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 東京・中野にある「中野ブロードウェイ」といえば、全国から人が集まるオタク&サブカルの聖地。何時間いても飽きないマニアックなお店がひしめいていることで知られています。

 そして実は地下1階は食料品店が集うエリア。ここもかなりの名店ぞろいなのですが、麺好きに特に強力にオススメしたい店があります。それが、ラーメン好きにとっての楽園ともいえる『麺市場』というお店。

2019年8月12日に「麺テイスティング・カフェショップ MENSTA」としてオープン。昨年にリニューアルして『麺市場 中野ブロードウェイ店』として営業中

 実はここ、大正6年創業の老舗製麺所「大成食品株式会社」の業務用生麺の直販店。ミシュラン星付きの店や行列ができる人気店に中華麺やパスタなどの麺を卸している、知る人ぞ知る製麺屋さんです。そしてコロナ禍の今、自宅でこだわりのラーメンを作ろうと、たくさんの人が訪れている最注目のスポットでもあります。

『麺市場』では、同社を代表的する生麺が常時12種類ほどが販売されており、さらに製麺のプロが厳選した美味しいスープが1食単位で約60種類も揃っています。

味噌、醤油、塩の液体スープ、つけ麺のタレなど常時50種類近くのスープがずらり。1食単位で30円~120円。購入はもちろん、ラーメンも作ってもらえる

 たとえば中華系の生麺は、定番の中華麺をはじめ、ストレート麺、中細縮れ麺、平打縮れ麺、博多麺、つけめんまぜそば麺、全粒粉つけ麺、つるもち縮れ麺などがラインナップされており、5食500円(中華麺は1食140円で小分け販売もしてくれる)で購入できます。パスタも、リッチャレッレ、タリアテッレ、リングイネ、トンナレッリなど、本格的な生パスタが勢揃い。

 そして、それぞれの麺の特徴、最適な茹で時間、さらにスープとの相性などを、常駐の専門スタッフが教えてくれるという、なんとも楽しいお店なんです。

こちらは「つるもち縮れ麺」5食入り500円。ちゃんぽんやまぜ麺などに合う麺で、好みに合わせてオススメのスープもセレクトしてくれます

 さらに、店内にはテイスティング用のカウンター(11~15時利用可能)もあり、試してみたいスープを1つ選ぶと、そのスープと生麺を使ってラーメン(500円)やパスタ(600円)を作ってくれるんです。ラーメンは味玉やメンマ、海苔ものっていて、しかもサラダ付き。さらに麺の大盛り無料という製麺屋ならではのサービスも!

 つまり、約60通りラーメン&パスタをどれでも試食できるわけです。そこで今回は、試しにラーメンのテイスティングをしてみることにしました。

見て、選んで、味わうのが楽しすぎる!

 ラーメンを実食するにあたり、まずは60種類もの中から試してみたいスープを1つ選びます。しかしこれがなかなか決まりません。塩もいいし、味噌もいいし、醤油もいいし…と悩んでいると、店長の黒沢さんが登場。

店頭で麺やスープの案内をしてくれる黒沢さん

「ざっくりと好みのタイプの味を言っていただければオススメを解説しますよ」と黒沢さん。そこで、筆者は「さっぱりした塩味か、正反対に濃厚な醤油味も食べてみたい」と希望を伝えてみます。

 すると、スープを手に取りながら説明をしてくれます。例えば「まぐろラーメンスープは、鮪の味や香りがかなり強くて、豚骨と鶏白湯のコクが深い醤油味です」、「地鶏塩ラーメンは、鶏白湯のコクと風味が豊かで、それでいて後味さっぱりです」などなど。

「まぐろラーメンスープ」60円

 最終的に筆者が選んだスープは、柚子胡椒の風味が爽やかで、しかも無化調の滋味深い味わいの「塩ラーメンスープ 柚子胡椒味」(120円)、と、あご出汁の風味が強くてまろやかな「大成食品オリジナルの濃厚醤油あごだし」(120円)。

 まずは、「無化調の塩ラーメン 柚子胡椒味」を作っていただきました。ちなみに、麺はお店の方がセレクトしてくれます。

「無化調の塩ラーメン 柚子胡椒味」のスープとストレート麺で完成したラーメン500円(サラダ付き)

 登場した「無化調の塩ラーメン 柚子胡椒味」。トッピングにチャーシュー、卵、メンマ、ナルト、ネギ、海苔までのっていて、サラダまで付いて500円とはとても思えない豪華さ。

 食べてみると、まろやかな塩味で、柚子胡椒の風味がピリッと引き締めてくれます。そしてやっぱり麺が秀逸! つるつるッと舌に当たる心地よさ、噛むと小麦の旨みがスッと広がります。

 続いて「濃厚醤油あごだしラーメン」です。

「大成食品オリジナルの濃厚醤油あごだし」で作ってもらったラーメン500円(サラダ付き)

 上品な焼きあごの風味と、じっくり炊き出した魚介と動物系のお出汁で濃厚かつ芳醇な味わい。そしてこちらもストレート麺。濃厚なスープをまとった麺は、さきほどの塩味とは表情を変え、スープが染みてつるもち食感がさらに増したような気がします。スープによってこんなに印象が変わるなんて面白い!

 テイスティングとはいえ、本格的なラーメン専門店の味わいで、お腹も満たされます。そのあとは、もちろん、店内で売られている麺やスープを買いものです。これがまた楽しいんです。

冷凍ガラスープ550円を購入して、自宅で本格的なスープ作りに勤しむ人もけっこう多いそう

 麺やスープを選んでいると、ほかにも冷凍の鶏ガラスープや冷凍チャーシュー、メンマ、海苔、煮干し、はたまた湯切りの道具など、家庭で本格ラーメンを作るために必要な具材や道具がすべて揃っていました。

 というわけで、麺数種とスープ、トッピングなどを大量購入。さらに一流の料理人が愛用しているという「八幡製麺所」の餃子の皮もゲット。とにかく、この『麺市場』は美味しいのはもちろん、めちゃくちゃ楽しい!

 巣ごもり生活が長引くなか、おうちラーメンを楽しみたい人にはたまらない空間です。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:麺市場 ブロードウェイ店

住:東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ地下1階
営:10:00~19:00(テイスティングは11:00~15:00)
休:中野ブロードウェイの休館日に準ずる