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大型連休が終わり、通常の生活を送るなかで、4月には感じなかったような疲労感を覚えている人は少なくないだろう。その原因は、連休中の睡眠リズムの乱れかもしれない。睡眠が不規則になると、「なかなか寝つけない」「1日中眠気を感じる」といった睡眠障害の症状が出やすくなり、心身の健康も崩れがちになってしまう。
そこで、睡眠の質の改善に役立つのが、25年以上睡眠専門医として活躍している坪田聡氏の著書『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』だ。本書は、短時間の睡眠でも朝スッキリと起きられ、日中もハツラツと活動できる「5時間快眠法」のメソッドを3つのステップで解説している。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、絶対に居眠りしてはいけない「魔の時間帯」とその理由をご紹介する。(構成/根本隼)

眠るのに最も不適切な時間帯とは?

 一日のうちで、人間が眠るのに最も不向きとされている時間帯がある。それが「睡眠の2〜4時間前」だ。0時に寝る人ならば、20〜22時の2時間である。この時間帯は、帰りの電車の中でウトウト······という人も多いのではないだろうか。

 しかし、絶対に寝てはいけない。肝心の夜に眠れなくなったり、夜の睡眠の質を大きく落としてしまうおそれがあるからだ。

 人間の体は体温が高くなると活動的になり、低くなると動きが鈍くなるという性質がある。つまり、体温が下がっている時間帯に眠るのが一番自然なのだ。

「入眠の2〜4時間前」に眠くなるのは睡眠不足が原因

 しかし「睡眠の2〜4時間前」は、一日のうちで最も体温が高い時間帯。仕事の疲れや電車の揺れの心地よさにまかせて眠ってしまうと、体内時計のリズムに狂いが生じてしまう。

 結果として、入眠してから180分の間に目覚めてしまうことが多くなるなど、睡眠の質の低下を招いてしまう。

 そもそも、体温が高く眠りづらいはずのこの時間に眠くなるのは、日ごろからの睡眠不足が原因。睡眠の質を高め、睡眠不足を解消したい。

 もしもこの時間帯に眠気に襲われてしまったら、ぐっと我慢して、スマートフォンでメールをチェックしたり、ニュースをチェックしたりして、眠気を吹き飛ばそう。

眠るべき時間に向けて体調を整える方法とは?

 また、体温と睡眠の関係を考えれば、睡眠の2〜4時間前にしっかりと体温を上げておけば、肝心の夜に眠りやすくなる。体をしっかりと温めれば、眠気が覚めるとともに、本来眠るべき時間に向けて、体温はスムーズに低下する。一石二鳥だ。

 オススメは、ウォーキングや入浴。運動や入浴をすると、血行がよくなる。手足の血行がよくなるということは、脳や内臓の血液が手足にしっかりと流れ、そこから熱が放散され、深部体温(体の内部の温度)が下がるということだ。

 とくに、健康のためにもこの時間に運動することはオススメできる。体温が高いときは覚醒度が高く、体の運動能力も高まっているからだ。ケガもしにくい。オリンピックの決勝が夜に多いのは、このような理由もある。

 きっちりとこの時間帯に体温を上げることで、夜は眠りやすくなる。

(本稿は、『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』より一部を抜粋・編集したものです)