「打ち合わせは、ここで対面してくださいね」という画一的な作り方がされてきました。これでは社員の自発的な発想を誘引し、成長を促す効果をオフィスに生み出すことは難しいだろうと、私たちは考えているのです。
《企業文化と働き方》によって最適なオフィスを導き出す
―業界の違いや企業の規模によって、コンサルティングの内容はどのように変化するのでしょうか?
私はこれまで多くのジャンルの建築・インテリアを提案して来ました。特にここ十数年間はオフィス関係の仕事も精力的にやってきたこともあり、たくさんの企業とそのオフィスの関係を見てきました。しかし同じような提案をしているにもかかわらず、その中には、成長した企業も残念ながらそうでなかった企業もありました。では「なぜそうなるのか?」
例えば、コミュニケーションを活性化させる為に「カフェみたいなラウンジを作りたい」という経営者が二人いたとして、両者に同じデザインを提供したとしましょう。しかし、それがどちらも同じように成功するかといえば、私は「ノー」だと思います。
「社員が自然に集まって、気軽に議論が出来るような“ワイガヤ空間”になりました」と成功する企業がある一方で、「みんな気を遣って、遠慮して使わないんだよね。サボってるように見えるのかな?」「お茶を入れに来るけど、飲まずに持ち帰って、自席で飲んでいます」というようなことも起こり得る。
これは《企業文化と働き方》が違うにも関わらず、同じものを提供してしまったことによって起きる「ミスマッチ」なのではないかと考えるようになりました。この疑問に答えるべく独自に研究を進め、《企業文化と働き方》によってオフィスとの相関性をカテゴリー分けするに至ったのです。
簡単に言うと、業界ごとに従業員には「こう働いてほしい」「こういう風に動いてほしい」という特徴があり、その特徴によってオフィスの機能が決まってくる。例えば、弁護士事務所であれば《個の熟達》が重要で、先生に個別に相談する部屋や、それをサポートするリサーチャーやアシスタントの作りに特徴付ける必要がある。またアパレル系であれば《多機能に分業化される組織の連結》が重要で、商談をするショールームのような場所もその1つの特徴として鍵を握ります。そうした業界ごとの特徴に基づいてお客様に最適なコンサルティングができる「設計ツール」を開発したのです。
また、企業の成長段階によってもオフィスは変わります。10人ぐらいの小規模事務所から40人規模の企業になる過程で、単にデスクを並べているだけではなくて、「自社らしさを意識したデザインが欲しい」「部署の役割にあった働き方をしたい」といった話が出てくる。300人規模の企業になれば、この変化はさらに顕著でしょう。
実際のコンサルティングでは、企業の成長年齢に合わせ、我々が考案した10個の質問に答えてもらうことで、クライアントの社風や業態に合ったモデルプランを提示します。そこからクライアントが今後目指すべき方向性や促進したい働き方の要望を盛り込んで、的確に成長するオフィスをご提案するのが我々の手法であり、「ワーク✕スタイルラボ」の特徴なのです。
―現在、「働き方改革」が話題ですが、生産性を向上させるためにもオフィスのあり方は重要ですね。
「生産性」というと個人の成果に目が行きがちですが、実は「人と人との関わり」や「場の在り方」などが重要になります。先程も申し上げた通り、私たちは《ヒトコトバ》を視点に考えたコンサルティングをベースに設計・デザインを提供しています。
昔のように大量生産・大量消費だった頃においては「作れば売れる時代」だった訳ですから、オフィスも「モノ(ファシリティ)」として維持管理することが重要でした。しかし現代においては知的生産性という量より質を問われるようになった訳ですから、オフィスそのものも、そこで成果を生み出す「ヒト」を中心として設計されるべきでしょう。ワーカーの《集中》や《学習》などの環境がその対象です。
また今の企業には、「ヒト」が「コト」を起こしやすくするような「バ」づくり、つまり様々な《協働》や《交流》が起こりやすいように設計を導き出しています。これらはオフィスを活性化させる《ワークモード》と呼ばれる重要な要素で、最終的にはこれに関連付けた「バ」に落とし込んで行きます。
《企業文化と働き方》に合わせて、様々な《共創(コ・クリエーション)》が起こりやすいオフィス設計が重要と考えています。「競争」社会が「共創」社会となる仕組みを環境から整備することは、働く人の成果を導くことに繋がりますから、経営者やオフィス関係者には是非私たちの手法をお勧めしたいですね。
互換性と安定性がAutoCADの最大の魅力
―そうした業務を行う中で、AutoCADはどのような役割を果たしているのでしょうか?
一つのプロジェクトを完成させるまでには、ビル設備やITインフラなどの設計をするため、時に数多くのパートナー企業と連携する必要があります。その際に、重要になってくるのは作業環境の互換性と安定性なのです。
他の企業にデータを渡す際に、文字化けしてしまったり、図面のラインが崩れてしまったりしていては、大幅なロスが生まれてしまいます。場合によっては、情報がミスリードされてしまう可能性もある。だからこそ、安定性、互換性というのが、非常に重要なのですが、そういった意味でAutoCADは、どこでも共通で使える一番信頼性の高いプラットフォームだと私は思っています。
もう1つのメリットは、クラウド環境での使い勝手が非常に良いことです。私は普段から様々なクライアントのところを飛び回っているのですが、外出先で「この図面の内容を確認して欲しい」という依頼が来ることもある。その際に、その場でiPadを開いて、「ここが違う」といったやり取りができる。あるいは、こっちで直して、新しいデータを共有することもできる。これは非常に大きな魅力ですね。
―AutoCADに対して、今後さらに期待している部分はありますか?
我々のように、コンサルティングからデザイン、設計まで手がけている企業の場合、すべての工程を一つのソフトウェアで完結させることができれば理想的です。
しかし、実際にはAutoCADで作成したデータをPDFに書き出して着彩した上で、パワーポイントに貼り付けてプレゼンテーションして…といったように一部別のソフトウェアを経由することになります。
AutoCADは、エンジニアや設計に重きを置いている部分があるので、着彩からプレゼンテーションといった部分までカバーできたら良いと思いますね。
棚一つに至るまで“意味のある形”に落とし込む
―これからの建築、デザイン業界については、どのような見通しを持っていますか?
デザインのニーズが非常に高まっていることを、我々は日々の業務の中で実感していますし、今後もより強くなっていくだろうと思います。インテリアにしても、プロダクトにしても、よりデザイン重視の傾向が強まっていて、デザインの悪い物はユーザーの興味の対象から外れていきます。
そういった意味では、我々のようなデザイナーと呼ばれる人間の需要は高まっていくでしょうし、もっと活躍できる幅が広がるのでないかという期待感はあります。
―その上で、いままでお話いただいたように、《ヒトコトバ》を基点に考えられたデザインを提案できるところが、御社の強みであるということですね。
これまでオフィスの話をしてしましたが、商業施設でも我々の「ヒトコトバ」の強みは生かされています。
一般的なコンサルティングの手法では、ターゲットを決めて、ペルソナ設定をして、売上を予測して…というデータを中心とした店舗側の「あるべき論」に偏りがちで、利用者の豊かさが二の次にされてしまいます。
設計事務所の場合でも、通常は売り場の作り方やデザインといった「理想論」に偏りがちで、実際の維持管理費用含めたオペレーション事情などは後回しになりがちです。
しかし、実際に利用する人の「共感」や、働いている人たちの「賛同」を理解せずにデザインを提案しても最終的にはうまくいきません。
例えば地域のGMSなどの施設では、郊外型大規模ショッピングセンターなどに比べ魅力が作りづらく、従業員の確保も何とか高齢者のパートでやりくりしている状況です。
こういった状況に対し「ディスプレイはこれだけの数をこういったデザインで作ります」と提案したところで、並べるのでさえ精一杯なクライアントには、決して喜ばれません。こうした事情を踏まえて、どうやって消費者にも官能的訴求ができ、かつ陳列しやすいディスプレイが出来る仕組みを構築できるかなどが、私たちの腕の見せ所なのです。
実際この時は、新しいディスプレイと棚を一体化させたDCW(ダイナミックキャスティングウォール)という仕組みを開発し、「ディスプレイの部分は限られた社員が作って、陳列は裏側から簡単にパート従業員が押し込むだけでキレイに並べられるような仕組み」を提案しました。
―実際に、その場所で働く人にとって最適なデザインを提案しているということですね。
そうですね。我々のコンサルティングは、綿密なリサーチを基に棚一つにいたるまで意味のある形に落とし込んで提案していくのが特徴です。そこは、どこにも負けないところだと私は思っていますね。
・ワイズ・ラボ株式会社 WISE LABO Co.Ltd.
www.wiselabo.com
・オフィスのことなら WORK X STYLE LAB
www.workstylelab.com
・特設ページ:AutoCADでつくる"未来の設計図"
http://blogos.com/feature/auto_cad/
※ヒトコトバはワイズ・ラボ株式会社の登録商標です