シンポジウム「就活はこれでいいのか？～日本の雇用を考える～」 - BLOGOS編集部
※この記事は2011年04月01日にBLOGOSで公開されたものです
今年も就職活動が本格化する時期を迎えています。学生生活の1/3が費やされる"就活"については問題も多く、政府が「新卒者雇用に関する緊急対策」を打ち出して特命チームを設置、企業の側も選考活動の後ろ倒しを検討するなど、変化の兆しが見えはじめています。一方で、就職予備校化する大学や、就活対策・仲介業者の問題点も指摘され、インターネット上でも活発な議論が行われています。
今回のBLOGOSシンポジウムは、言論プラットフォーム「アゴラ」との特別共催企画として、日本工業大学神田キャンパスを会場に、就活システムや企業の人事制度、労働経済学に造詣の深い専門家をお招きし、"日本の就活"を徹底討論しました。
池田信夫（以下、池田）：こんばんは。今日のテーマは、“就活はこれでいいのか”ということを切り口にして、日本の雇用や労働市場を考えていきたいと思っています。今日、ご出席頂いたのは、私の隣から人事コンサルタントの海老原嗣生さん、そのお隣が日本大学大学院准教授の安藤至大さん。そのお隣が、人事コンサルタントの城繁幸さんです。
一同：こんばんは。
池田：それでは、最初にそれぞれのお立場と考え方を表明してもらいたいと思います。城さんと海老原さんは、知る人ぞ知る昔からのライバルなので……。
城繁幸（以下、城）：いやいや、そんなことないですよ（苦笑）
池田：まずはボールを投げる形で城さんからどうぞ。
”全社員請負”で、終身雇用も就職氷河期もなくなる
城：全社員を請負にしようというのが、私の立場です。使い捨てになるのは、正社員という役職があるからです。正社員がなくなれば、非常にフレキシブルで働きやすい会社になる。たとえば、コンビニ店員は、業界最大手でも債務超過と言われている会社でも同じ時給。これは同じ地域で同じレジを打つという仕事に対して値札がついているからです。
これが本来の意味での世界標準なんです。経営難だから給料を下げる、終身雇用だから地方に転勤なんてこともコンビニ店員の世界ではない。セクハラ・パワハラも辞めたり訴えたりすればいいので、起こりにくい。みんなが、“この仕事に対して、この雇用契約”という風に契約を結ぶようになれば、終身雇用も就職氷河期もなくなります。
海老原嗣生（以下、海老原）：城さんとは対立面が多いように見えるけど、実際には近い部分が多いんです。僕は“橋を渡った人”と“橋を渡らない人”の二つにして欲しいと思っています。橋を渡ったら“あなたに預ける。一生ついてこい”となる。今の日本はこの“橋を渡った人”の会社ばかりだった。橋を渡ったからには、いい思いもするけど、パワハラ・セクハラもあり得るという覚悟をするべきです。
安藤至大（以下、安藤）：農林水産業から、製造業・建設業から、サービス業へと働き方が変化してきました。昔はお爺さんが農業をしていたら、親子代々、農業というのが当たり前。同じ仕事をずっと続けられたんです。高度経済成長期に入っても、同じ会社にずっと勤めることができた。でも、現在は過渡期です。労働人生の間で、自分の仕事を変える必要があります。
“良い会社に入れば安泰”という時代ではない。正規雇用と非正規雇用は上下関係ではなく、実際には一長一短の関係です。契約期間にしても長期か短期かの二択ではなく、多様な契約ができるようになれば、解雇の必要性が低下します。
7割の人は最初から大手を受けちゃダメ
池田：城さんと海老原さんの話が対立してなくて意見が一致しているところばかりが目立ったんだけど、何か違いはないですか？
海老原：違いじゃなくて、城さんの生の声が聞きたいんですよ。城さんの言うように、全ての物をガラガラポンで壊せば、いろんな人達が恵まれるようになると思いますけど、単に大企業の日本型雇用を壊しただけだと、大企業に入れる人は有名大学を出た一部の人間に限られていて、結局、コップの中の嵐で終わるんじゃないか？という思いがあるんです。そこはどうですか？
城：僕は大手企業に入るのが全体の15%程度という海老原さんの認識よりも、もうちょっと多いのではないかと思っていて、全体の3割程度はいると思っています。ただ、僕は一階建てと二階建てという言い方をしているんですけど、二階にいる人っていうのは声が大きくて政治力を持っている人なんですね。ある事業の中で優先的に予算を取ってくる人達。残った物を一階に回しているわけですよ。
原発だって、たとえば一機作って人件費いくらって決まってるわけですよね。それを結局は規模が大きくて経団連の会長も出すような東電が取っちゃうわけですよ。残ったお金で、非常に危険な仕事を下請け会社にやらせているわけです。だからリスクは高いんだけど、給料は安いという非常に歪んだ構造ができちゃうわけですよ。その1階建てと2階建ての構造は、維持できないのでいずれはなくなります。でも、それを自然死するまで待つのかっていうと、それには違和感がある。
海老原：そこの気持ちは分かるんです。ただ、それとは別次元の話を聞きたいんですが、残りの7割の人はどうやったら救われるんですか？
城：うーん。彼らが就職することを考えるんであれば、大手なんか最初から受けちゃダメですよ。最初から通らないから。リクナビでもいいですけど、大学の就職課とかそこに行って、行けるころに行った方がいいと思います。だけど、この格差構造を支えていかないといけないと思っています。目先の就職のことだけを考えるんだったら、大手とかリクナビとかには頼らない方がいいと思います。
新卒採用にもいろんなメリットがある
池田：今回、我々は2ヶ月ぐらい、いろんな人のお話を聞いて思ったのは、就活という独特の休職活動は、ある種の合理性があると言えばあるんですね。みんなが“せーの！”で就職するから、そんなに能力がない人でもどこかに潜れ込めちゃう。就職率で言うと、イギリスのカレッジは3割くらいしか就職できない。でも、日本は3月末になれば9割はどこかに入れるんです。
海老原：卑近な意味で考えれば、僕もそう思っているんです。アメリカの大学生数十人に話を聞いたことがあるんですが、“すぐに就職する必要ないよ、２～３年してすればいいんでしょ”って誰もが思っている。日本だと、就職できないってことで、こんなシンポジウムを開いたり、マスコミがこれだけ叩くから、“就職しなくちゃいけない”って盛り上がりが違うんですよね。
池田：企業も就活って括りでこれだけ集まってくるから、お互いにぶつけやすいっていうメリットはあるでしょう。
海老原：その部分はメリットですよね。
安藤：新卒採用をやめるべきだって、みんな騒いでますけど、中途採用も山ほど行っているんですね。新卒採用はいろんなメリットがあるんです。震災や原発の問題で、新卒採用を控えるんじゃないかって言われてますけど、会社の人事部だってキャパがあるから、一年間のタイムテーブルがあるわけですよ。どうしても中途採用ってのは、会社というよりは各チームのヘッドが自分の部下を個別に雇っているのであって、それに比べると新卒採用はいろんなメリットがあるんです。
年齢も22歳くらいで統一されてるから比較選別が容易なんですね。もし年齢がマチマチだと、優劣をつけるのは難しいし、毎月入社されると教育訓練はすごく大変だけど、4月に一斉に入社してくれれば同時にできる。それに、社歴と年齢が大体リンクすると。日本型の先輩・後輩みたいな形で、文化的には扱いやすいと、いろいろなメリットがあるからやってきたんです。メリットがあることを“やめろ！”と言っても、やめる動機がないとやめないんですよ。なので、新卒採用がダメというのなら、何がいいのかっていう代替案を出さないといけません。
池田：逆に言うと、就活についての不満は、求職する側からも企業の側からもあると思うんですよね。それについてはどうですか？
海老原：企業側の話で言いたいのは、これも城さんに近くなっちゃうんですが、価値観なんですよ。そこを壊さないといけないから、日本型雇用の中では、みんな有名企業に行きたい、大手に行きたい、となる。そこを壊せば、そういう気持ちがなくなれば、いろいろな会社にみんなが行くようになる。就活も、もっと楽になると思うんですよ。そういう意味で価値観は壊さなきゃならないですよね。
池田：この問題は就職の入り口のことだけじゃなくて、キャリア全体の絡みがあるわけですよね。確かに入り口だけ見ると、数が一遍に処理できて能率的だという面はあるにせよ、大学出たばっかりのスキルもはっきりしないところで、目分量で大学のブランドなんかで選んじゃうと、相当ひどいのを掴んじゃったりするわけですよね。そういう人達を窓際で養わなくちゃいけない。
逆に採用される側で見ると、学校で学んだ専門知識なんて関係なくて、3年になったばかりで成績表も見ないで採用されると、“何のために大学で勉強しているんだ”ってなりますよね。さっきも安藤さんも言ってたように、日本がどんどん成長している時代には便利屋で良かったのかもしれないけど、これから競争が厳しくなって、よりスキルが必要とされるときに、“大学にいってれば何かしら身に着けてるだろう”と考えてる大学側にも問題はあるのでは？
企業側から見た新卒採用のメリット
城：企業側から見た新卒採用のメリットって、“いい加減でいい”ってことだと思うんですよ。今は職種別採用も増えてますけど、やっぱり今でも配属先が全然違うって泣いてる人も多い。新卒採用って、企業側がコスト負担することでこれだけ高い就職率を達成できている。でも、そのコストは10年後、20年後にも出てきて、そこそこいい大学を出て幹部候補生として入ったのに“何でヒラなの？”という30代が増えてる。私はもう入り口を分けた方がいいと思うんですよね。超エリートコースとそうじゃない一般のコースに。あとから変更できるにしても、とりあえず入り口で分けちゃった方がいい。
池田：原発の事故で見ても、入院した東電の社長が慶応大学の文科系の人だったり、原発のスペシャリストでも何でもない人が危機管理をしているという怖い状況になっちゃっています。これはワールドワイドの会社のキャリア形成ではあまり考えられないことが、日本では一般的になってますよね。
城：ゼネラリストは終身雇用を維持する上では非常に楽なんですよね。どこにでもハマりますから。でも、本当の危機のときは厳しいかもしれない。
海老原：幹部候補って、いろいろ部署を回らないと全社視点ができないから、そういう幹部候補生だけやらせればいいんです。
安藤：平時では、そういう東電の社長みたいな人でもいいと思うんですよ。でも、危機のときに誰が対応するのか？それを決めておかなかったのが失敗の原因なのかなぁと思いますね。
海老原：ただ、敢えて言ってしまうと、働く人にとっては総合職っていうのは非常にメリットがあったりするんですよ。いろんな仕事をやりながら、自分に合った仕事を見つけられるじゃないですか。俺なんか全然違う仕事を10個くらいやって、たまたまマーケティングなんて、やりたくもない仕事に回っちゃったんです。そういうところで、使えなかった人を使えるところに回すということで、使えない人を減らす仕組みにはなってるんですよね。
池田：それは城さんの言葉で言うと、2階建てに潜り込んだ人は楽なんですよね。でも、大部分は潜り込めてないわけじゃないですか。そのギャップが非常に大きい。これは事実認識は海老原さんも城さんも同じだと思うんですね。いわゆる二重構造って言われるもので、一説では戦前からずーっと続いているわけです。この労働市場の構造ってのは、そろそろ何とかしないといけないと思う。
安藤：そう思います。さっき海老原さんおっしゃっていた、会社の中で部署を転々としているうちにハマるところが見つかるというのは、一長一短なんですね。会社の中で人をあてはめていくって話と、他の会社に行って別の仕事を探すというのは、どちらも合理性がある。今までは会社内部の労働市場でやってきたことがメインでした。それをいきなり外部労働市場に移行するのは、なかなか難しいってのはありますよね。
採用時の差別には仕方がない面もある
池田：安藤さんもおっしゃってたけど、ある種の批判になっちゃってる。厚生労働省の論法としては、“大企業の終身雇用型が望ましい”ってのがあるじゃないですか。市場原理主義者から労働者を守らなくちゃいけないんだ、っていう。でもそれは現実にはできないわけですよね。
安藤：トラックの運転手なども入れ替わりが激しいことから分かるように、“日本型の長期雇用”っていうのは、実は国内でもそんなに一般的ではないんです。お二方も言ってたみたいに、有名企業ばかりアタックして敗れるのはやめましょうと、思うわけです。自分に合った会社を探すのが大事なんです。100社も200社もエントリーシートを書いても、そこにいいメッセージを書けるわけがない。
それに普通の大学の人達は、採用時に差別があるのは、ある意味で合理的で仕方がない面もあるんです。100人の募集のところに2万も3万も応募が来たら、全員を等しくチェックするのは無理ですよね。採用実績がある学校が選ぶ傾向が出てきてしまう。相手のことがよく分からないから、少しでも情報があるところでやろうとすると学校名での採用になってしまうんです。そこを無理してこじ開けようとするよりも、自分が入れる、相思相愛になれる会社を探した方がいいんです。そして、そこでステップアップを考える。“大企業が入ったから安泰だ”と65歳までのほほんとしているんじゃなくて、途中で転職だって可能なんだから、現実を見ようよと思いますね。
池田：有期雇用の話でいうと、どうしても話が狭くなりがちですよね。アルバイトの人達をいかに規制して、“3年以上働いたら正社員にしないといけない”と、労働法の先生方も厚生労働省も、必ず労働者保護の話に行くんですよ。労働者を保護することには全く反対しないんですが、それ以外の職にありつけない人はどうするのか。もう一つの問題は、そういう風に厳しくした場合に、その人達を会社は雇い続けるのか。そういう大きな問題が抜けたままで、“労働者が可愛そうだ”って方に、話が狭いところに行ってしまう。
海老原：フレキシビリティが必要なんですよ。いつでもクビを切れるためには、クビを切った後の保障が必要になります。それでいつでもクビを切れるようになる。首を切ったあとに、首が繋がればいいわけなんです。
池田：フレキシビリティで言うと、いわゆる“北欧型にしろ”って議論はあるけど、個人的にはちょっと難しいんじゃないかと思ってるんです。物の本や論文とかを読んでみると、スウェーデンのやり方を見てみると、むしろ競争社会ですよね。ボルボが調子悪くなったら、政府は救済しないと。クビを切った労働者が他社に行って就職することは支援するけど、会社は救済しない。日本は会社を救済して、労働者も保護して、“みんなで仲良くやってきましょう”ってやっちゃうから、どこかで無理が来ちゃうんですよね。
自分の人生は自分で守るしかない
海老原：ちょっと転職市場についてテクニカルな話をさせてください。それができるには、やっぱりある程度の単純職になってしまうんですよね。トヨタから日産に同じような業種だから、移れるかって言うと、やっぱり移れない。それは企業内特殊熟練があるからです。
トヨタの場合は販売店に資本関係が全くなくて、各地の名士がトヨペットとかカーディーラーをやってるんですよ。でも、日産は本社の直下の資本がやってる。カーディーラーに顔が聞いて、とか企業内のコネが必要になってくる。そうなると、ある一定以上の地位の人になると、企業と（運命を）共にするしかなくなっちゃうんですよね。でもトヨタのセールスをやってる人は日産にも行けるし、外資の保険に移ってトップセールスになっちゃう人もいる。レベルが下がれば下がるほど、雇用の自由度は逆に利くと。スペシャリティを上げれば上げるほど、企業内特殊熟練の世界に行ってしまう。
そうなると、“橋を渡った人は守らないといけない”。でも、“橋を渡らなかった人は自由に移動できる”と。橋を渡らなかった人でも、いくらでも橋をかけてあげる政策を取ればいいんだと思います。
池田：僕も思うんですが、海老原さんがおっしゃるように企業を動きたくない人を、無理に動かす必要はないんですよ。問題は、本人も動きたいし、社会的に見ても動いた方がいい人が、動けない仕組みが出来ちゃってると。それが日本経済全体にとっても足かせになっているところがあるんです。
あと、これから就職する皆さんに申し上げたいのは“自分の人生は自分で守るしかない”ってことです。皆さんが20代前半として、40年くらい会社に勤めるわけですけども、人生ってまだその先があるんですね。平均寿命は80代なわけですよ。なんで僕がNHKを辞めたかっていうと、大手企業のサラリーマンって40代までで人生終わっちゃうんですよ。50以降は、普通の会社でいうと取締役になる人はめちゃくちゃ忙しいんだけど、それ以外の人はバラバラ、関連会社に散って仕事のないところへ行かされるわけなんです。50歳以降はもう消化試合なんです。65歳で定年退職すると、天下りで仕事ある人を覗けば何にもすることがない。家でジーっとしていて、粗大ゴミになっちゃう。その人生があと20年もあるんですよ。
僕が考えたのは“サラリーマンの人生は本当に効率が悪い”と。僕もNHKで出世できると思ってなかったから、出世頭以外は給料はもらえるけど仕事がないんです。これって結構ロスが多い人生でね。それだったら途中で乗り換えて、大学の講師とか物書きとかやれば、歳を取ってもそこそこ潰しが利くんじゃないかと考えたんです。まあ、それは大体当たってたんだけど、皆さんもね、やっぱり人生80年と考えて人生設計をするとね、大企業の総合職って必ずしもいいキャリアだとは思わないんですけどね。
安藤：でも、悪くもないと思います。（大企業は）やっぱり難しいところに入っただけあって、最初の段階ではそれなりの人材が集まっている要素はあるので、ピアエフェクト（同輩効果）というんですが、仲間のレベルが高いと“あれが当たり前だな”と思って自分のレベルが上がってくるというのはあるんです。入ったからって、安心して粗大ゴミにならないように注意する必要があるのは確かですが、大企業に行くことそのものが間違いだとは言い切れないかと。
MR・外資系金融の楽しみはお金を得ることだけ
池田：フロアの皆さんからどなたかに質問がありましたらどうぞ。
（何人か挙手する）
会場の男性：医療業界や製薬業界なども、今までのお話と同じように考えてもいいんでしょうか？
海老原：MR（製薬業界での営業職）ってねー、すごい儲かるんだよ。MRって入ったときの20代前半で、もう普通の大企業より100万高いくらいなの。初任給500万くらいから始まるケースが多い。最初の一年も試験資格にうかるまでは、ものすごい勉強させてもらっているわけ。そういう意味じゃ、すごく美味しいんですよ。薬品を売り出すときはものすごく人が必要だから、たくさん採用する。人がいらなくなると転職する。
その意味では、転職しまくるという横移動のすごく激しい人達なんです。転職しまくることで、メーカーにもお医者さんにも薬にも地域にも詳しくなるわけで、即戦力として採用されて、また給料が上がる。いくらクビを切られてもいくら転職しても給料は上がり放題なんですよ。ただ、彼らは人間的な成長は一切なしにお金を得ることだけが楽しみの人生になってしまう。
これは外資系の金融に入った人達も同じで、給料は高いけど、やっている仕事は30代でも40代でも、ずっと一緒。一生同じ仕事を繰り返すことになる。30代前半で年収1000万円のMRの人に、私が転職の面接で会っても、“こんなにショボい人なのか”とびっくりします。“部下を扱ったりは無理だな”って思う人が多いんですよね。それでもいいのか……。橋を渡らない生き方ってのは一つの判断ですよね。橋を渡らなければ、こういうことができるんですよ。
城：外資と日系の垣根が低いですよね。あんまり違いを感じないですね。
海老原：そうですね。まあ、日系もほとんど外資になってますから。私は、“橋を渡る生き方”と“橋を渡らない生き方”の2つがあると思っているんです。“橋を渡る生き方”は組織人として生きるってこと。そのときに一番必要になる能力は“変わる”です。
なぜ変わるか。たとえば1年目の営業と3年目の営業じゃ、営業のかけ方が全く変わります。1年目は新規開拓だから、ハートの強い、ストレス耐性の強い人が売れます。しかし、ストレス耐性の強くて売れた人が3年目に売れるかというと、そうでもない。今度は既存の顧客が相手になるからです。そこには提案って頭が必要です。4～5年たつとリーダーになります。そうなると対人感受性で、部下の気持ちが分からないといけない。係長、課長ってなっていくと人を教える、部長になると経営とやりあって数字をカウントする。サラリーマンの仕事って同じに見えますが、（各役職によって）全く違う仕事の並べ替えなんですよ。組織で上に上って行くためには、自分を変えていかないといけない。
（“橋を渡らない生き方”の）違う仕事の連続を上っていけるかという能力と、（“橋を渡る生き方”の）一つの仕事を突き詰めて一生同じ仕事をやってるんだけど、業界も職種も変われるし雇用保障が一番強いかもしれないというスキルのどっちかだと思っています。
城：ハイとかローとかじゃないんですよね。マネージャーとしてのラインを上がっていくのか、現場のプレイヤーを一線を張り続けるのか。金融のスペシャリストでも、マネージャーとしての能力はなくてもいいって場合もある。
海老原：はい。あともう一つあるんです。これは城さんと初めて対立しちゃうかもしれないポイントなんですが、横移動してスペシャリティで生きていくという生き方には、営業とかはいいです。個人営業とか。マスコミの記者なんかもすごくいいです。そういう職種は、そうなっていくでしょう。でも、そうじゃない物。IT産業とかいうと、もしヒラでやっていくと新しい仕組みがどんどん出てくるんで記憶力が追いつかなくなるんです。マネージャーになると、ものすごい楽チンなんだけど、横で生きていこうとすると、そういう入れ替わりの激しい分野のスペシャリティってのは厳しくなります。
池田：今、海老原さんの話で外資って話題も出たんだけど、“外資はクビ切られるから怖い”とか“リスクが大きい”ってイメージがあるけど、どっちかというと外資の方がリスクが少ないですよ。外資ってのは職種が決まってるから、ある程度以上であればヘッドハンターが来てくれて、切れ目なく次の会社が見つかるんですよ。むしろ厳しいのは、昭和的な日本の会社で40代になっちゃったサラリーマン。一番リスクが大きい。これは会場の皆さんも、これからのキャリアを考えたときに重々考えておくべきことなんですね。
”弱小大学”の学生は「6つの力」を補え
会場の女性：質問が一点ございます。私も弱小大学に通っている学生の一人なのですが、こういう学生でも企業側から見て“即戦力になる”と思われるためには、学生のうちにどうすればいいのかを教えて頂けないでしょうか。というのも、大学でも“大手企業だけでなく中小企業にも目を向けて”と言われているのですが、やはり先輩達の就職活動を見ても“厳しいな”という印象を持っています。
海老原：なぜ企業が、いい大学の人か運動部を取りたがるのか、この2つをよく考えれば分かるんですよ。いい大学に行った人の場合は、もともと頭がいいか……頭がいい人は仕事をやる上でやっぱり必要なんですよ。それか、頭が良くなくても継続学習能力がある。地道に言われたことをきっちりやることは、企業にとって必要なんです。3つ目は、頭も良くないし地道でもないけど、よっぽど要領がいい人。パターンが分かって問題が解けちゃう人も、いい大学に入れるんです。この3つがあることは、仕事にものすごく活きます。
そして、運動部を取るのかっていうと、これは精神力が強いし、肉体的にも強い。さらに言うと、運動部は集団生活に慣れているから、人嫌いしないし人に嫌われない。この6つのうちの2つか3つを持っていたら、企業は喜んでくれるんですよ。それは大学で何か勝ち取れたからうまくなるものじゃないですよ。その6つを育てるためには、受験勉強って相当必要なことなんですよ。受験勉強できなくて悪い大学に入ったのなら、その6つの力をどう補うかを考えた方がいいと思いますね。
終身雇用をやめれば自殺率は下がる？
会場の男性：僕は最近、中途で就職したんですが、海外の大学に行ってたので新卒採用を逃しました。それで質問なんですが、今、日本の自殺者が年間3万人いるといわれてますが、これは僕は日本の一番の問題だと思うんですが、これから大企業に入りたいと思う学生のためにも、ダークなサイドを知っておくべきだと思ったのですが、そこで皆さんの経験から、なんで3万人も死んでるのかお聞きしたいです。
池田：日本の場合は、失業率との相関が強いんですね。たとえば北欧は金融危機で90年代にどんどん失業率があったんだけど、自殺率はむしろ減ったんです。でも日本は、仕事を失うってことがすごく恥ずかしいことで絶望的（だと考える風潮がある）。一遍、職を失ったら後がないっていうね。（自殺率で）日本より上は旧社会主義国ね。ロシアとか。そういうところが似ているわけですよ。国営企業がパーになったら、どこにも行くところがないっていうのと似ているわけ。昭和的な価値観が自殺率上昇の大きな原因ではないかと、そういう議論はありますね。
会場の男性：そこを変えていくためにはどうすればいいんですか？
池田：時代に合わなくなっているということをマスコミや行政の皆さんが、きちんと認識する必要がありますね。
城：結局、終身雇用っていうのは社会保障制度なんですよ。終身雇用を企業に命じちゃうと、他の社会保障はいらないじゃないですか。機械訓練とか就職斡旋とかって。人事部がやるんですよ。転勤って他の国で言うところの再就職ですからね。だから、楽なんですよ。だけど、弊害が2つあります。会社が潰れたときに、45を過ぎた人は労働市場から見て価値が全くないこと。自分で何とかするしかない。あとは、入り口で民営化社会保障に値すると判断した人材しか、そのセーフティネットは与えられないんですよ。結局、終身雇用を厚生労働省が命じれば命じるほど、弱者は逆に生きにくい世の中になっていく。それが自殺率の高さの大きな原因になっていると思います。
会場の男性：終身雇用をやめれば自殺率は下がっていくと？
城：そうですねー。僕は、“終身雇用を変える”って言い方をしていますが、今の文脈でいえば社会保障機能を企業から切り離した上で再構築することが必要でしょうね。
”こいつとだったら一緒に働ける”と思える人間になるしかない
会場の男性：今日の海老原さんのお話を聞いていて思ったんですが、ニートに関する問題はどうお考えになってますか。大学卒業後、何の経験もないまま2年3年とすぎていって、社会と乖離する状態になった人は、大企業から解雇された人が蔓延するなかで、どうすれば救われるのか？と思いました。
海老原：それについては、データの話から再確認しましょう。去年、新卒で就職できなかった人は10万人くらいなんですよね。そのうち、ほぼ半分が翌年には正社員になっています。だから日本ってのは“入り口がダメなら、もうダメ”っていうのは運動家の人達の論理であって、実際にはそうじゃない。中小企業には十分に入っている。残った半分だって、資格試験を受けている、留学から帰ったばかり、家族の介護、自分が病気だってといった理由があるケースが30%いるんですよ。
ニートだっていう人も、本人が希望さえすれば、7～8割が5年以内に正社員になっているんです。これを全くマスコミが取り上げてくれない。だから、そんなに心配する必要はないと思います。中小企業ってのは、すごいセーフティーネットになっている。さらに、フリーターになっている人達、ニートになっている人達をよく調べると、一回は“正社員経験あり”が8割りなんですよ。落ちこぼれというわけではなく、優しい人で殺伐した社会の中で対人折衝がうまく行かなかったってケースが多いんですよ。そこに対しては、ちゃんとしたケアをしなくちゃいけないと思っています。それを“企業がトレーニングしないからだ”と非難するのは筋違いで、そういう人に合った仕事をやらせるとか、負担を減らすように企業がいざなわなくてはいけない。
池田：今のに関連して、北欧型ってよく言われる積極的労働市場政策ってあるじゃないですか。職業訓練をやってなんとか、ってあれは日本でうまくいくのかなぁって思うんですが、どうですか？
安藤：あれがうまく行く人達は、すでにうまく行っていると。たとえばニートにしたって、いろんなタイプがいるわけなんですよ。たとえばコミュニケーションを取ることがあまり得意じゃなくて、自分一人で仕事するならうまくできるけどって人には、そういう人向けのやり方が必要だし。いろんなことをやってるうちに30代になっちゃったと、履歴書に空白がダーンとあったら、なかなか取ってもらえない、とかいろんなタイプがある。そういう人達もやる気さえあれば、いろいろな仕事に潜り込んでキャリアを積むことができるんですよ。
“あまり有名な学校じゃないけど、どうすればいい？”という質問も先ほどありましたが、コンビニのバイトにしたって、ただ時間が過ぎ去っていくのを待つだけじゃなくて、頼まれてもないけど“近くでイベントがあるから、今日お弁当たくさんいるんじゃないですか”とか、貢献できるんですよね。そのうちいつの間にか発注やお金の管理を任せてもらえるようになって、経験を重ねることで“是非うちで働いてくれ”と言われるようになっていきます。キャリアがないのに正社員になろうとするからいけないのであって、潜り込める場所に潜りこんで、迷惑にならない程度に自分にできることをやっていったら忙しい人は、いろいろ任せてくれるんですよね。そうしたら、“自分はあんなことできます”“こんなことできます”ってストーリーができるじゃないですか。
僕が大学生に言ってるのは“ストーリーを見せろ”と。それはどの段階でも同じであって、何しろ雇う側も不安なんですよ。一人正社員を雇うってのは40年契約で考えれば、トータル3億円ですよ。3億円の買い物ってなかなかできないですよ！そうすると相手は不安なんだから、相手を安心させることが必要になる。それが書類を書いたり、面接の際に自分がやることなんですね。自分のキャリアに間が空いちゃってるんだから、どんな業績を上げて何につまずいたかを、それを人に見せてやれば、“ああ、こいつとだったら一緒に働ける”と思える人間になるしかない。
これからは「英語ができる人」がホワイトカラー
会場の男性：日本の企業って人的資本が最も大切だと言われてきましたが、雇用方法が変わると企業の伝統が変わるのでは？と思ったのと、逆に雇用の流動性が変わったら外資と日本企業という区分けもなくなっていくのでしょうか？
城：企業の側からいうと、長期雇用にともなって人的資本があがっていくと考えている企業は非常に少ないです。たとえば三井物産でいいますと、2000年代に入って45歳以上の早期退職の募集をやっているんですよ。すごいですよ。“今やめてくれたら退職年齢60歳までの給料の6割を毎年払いますよ”って言うんですよ。辞めて6割もくれるんですよ！要するに、“6割払うから頼むからやめてください”と。年収1500万円として、その6割ももらえるわけですよ。
長期雇用のメリットって、IT・自動車・電機なんかはないですよ。その辺は規制緩和をした上で、個別に判断する必要すればいいんですよ。やっぱり“うちにもメリットがある”という会社があれば、長期雇用に戻せばいいだけの話で。それは各自が自由化すればいいだけの話で。あと、日系と外資の区別をする必要ってあるんですか？ないですよね。そういう社会を早期に実現するべきだと思いますし。
英語ができる人、できない人に二極化して、20世紀にホワイトカラーと言われていた仕事につく人は英語ができる人になるでしょう。今、海外採用を増やしているのは、一時的に新興国の人材を取り込むという側面も確かにあるんだけど、私の見方ではグローバルな労働市場への統合が始まってるんだ、という見方ですから、ホワイトカラーとしてやっていきたいんだって方は日系会社の垣根を下げるようなキャリアデザインをされることをお勧めします。
池田：今の話で思い出したんですが、今回の計画停電で恐らく相当なインパクトがあると思うんですよ。そうすると、今、城さんが言ったような、英語が使えるグローバルな人材と、あとは日本に残っているような低賃金の新興国と戦う人と、ゴールドマンサックスとウォルマートで働いてる人の給料が何十倍も違うと、そういう世界に良くも悪くも日本は近づいてくるのかな？と思いますね。
海老原：ただ、企業って個性があって、個性によって強くなってるんですよ。ソニーっていうのは危なっかしいけど一歩先の製品を作るっていう面白みがある。松下は、そうじゃなくて、安心安定安価大量という哲学がある。これを連綿と受け継いでいるから、同じ市場に二つあっても世界に切磋琢磨していくと。やっぱり会社のDNAってあるんですよ。これをうまく移譲できないとコア・コンピタンス（競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力）が崩れるんですよね。今までの日本型雇用は、企業が汗をかかなくてもコア・コンピタンスが保てたんですよ。つまり何の投資もせずにコア・コンピタンス。アメリカの企業は、それを維持するためにものすごい投資をしていたんです。これからは日本の企業が、相当汗をかいて維持していかないとまずいと思います。
「就活エリートを目指すのはやめてください」
池田：今日は（人材コンサルタントの）常見陽平さんが会場にいらしているので、一言どうぞ。
常見陽平氏：常見と申します。では、今から一分間しゃべります。3月11日、震災が起きました。日本が変わったかなと。震災関連で就活も相当変化したんですが、結論から言うと、これから大変な時代にますますなります。海老原さんの言うところの“橋を渡る”って言い方をすると、採用する側でも構造改革が始まっています。
今日、この会場に来ている就活生の皆さんも就活エリートを目指すのはやめてください。2012年採用と2013年採用で企業が明確にしてきているのは、就活だけを頑張ってきた就活エリートをいかに排除するかっていうことが顕著になってきています。例えば、ある人気企業では最終面接では質問一切なしです。逆に、“皆さんから質問してください”と。これで、就活エリート達が玉砕していると。一点突破型の就活を頑張った人材はいらないんです。世界に頑張れる人材がすごく求められているんだと。池田さんの本じゃないですけど、希望を捨てる勇気を持ちつつ、でも生き抜く覚悟をする、ということが非常に大事だと思います。
優良な中小企業をさがす方法
会場の男性「お話有難うございました。中小企業や中堅企業を受けた方がいいというお話でしたが、探し方が分からないので教えて頂きたいというのと、大学の就職部に行った方がいいという話も出ましたが、僕が実際に就職部に行ったらすごい使えなかったんです。“これを見て”と、すごい分厚い本を渡されて“自分で調べろ”と言われました。それと、潰しの利くキャリアとは具体的にはどのような物なのか教えていただけないでしょうか。
海老原：ええっと、まずね、就職課は本当に使えないことが多いですね。
（一同笑）
海老原：もし中小企業でいいところを探そうと思ったら、自分の所属しているゼミのOBリストを15年分から20年分もらってください。彼らが入った会社が100社か200社あるかと思うんで、そこに片っ端から電話をかけてみてください。今でもOBが残っている会社は、10年勤続できている会社だし、あなたの大学の人を採ってくれているんです。これは確率の高い企業の探し方です。あと無名で良い企業を探すのであれば、日経リサーチなどが出している優良企業リストを持ってきてください。そのリストと、リクルートなどで出している人気企業ランキングと読み比べて、人気企業に入ってないところを片っ端から受けてみてください。そこは人気企業に入ってないから応募している人少ないです！
博士の就職は「お笑いと同じ世界だと割り切れ」
会場の男性「安藤先生にお尋ねしたいんですけども、博士課程を出たけども就職できなかった方が難民化しているとよく言われるんですが、安藤先生の周囲でも大学に職を得られた方もそうでなかった方もいると思います。博士課程を修了した人間はどうすればいいのでしょうか。
安藤：博士課程を出たけど仕事がないという人達は確かにたくさんいます。理系でもそうだし、文系だともっと悲惨だと思います。それはポスドクを増やすという日本の政策であったり、いろいろな要素があるんですが、結局は椅子取りゲームの例じゃないですが、研究機関に入りたくても椅子がないんですよ。そうなると別の道を探さざるを得ないんですね。今は“博士課程までやったのに勿体無いから他の道にいかない”という風潮もありますが、これはある程度の損切りをしないといけない。そういうことを残念ながら認めないと行けないんですね。
博士号を取ったからそれを生かしたいと思って、非常勤講師の仕事を掛け持っても、その中にの一部には逆転して大学のポストを得られる人もいるんですけど、ほとんどの人はそうならないんですね。というのは、下からどんどん世界的な競争をしている若者が出てくるから。40歳で論文3本の人と、20代で論文3本の人だったら後者が選ばれちゃうんですよ。なので、よっぽど自分に自信があるんだったら、“芸能界に入るんだ”と思って、アルバイトしながらお笑いを目指すというのと同じ世界だと割り切って頑張り続けるか、お笑いが売れないと思ったら他の道を探すか、と。それは自分の生き方と言わざるを得ないんです。
海老原：全くその通りだと思いますよ。ただ、ちょっと言いたいことがあって、大学の問題はあまりにも大きいと思っているんです。生物と食品ってやたらポスドク多いんですよ。あれは試験管を振らないといけない人がたくさん必要で、あれこそ昭和的価値観で教授に、タダ働きさせられてるんですよ。だから生物の講義はすごく多いのに、生物の就職は全くない。それに対して工学部は助手はそれほど必要ないのに、就職の口はものすごくたくさんあると。
池田：僕もそう思いますよ。日本の大学が相当な需給ギャップを作り出しちゃっていますよね。そろそろ時間が来ちゃったので、最後にまとめで2点。一つは、今度の原発事故もあって、日本の在来の雇用の仕組みは、もう効率がすごく悪くなってて、“変えなきゃいけない”ってのは企業から見ると明らかなのに、役所とかマスコミの人々は、未だに昭和的な会社が理想で、そういう会社が日本中にあるように思ってるんだけど、今では4%くらいしかないわけですよ。4%を守るってのはもうやめた方がいい！役所とマスコミは頭を切り替えて欲しい！
もっと自由な働き方ができるような制度設計を
池田：それともう一点は、文部科学省の人々に申し上げたいんだけど、ちょっと前まで大学院重点化とかで、修士・博士をたくさん作ったけど、それは需給ギャップをますますひどくしただけで、全く意味がない。大学院教育も学部教育も全く意味がない。中身がないんです。学部を出てから専門学校に行く人だってたくさんいるわけです。だから、役所で言うと文部科学省は頭を切り替えて、現実を見て欲しい。もっとプラクティカルな高等教育をやって、半分以上定員割れしているような大学は、みんな専門学校にしちゃえばいいのであって。
厚生労働省の人も、いわゆる非正規っていう風に考えるんじゃなくて、もっと自由な働き方をできるような制度設計をして欲しい。それを司会者の特権を利用して最後に言いました。今日はどうも有難うございました。
（一同拍手）
参考資料
・安藤至大氏の説明資料
出演者（50音順）
安藤至大（あんどう むねとも）
経済学者。日本大学大学院准教授。2007年から2010年まで政府の規制改革会議に雇用労働分野の専門委員として参加。著書に「脱格差社会と雇用法制」（日本評論社）、「雇用社会の法と経済」（有斐閣）（いずれも共著）など。
・280円の幸せ 78kgの悩み
海老原嗣生（えびはら つぐお）
雇用ジャーナリスト。株式会社ニッチモ代表取締役。株式会社リクルートエージェントソーシャルエグゼクティブ、株式会社リクルートワークス研究所特別編集委員。「Works 」（リクルートワークス研究所）編集長、「HRmics 」（リクルートエージェント）編集長を歴任。
・株式会社ニッチモ
城繁幸（じょう・しげゆき）
コンサルタント。株式会社Joe's Labo 代表取締役。富士通の人事部門で新人事制度導入直後からその運営に携わる。著書に、「内側から見た富士通」、「若者はなぜ3年で辞めるのか？」（いずれも光文社）など。
・Joe's Labo
司会：池田信夫（いけだ のぶお）
アゴラ編集長。上武大学大学院経営管理研究科教授、SBI大学院大学客員教授、株式会社アゴラブックス代表取締役。著書に、「電波利権」（新潮新書）、「希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学」（ダイヤモンド）などがある。
・アゴラ｜池田信夫 blog｜Twitter
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