青春18きっぷ「東京から北へ1日で行ける範囲」どうなる? ″類似商品″使うとさらに拡大
東京から東北方面へ、新幹線や特急を使わずに1日でどこまで行けるのでしょうか。また、2022年3月に実施されるダイヤ改正が、どのように影響するのでしょうか。
北へ北へ、「鈍行列車」だけでどこまで行けるのか
東北本線など各線で走るE721系(画像:JR東日本)。
JRグループが2022年3月12日(土)にダイヤ改正を実施します。全国で減便を含む改正となっていますが、JRの普通列車が乗り放題になる「青春18きっぷ」で、東京から東北方面へ向かう旅行にはどう影響してくるのでしょうか。
まず、JRの普通列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」のみを使う場合です。盛岡〜目時の旧東北本線を引き継いだ「IGRいわて銀河鉄道」は、18きっぷが使えません(「青い森鉄道」は通過利用なら乗車可)。このルートを避けたプランだと、秋田方面へ迂回する必要があります。
しかし日本は案外狭いもので、上野駅5時10分発に乗って、1日いっぱい乗り継いで、青森駅まで到達することができます。上野から仙台を経由し、北上駅までは東北本線。そこから北上線→横手駅→奥羽本線と乗り継ぎ、秋田駅を経由し、青森駅には22時18分着で、旅は終了となります。
東北本線から奥羽本線へ向かうルートはいくつかあります。そのひとつ、仙台から仙山線で山形まで行き、そこから奥羽本線に乗り継いでも、同じく青森まで到達可能です。ただし仙山線で終点の山形駅まで乗ってしまうと、乗り継ぎは失敗します。その手前の北山形ないし羽前千歳で乗り継がなければいけません。
東北本線で盛岡へ向かい、そこから好摩までIGRいわて銀河鉄道を利用し(別途運賃660円が必要)、好摩から花輪線に乗り継ぎ、大館から奥羽本線を利用しても、やはり青森まで到達可能です。一方で、福島駅から奥羽本線を利用する、あるいは小牛田から陸羽東線で新庄へ、盛岡から田沢湖線で大曲へ出る場合、いずれも青森まで到達できません。
日本海ルートはどう?
東北本線ではなく、「日本海経由」でも、青森まで到達可能です。上野駅5時13分発の高崎線に乗り、上越線・信越本線を乗り継いで、11時29分には早くも新潟駅に到着。そのまま白新線・羽越本線で北上し、秋田駅到着が18時20分。先述の青森行き最終便に接続します。
整理すると、以下の3ルートにより、追加運賃なしで青森まで到達可能です。
●上野→(東北本線)→北上→(北上線)→横手→(奥羽本線)→青森
●上野→(東北本線)→仙台→(仙山線)→北山形または羽前千歳→(奥羽本線)→青森
●上野→(高崎線)→高崎→(上越線)→長岡→(信越本線)→新潟→(白新線・羽越本線)→秋田→(奥羽本線)→青森
なお、上野駅までは、蒲田4時22分発の京浜東北線、大崎4時30分発の山手線が利用できます。
ちなみに、青森からさらに北の三厩までを結ぶ津軽線は、青森発蟹田行きの最終便が22時10分。わずか8分差で乗ることができません。
「北海道&東日本パス」を使うとだいぶ行ける!
JR東日本とJR北海道は、18きっぷとほぼ同時期に両社の路線が乗り放題になる「北海道&東日本パス」を、18きっぷとほぼ同額の大人1万1330円で設定しています。JR北海道とJR東日本の普通列車が7日間連続乗り放題になるほか、さらに青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行も対象。5660円で小児用も設定されています。
このきっぷを利用して盛岡からIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道を乗り継げば、青森駅には20時10分に到着。秋田回りよりも2時間の時間短縮となります。さらに津軽線に乗り継いで、蟹田まで到達可能です。
この「北海道&東日本パス」には、さらに便利な「オプション券」もあります。
「北海道&東日本パス北海道線特急オプション券」(6110円)を追加購入すると、新青森〜新函館北斗間の北海道新幹線(空き席利用可)と、北海道内の特急列車の普通車自由席が1日間乗り放題となります。これを利用すると、新函館北斗駅に21時44分着。そこから在来線を乗り継いで南は函館駅へ22時12分、北は森駅へ23時33分に到着します。1日で東京から北海道まで到達できるのです。
もっとも、「オプション券」は先述のとおり、北海道内の特急が1日乗り放題。せっかくなら、青森で1泊して、次の日に特急に乗りまくるほうがお得かもしれません。
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これらの乗り継ぎルート、2022年3月のダイヤ改正による大きな変更はありません。全国的な運行本数の見直しの中、西日本方面では1日で到達できる距離が短くなりますが、東北方面に関しては、まだ「鈍行でその日じゅうに果てまで行く旅」は安泰となります。