キレイ好きは「ガマン」が必要! 洗車は「少ないほうがいい」とプロが断言する理由とは
この記事をまとめると
■洗車歴40年の洗車ジャーナリストの持論は「洗車はなるべくしないほうがいい」
■洗車することで3日はボディから完全に水気が抜けず汚れの原因となる
■「プロによるボディコーティングが施されていれば」という前提が条件となる
洗車小僧だった頃からの経験から達したひとつの結論
1980年代から1990年代の洗車ブームの一役を担い、多数の洗車関連書籍、ビデオ、TV、ラジオ出演(主にNHK)、イベントなどに携わり、15年以上に渡って洗車補修用品メーカーの開発アドバイザーに従事。
トヨタ86コラボグッズ洗車アイテムのプロデュースも行ってきた筆者は、洗車小僧時代を含め40年以上の洗車経験からひとつの持論に辿り着いた。
それは、「洗車はなるべくしないほうがボディを美しく保てる……」という自身の経験に基づく結論だ。実際、新車から8年目のシルバーボディの愛車は、屋外駐車にして、自慢じゃないが飛び石などはあっても、塗装は美しいままに保たれていると自負している。
そもそも洗車の基本として、洗いすぎは厳禁だ。クルマをザブザブ水洗いすると、表面の水気を拭きとったとしても、ボディから完全に水気が抜けるのに、晴れの日が続いても2〜3日はかかると言われている(洗車のプロの証言)。つまり、愛車を常にきれいにしようと3日に1度の洗車をしたとすれば、1年中、ボディの内部は水気がジメジメと残ったままとなり、サビやコケの発生、そして水気に付着する汚れの凝固を促すことになってしまうのだ。
そして素人が、とくに風に乗って砂や鉄粉が降ってくる風の強い日を含め、屋外でボディに触れれば触れるほど、擦れば擦るほど、自然と微細な磨きキズが付いていく。それは例えカーシャンプーを併用しても、と考えていい(最後の水気のふき取り時にはシャンプーの滑性力は得られない)。
かつてダークカラーのボディのクルマに乗っていてたとき、埃が目立つゆえに、頻繁に洗車をしていた経験があるのだが、数年後、ボディが薄ボケ、艶が失われてしまった。そこで、新車の磨きを専門とするプロに相談したところ、やはり洗いすぎ、触りすぎによる微細なキズが艶を失わせる原因であるということだった。プロは洗って磨いても、プロ機材を正しく使っているしテクニックもあるから、そうした心配はあまりないが、素人が無暗に洗い触りすぎるのは、いい結果にならないということだ(やり方やボディカラーにもよる)。
「洗車はなるべくしないほうがいい」には前提がある
さて、「洗車はなるべくしないほうがいい」という持論には絶対条件がある。それはプロのコーティングが施されているという前提だ。
いま乗っているクルマは2014年型だが、新車時に自身の手で(!)プロ仕様のコーティングを施し(ボディ表面はもちろん、ボンネットの内側、エンジンルーム、ドアの内側、ピラー、ホイールまで!)、現在は定評あるキーパーラボでEXコーテイングを施工してある。
その前提、ボディが強固なコーティングで守られているからこそ、「洗車はなるべくしなくて済む」のである。もちろん、鳥のフン、ピッチ、黄砂などがボディに付着すれば、スポット、または全体の洗車を行うものの、それ以外のちょっとした汚れ程度では「なるべく洗車をしない」、というより、不用意にボディに触らないようにしている。
そして筆者が満を持して行う洗車方法にもコツがある。それは、めったにやらないからこそ、「徹底的に洗う」である。洗車コンディションのいい日を選び(風の強い日、直射日光下は避ける)、ボディ全体、タイヤ&ホイール、下まわりのシャンプー洗車または高圧洗車はもちろんのこと、ボディの細部、合わせ目などまで、ブラシを使ってシャンプー併用で洗いまくるのだ。そうしておくと、例えば、雨でボディが濡れた後に、ドアミラーやドアアウターハンドルなどの下に線状に付着する水垢被害も低減できるのである。
線状に水垢が垂れるのは、ドアミラーステーやドアアウターハンドル、ガーニッシュなどの中にたまった汚れが雨水といっしょに泥汚れとして垂れ、そこに紫外線が当たって水垢になったりするのだが、その中(というか現実的には隙間)までブラッシングによってきれいにしておけば、そうした水垢被害も最小限に抑えられることになる。
自身の考えでは、ボディ表面だけのざっくりした洗車を2回するより、しっかりした洗車を1回するほうが、「ボディを美しく保ちやすい……」という結論になる。
もちろん、ビーチドライブの帰りには、すみやかにコイン洗車場に立ち寄り、シャンプーと高圧の水で下まわりを含め、サビやキズの原因になる塩分を含んだ砂を徹底的に洗い落としている。雪道の帰りも同様だ。
※写真はイメージ
究極は、キーパーラボなどの信頼できるカーコーティング業者に上級コーティングを施してもらい、汚れが気になるレベルになったら、そのタイミングでプロの手による手洗い洗車を依頼することだろう。その分だけ費用はかかるが、自身で大量の洗車用品を購入しなくて済むし手間いらず。1台のクルマに10年は乗り続けることもある筆者の場合、長年にわたるボディコンディションの維持を考えれば、経験上、それほど高くつくことにはならないと思っている。
以上の「洗車はなるべくしないほうがいい」という理論は、あくまで筆者の洗車歴40年以上の経験から導き出した、プロによるボディコーティングが施されたうえでの持論、結論であるため、すべての人にとってそれがベストとは言えないことをお断りしておきたい。「洗車はしないほうがよい」、ということでは決してないので、誤解のないように。