マレリHDの金融債務は1兆円を超える

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抜本的な事業再生を目指す

 マレリホールディングス(株)(TDB企業コード:886019459、資本金1億円、さいたま市北区日進町2-1917、代表デイヴィッド・ジョン・スランプ氏ほか1名)は、3月1日に事業再生ADR手続きの申し込みを決議、事業再生実務家協会に対し同手続きを申請した。

 マレリホールディングス(株)は、2016年(平成28年)10月の設立。マレリ(株)(TDB企業コード:985682005、資本金4億円、同所、代表藤井司氏、従業員4700名)をはじめとする自動車部品メーカーを傘下に収める持株会社。

 マレリ(株)は、1938年(昭和13年)8月の設立。旧:カルソニックカンセイ(株)として知名度の高い世界的な自動車部品メーカー。大手自動車メーカーである日産自動車(株)(TDB企業コード:985612708)のグループ企業として欧米やアジアにおいてグローバルに事業を展開し、熱交換器やコンプレッサー、パワートレインといったエンジン回りの排気・空調製品を中心に、照明器具や電装部品、内装関係まで幅広い製品の設計・開発・製造に従事していた。1973年8月の東証1部上場以降徐々に業容を拡大し、国内最大手クラスの自動車部品メーカーとして数々の実績を重ね、近時ピークとなる2008年3月期は年売上高約4440億円を計上していた。

 その後、CASEにはじまる自動車業界の大変革と世界的な業界再編が進むななか、2017年に米投資ファンドKKRの傘下に入り(同年5月上場廃止)、イタリアの自動車部品メーカー「マニエッティ・マレリ」との統合を経て、2019年10月に商号をマレリ(株)に変更して新たなスタートを切っていた。しかし以降の業績は不振を極め、2019年12月期(決算期変更)は年売上高が約2171億円までダウンし、最終赤字約84億円を計上。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響が追い打ちをかけ、東南アジアにおけるロックダウンや半導体不足による生産調整など、取り巻く環境が厳しさを増して業績はさらに悪化。2020年12月期は年売上高が約2148億円、最終赤字は約282億円となっていた。

 このため、2021年6月の本社売却をはじめ各種の合理化に着手する一方、再建に向けた金融機関との協議を進めていたものの、投資負担と過剰設備による資金繰りの悪化で自力での再建を断念。抜本的な事業再生を目指すべく今回の事態となった。
 
 マレリホールディングス(株)の金融債務は1兆円を超え、一般取引先への影響はないとみられる。