新型コロナウイルスが、またしても日本代表の強化プランを直撃した。1月21日に開催予定だったウズベキスタンとのテストマッチが、中止となったのだ。

 オミクロン株の世界的な感染拡大によって、外国人の新規入国が停止されている。ウズベキスタン代表の入国も認められなかったため、サッカー協会は7日に中止を決定した。

 早めの判断は良かっただろう。
 しかし、現場は難しい対応を迫られる。

 日本代表は27日に中国戦、2月1日にサウジアラビア戦を控える。W杯アジア最終予選の重要なホーム2連戦だ。

 国内組は昨年12月を最後にシーズンオフとなっており、J1のチームは早ければ10日前後、もう少し遅いと17日あたりに始動する。それに先駆けて国内組を招集し、実戦を踏んでおく機会として、ウズベキスタン戦が設定されていたのだった。

 チームは16日に集合して、翌17日から20日までトレーニングを組んでいた。これについては予定どおりに実施されるが、ゲーム感覚を取り戻す機会を失った影響は小さくない。主力の長友佑都、酒井宏樹、大迫勇也らは、ぶっつけ本番で中国戦に臨むことになりそうだ。

 もっとも、森保一監督のチームでは海外組がほぼ先発を埋めている。欧州各国リーグは、1月も開催されている。海外組については、コンディションに不安がない。長友の左サイドバックなら中山雄太、酒井の右SBには室屋成を起用することはできる。

 気になるのは大迫のポジションだ。古橋亨梧がセルティックで負傷離脱中である。同じくセルティックへ移籍した前田大然は、最終予選で一度も起用されていない。コンディション前提で人選をしていくと、攻撃の最前線に誰を起用するのかは悩ましい。

 森保一監督は、吉田麻也の状態も気にしていただろう。現地時間1月6日のリーグ戦で、後半途中に負傷したのだ。

 センターバックとして、キャプテンとして、吉田は欠かせない。チームの雰囲気を、戦う空気を、作っていく選手だ。

 昨年9月と10月の最終予選では、2連戦の1試合目を落とした。9月はホームでオマーンに、10月はアウェイでサウジアラビアに敗れた。11月はアウェイでベトナムを退けたものの、1試合目の難しさは今回も変わらない。

 しかも相手は、監督が代わって1試合目の中国である。相手の出かたが読みにくい。「相手を問わずに自分たちができること」を、準備段階から遂行していくことが大切になるが、いずれにしても簡単な試合にはならない。

 最終予選突破のために、今回の連戦は勝点6がノルマだ。ここで吉田を欠くのは痛いが、所属するサンプドリアから1カ月の離脱が発表された。

 前回のロシアW杯最終予選でも、キャプテンの長谷部誠を欠くタイミングがあった。17年3月のUAE戦だ。負ければUAEに勝点で抜かれてしまう大一番だったが、ベテラン今野泰幸が長谷部の不在を完璧に埋めた。

 吉田に代わって出場するCBは、果たして誰になるのか。ウズベキスタン戦が無くなってしまった以上、国内組から選ぶのは現実的でない。森保監督は難しい決断を迫られることになった。

 中国戦とサウジアラビア戦の開催にあたって、日本サッカー協会は「これまでよりも一層厳格化した防疫措置を施す」としている。具体的には、最終予選に出場した国内組の選手は、試合後2週間は所属クラブに戻ることができない。

 昨年のアウェイゲーム後は、帰国後も隔離されたうえで練習には参加できていた。今回は日本サッカー協会が作る「バブル」に、2週間入ることになる。このため、2月12日に行なわれるスーパーカップに出場できない。川崎フロンターレと浦和レッズは、日本代表選手を欠いたなかで戦うことになる。

 両チームの選手では谷口彰悟、山根視来(いずれも川崎F)、酒井宏樹(浦和)の招集が考えられる。クラブからすれば、もちろん欠かせない選手たちだ。

 スーパーカップに出場しないクラブにとっても、代表選手の合流が遅れるのは避けたいはずだ。とりわけ監督が代わったチームは、すぐにでも戻ってきてほしいだろう。

 中国戦とサウジアラビア戦は国際Aマッチであり、協会は選手を招集できる。とはいえ、コロナ禍のイレギュラーな状況だ。丁寧な説明で理解を求めていきたい。