Appleが3億4000万円超を支払い「持ち物検査の時間も従業員に給料を支払うべき」と主張する集団訴訟と和解
Appleは実店舗のApple Storeを世界各地で運営していますが、ここでは従業員が商品を盗んでいないかをチェックするための持ち物検査が「勤務時間外」に行われています。長い場合には45分にもおよぶため、「持ち物検査時に給料が支払われないことはおかしい」と主張する従業員たちにより、Appleは集団訴訟を提起されていたのですが、8年間にもおよぶ法廷闘争の末、ついにAppleは訴訟に和解して3000万ドル(約3億4000万円)を支払うことに合意しました。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-11-13/apple-to-pay-30-million-over-security-checks-for-store-workers
Apple agrees to pay workers $30 million to settle lawsuit over bag check policy - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2021/11/13/apple-agrees-to-pay-workers-30-million-to-settle-lawsuit-over-bag-check-policy/
AppleがApple Storeで働く従業員から集団訴訟を提起されたのは、2013年のこと。Appleは従業員が商品を盗んでいないかをチェックするための持ち物検査を勤務時間外に行っており、これは長い場合には45分にもおよんでいたそうです。訴訟において、Appleは従業員が商品を盗んでいないかチェックする必要があると主張していたものの、同社のティム・クックCEOはそのようなセキュリティポリシーが存在することを認識しておらず、従業員から直接不満をぶつけられた際、人事部の幹部宛てに「(このようなセキュリティポリシーがあるのは)本当ですか?」と尋ねていたことも明らかになっています。
この集団訴訟を担当していたカリフォルニア州の裁判官は、2015年に訴訟を却下しました。その後、被告側が上訴し、アメリカ第9巡回控訴裁判所がカリフォルニア州最高裁判所に対して法律の明確化を求める事態に発展。そして2020年2月には、カリフォルニア州最高裁判所が、Appleに対して「従業員が持ち物検査を受けている時間も勤務中として給料を払うべき」という判決を下します。
Appleに「従業員が持ち物検査を受けている時間も勤務中として給料を払うべき」と裁判所が命令を下す - GIGAZINE
by Niels Epting
そしてついにAppleが訴訟で和解するために従業員に金銭を支払うことで合意したとBloombergが報じています。報道によると、Appleは独自のセキュリティポリシーが実施されていたカリフォルニア州のApple Storeで働いていた従業員に対して、2990万ドル(約3億4000万円)を支払うこととなる模様。なお、和解についてはアメリカ地方裁判所のウィリアム・アルサップ裁判官に承認される必要があります。
Courthouse News Serviceの報道によると、集団訴訟で和解金を手にすることができるのはカリフォルニアのApple Storeで働いている、あるいは過去に働いていた1万2000人の従業員だそうです。記事作成時点では、1人当たり最大1200ドル(約13万7000円)を受け取ることになります。