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 神保町の小道にある蟹ラーメンの店が「ランチ限定ですっごいボリュームのやつ、出している」という噂を聞き、向かったのは『濃厚蟹みそラーメン 石黒商店』。白山通りからちょっと入ったところにある、蟹の看板と白い暖簾が目印の店です。

 開店直後に行ったのに、すでに席は満席、サッとのぞいて帰る人、そのまま待つ人などもいて、店の外には常に1~2人が待機している状態。とりあえず周囲を見渡していたら発見。店の外の壁? 通用門? のところに、「蟹みそジャンボ」と写真入りで書かれたチラシが。きっとこれのことだ! とニヤニヤしつつ、このまま席が空くのを待ちます。ランチタイムのラーメン行列は回転早いから問題なしっ。

 待つこと数分、席が空いたので、「蟹みそジャンボ」を注文しようとすると、実は新メニューのデカ盛りが誕生したとのこと。その名も「デッ蟹みそらーめん」。それならもちろん新デカ盛りラーメンにするでしょ! ということで、「デッ蟹みそらーめん」をお願いします。

L字型カウンター席の店内。店主の“蟹シャツ”のインパクトが凄くて、つい目で追ってしまう(食楽web)

「デッ蟹みそらーめん」は、できたばかりなので、この日はまだ券売機にも出していない、これから紹介していく予定とのこと。それを先んじて食べられるなんて、ちょっとだけ常連になった気分。ワクワクしながら完成するのを待ちます。

 卓上にあるお店の紹介文「当店のラーメンの特徴」を読むと、『蟹丸ごと数十キロを、数時間コツコツ潰しながら出汁をとり、味噌は創業80年以上の歴史を持つ佐野みその噌ムリエと開発したもの』、と書かれています。噌ムリエとは、味噌のソムリエ。また『流行のビスク仕立てではなく、あくまで味噌ラーメンの形を壊さない、ちょっと懐かしく、ホッとする味』という一文にも、こだわりがビシビシ感じられます。外で人が待つほどの人気、そしてこの文章。期待値爆上がりです。早く食べたい~!

見た目は山盛りチャーシューメンなのに“カニ感”がすごい!「デッ蟹みそらーめん」1594g

「デッ蟹みそらーめん」2000円。高く感じるかもしれないが、ホントに蟹がすごいからこの値段に思いっきり納得

 目の前にやってきたのはチャーシュー、もやし、コーン、ひき肉の山! 一見チャーシューメンだけれど、スープの香りは思いっきりカニ! 見た目は肉がどーんとくるけれど、香りはカニ、ワクワクするぐらいカニ!

 早速計測です。直径22cmの丼に高さ約16cm、重さは1594g(器の重さを除く)。あとちょっとで1.6kg。味玉が落ちそう。分厚いチャーシューが山の斜面となり、中はもやしやコーン、ひき肉などが山を形成、麺は上からは見えません。

紫タマネギの紫、コーンの黄色、ネギの緑など、彩りもキレイな一杯。姿はなくともカニの存在感が強烈

「スープはカニのほか、豚足やガラでとっていますね。かえしの味噌は4種類をブレンドしていて、濃厚だけれどドロドロしていない、昔ながらの味噌ラーメンの味に仕上げていますよ」と話すのは店主の石黒勝也さん。スープには麹も入っていて「麹が生きている、という特徴を持ったラーメンでもありますね」とのこと。麺は中太のちぢれ麺。茹で上がりはおそらく600g前後になっているそう。

 食べてみると、とにかくスープの中のカニがドスっと存在感をアピール。カニが一匹乗っている訳でも、カニ足があるとかではない。でもカニの存在感がハンパない! 豚足やガラを脇役にするカニ、すごい! さらっとしているけれど旨味がしっかり、そして味噌や麹特有のまろやかさ。たとえデカ盛りでも絶対残したくない、うっとりするほどの美味しさです。

亀戸に本店のある「佐野みそ」の味噌4種をブレンド。「うちの味噌は麹が生きてるんですよ(店主)」

 山をある程度崩したところで、麺がやっと顔を出します。中太の存在感ある麺はスープの持ち上げも良く、まろやかな味噌に合う! 主役のカニを支える名脇役というか、カニの良さを引き立てる麺というか。太さといいバランスといい、このスープに最適の麺。食べ進めると、麺に絡んだもやしやひき肉もいいアクセントになっています。

「麺ともやしの量が多いから、これもよかったら」と出されたのはオリジナルソース。青森県産のニンニクたっぷりのニンニク醤油ソースをちょっとかけると、一気にニンニクがブワッと主張してきます。それまでカニの一強だったのがニンニクとのツートップに。最初はカニと味噌を堪能しまくり、後半でニンニク醤油。もぉ最後の一滴まで美味しく食べられる気がする!

茹で上げ600g前後と言っていたが、山を早めに崩して食べ進めないと、スープを吸ってもっとすごいことに。早めの攻略が◎!

 おすすめの完食方法を店主に聞くと「食べ飽きたらシメ用のゴハンを出すから言ってくださいね。ただし、ゴハンがあるときだけなんですけれどね」。約1.6kgを完食するのに、ゴハン追加って。いや、このスープならシメにゴハン投入しておじや風に味わったら絶対うまい。しかし、1.6kgにゴハン追加は、なかなかの猛者でしょ。

 個人的には、後半になると麺がスープを吸うので、早めに麺攻略が良さそう。まずは山を崩して麺を引っ張り出すことをお勧めします。ちなみに「食べ切れる量で注文してくださいね。ペナルティはないけれど、食べ物は大事にね」。と店主。「うちは子ども食堂もやっています。だから食べきれない量を残すのはタブーなんですよ」。確かに大量に食べ残す大人の姿はみっともなくて、子供には見せられません。

「限定20食でカニ醤油らーめんも最近始めました。イベントなどでは塩味なども出しています。お楽しみに!」(店主の石黒勝也さん)

 子ども食堂は毎日開催、子どもの事情により無料~100円でラーメンを提供するほか、毎週金曜日には持ち帰り用のお弁当を配布。店内には募金箱も置いてあります。常連さんで毎回募金をしてくれる人もいるそうで、地元の人たちも活動を支えてくれているそうです。

 ちなみに店ではオリジナル「特製蟹油」(1200円)や、「青森さんニンニクの蟹油漬け」(1900円)などを店頭で販売。また、ホームページからは「特製濃厚味噌らーめん」や「辛みそらーめん」のセットなども購入できます。神保町まで行けないけれど、蟹らーめんが無性に食べたい! というときはネットで注文もありです。

 終盤には麺がスープを吸って、混ぜ麺のような状態になったけれど、なんとか完食。しかしゴハン投入までは辿り着けなかった~。次回は店一番人気の「特製濃厚」1200円にして、ゴハンでシメられるようにするか、それとも店のもう一つの看板メニュー「辛みそらーめん」に最初からライス150円を足して、旨辛を麺とライス両方で堪能するか。でも券売機の最下段にあった、雷神、風神、鬼神らーめんって何? すっごく気になる。また近いうちに食べに来ます!

(取材・文◎いしざわりかこ)

●SHOP INFO

店名:濃厚蟹みそラーメン 石黒商店

住:東京都千代田区神田神保町2-24 木下ビル 1F
TEL:03-6272-3977
営:11:30~15:30、17:00~21:00、土曜11:30~16:00、17:00~21:00、祝日11:30~16:00(L.O.なし)
休:日曜