※この記事は2015年04月30日にBLOGOSで公開されたものです

地上波で放送されないニュース、24時間いつでも即座に提供される速報性のあるニュース。それを前面に打ち出した新しいメディア、それがフジテレビが提供する「ホウドウキョク24」である。

「ホウドウキョク24」を見る方法は2つ。NTTドコモのスマートフォン対応型機種で視聴可能なNOTTV。パック料金で月額645円である。もうひとつは、報道番組専門のチャンネル、フジテレビオンデマンドで2015年4月1日から配信されている者を見る方法。月額見放題コースの料金1000円で「ホウドウキョク24」のサービスをすべて利用することが出来る。

今、若者は新聞を取らない。テレビのニュースも基本的に見ない。Yahooのトピックスでニュースを確認すればタダである。年寄りは、いろいろ契約したり、機器を操作したりするのがもう面倒である。その状況下で、はたして「ホウドウキョク24」は、ビジネスモデルとして成立するのだろうか。

NOTTVの媒体としての弱さも気になるところだ。NTTドコモが持っている携帯電波の帯域を維持するために始まった放送であるが、これ自体が媒体としては成立しておらず、運営のために収益以外の所から大量の資金補填がなされている。制作部は民放各局の筆頭プロダクションからの出向者で占められておりどうしても従来のテレビの発想から抜け出す番組が創りきれていない。YoTubeやニコニコ動画のような勢いはない。視聴者モデルとしては一人でベッドの上で見ている人である、と言う話をNOTTVの幹部から聞いた。

とすると、「ホウドウキョク24」のメイン媒体はフジテレビオンデマンドと言うことになる。しかし、こうしたオンデマンドの有料放送も、地上波の無料放送がある限りは辛い。日本人には金を払ってテレビを見る習慣がない。

しかし、私はこの「ホウドウキョク24」には大きな可能性があると考える。それはニュース専門チャンネルとしての可能性である。ただし放送する媒体がこのままではダメである。どうすればいいのか。のちに私案を述べる。

その前に、「ホウドウキョク24」の現在の内容を見ておこう。(以下ホームページより引用)

『ニュースのキモ Morning』毎週火~金 6:00-7:00
世界で、今、何が起きているのか。海外ニュース漬けの1時間。国際情勢の〝キモ〟に迫る新しいタイプの報道番組。 【出演】細貝沙羅

『Startup! 180』毎週月~金 7:00-10:00
市川紗椰と太田エイミーら日替わりMCがお伝えする180分!『きょうの取材ポイント』や『朝回り取材報告』などホットな情報から、きょう一日のニュースが丸わかり!

『さらのちゃんねる』毎週月~金 10:00-12:00
フジテレビアナウンサー細貝沙羅がMCとなって、芸能から政治ニュースまで幅広いニュースを扱います。 友達や家族との会話が弾む様な情報をフレッシュにお伝えする番組。

『ニュースのキモ Afternoon』毎週月~金 12:00-17:00 土 14:00-16:00
世に流れるニュースには、全て、核心や真相あり。そんなニュースの最重要ポイント〝キモ〟に迫る大型報道番組。5時間〝生〟でお届けします。 (※土曜日も放送) 【出演】藤村さおり、春日由実、西山喜久恵、戸部洋子、境鶴丸、佐藤里佳

『みんなのウラ』毎週月~金 17:00-19:00
フジテレビの夕方のニュース「みんなのニュース」と連動しレッド・ホットなニュースを伝えるとともに、ネットで今話題の話、これから話題になりそうな話をピックアップ! 【出演】久下真以子、鈴木理香子、津田大介

『あしたのコンパス』毎週月~金 19:00-22:00
コンセプトはみんなで作るニュースまとめ。次世代を担う論客が話題のニュースを掘り下げる新感覚の討論・解説番組。専門家、有識者らの様々な視点を提示、指針を示します。 【出演】速水健朗、津田大介、古市憲寿、三浦瑠麗、佐々木俊尚、松村未央

『ニュースのキモ Night』毎週月~金 22:00-24:00
きょうのニュースの総まとめ。あすのニュースも先取り。一日の終わりにじっくりニュースの〝キモ〟に迫る新しいタイプの報道番組。2時間〝生〟です。 【出演】高野萌、久下真以子

『真夜中のニャーゴ』毎週月~金 深夜24:00-26:00
今宵もゆっくりディープな世界を...。マニアにはたまらない分野をその道の第一人者とともに語り尽くします。文学、アニメ、ゲーム、短歌、アイドル、そして...?【出演】小出祐介、やまもといちろう、加藤千恵、羽田圭介、椿姫彩菜、金田淳子

『深夜のホウドウキョク』 深夜26:00-30:00

『2001継続中』毎週日 9:00-10:00
フジテレビ報道局の人気討論番組「新報道 2001」は午前9時以降も続いていた!? 「ホウドウキョク」で続く議論の中身とは? 【出演】平井文夫、桜庭亮平

『能勢伸之の週刊安全保障』毎週土 20:00-22:00
フジテレビが誇る安全保障・防衛分野のエキスパート・能勢伸之解説委員が、冷静に、正確に、大胆に、日本と世界の安全保障の 「今」に切り込む無差別級報道番組。【出演】能勢伸之、小山ひかる

『寿史の皇室カレンダー』毎週土 13:00-14:00
天皇ご一家をはじめとする皇族方の〝日常〟を、フジテレビのベテラン解説委員がお伝えする報道番組。皇族方の“知られざる素顔” にも迫ります。 【出演】山中章子、橋本寿史

『鴨ちゃんねる』毎週日 16:00-17:00
フジテレビが誇る、アジア情勢のエキスパート・鴨下ひろみ特派員が、ダイナミックに世界の〝今〟に切り込む本格報道番組。 【出演】鴨下ひろみ

『ニュースのキモ Evening』毎週土日 18:00-20:00
ウィークエンドもニュースは眠らない。 週末の夜に現れた、本格報道番組。現場 からも〝生〟中継。現在進行形のニュースの〝キモ〟に迫る。 【出演】堤友香
見たいですか。こうしてみると、どうしても内容が薄いだろうなあ、と思えてしまう。それは、地上波でも報道局がニュースをやっているからである。通常、民放の報道局で働くのは社員、派遣スタッフ併せて概算で300人から400人、そのうちの、2割が「ホウドウキョク24」に回され、これに派遣スタッフが加わるが、このご時世、資金が潤沢にあるわけはない。そう多く派遣スタッフを雇うことは出来ないだろう。ローカル局の協力を仰いだとしても、ローカル局は報道も含めすべての番組を作る部門で20人以下の人しか居ないという局がザラである。この人員構成では地上波も「ホウドウキョク24」も、取材力が落ちてしまうのは必定である。共倒れの可能性さえあると危惧する。それでも始めてしまう。そこが今はなくなってしまったフジテレビらしいところで、私には好もしい。

日本でもBSやCS放送でニュース専門チャンネルがすでに見られることはご存じだろう。日経CNBCは24時間ノンストップ、マーケット・経済専門チャンネル。日テレNEWS24。TBSニュースバード。BBCワールドニュース。CNNj。英国のBBC、米国のCNN を除いた、日テレとTBSは、基本的には地上波のニュースと同じものを使い回しているだけ、なんか電波の埋め草というような気がして、私はさっぱり魅力を感じない。

「ホウドウキョク24」は、ラインアップを見ると、使い回しではないものが沢山あるようにも思えるし、見てみたら確かにあった。だがやはり全部独自というわけにはいかないのが実情だ。それを思い切れば、全部独自にすれば、このニュース専門チャンネルの競争からあたま一つリード出来るのではないか。

思い切りは、他の所にも及ぼして欲しい。
私が考える方法は次のようなものだ。フジテレビの場合だと、現在の地上波のバラエティ、ドラマ、など報道ワイドショウ以外をBSフジの放送に移す。BSフジはエンターテインメント専門放送局に衣替えする。そして、地上波は基本的に関東ローカルの報道情報番組専門局にする、基本は関東ローカルだが、日本中に流す全国ニュースの枠も当然あり、東京でしか入手できないニュースなどは各ローカル局にネットしてもらう。フジテレビオンデマンドからは撤退し、素材のみをオンデマンドでやっている各媒体に有料で提供する。

日本では、ニュースドラマ報道すべてのことをやる総合放送にガタが来ている。 生き残るのはCNNのような独自取材で構成されたニュース専門局を、一番早く立ち上げた局だと思う。その独自取材も、これなら金を払ってでも見たいと思わせるレベルに達していないとダメである。実は、その足がかりになれそうなのが「ホウドウキョク24」だと思うのである。