ジェットコースターが停電などで「緊急停止」した際、ちょうど“逆さま”の状態だった場合はどうなるのでしょうか。ジェットコースター設備のメーカーにその裏側を聞いてみました。

ループ走行時やきりもみ回転時に停電すると…

 2021年10月22日、大阪市此花区のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」で、停電によりジェットコースターが停止。車両がコースの「頂上」付近に取り残されるという事態になりました。乗客は非常通路をつたい、スタッフの誘導のもと地上に下りていきました。


ジェットコースターのイメージ(画像: digitalpress/123RF)。

 今回車両が止まったのは頂上付近ですが、ループ部やスクリュー部などを走行中で、「車両が逆さまになった状態」の時に停電が起きてしまった場合、どうなるのでしょうか。

 国内でジェットコースター設備を製造する三精テクノロジーズに聞いたところ、「それぞれの遊園地の設計や運営・管理などの条件によっても変わりますが、一般的に、逆さまになった場所では止めず、安全に避難誘導ができる場所まで慣性で走らせます」とのこと。ジェットコースターは最高地点の位置エネルギーを生かして走行させる仕組みのため、特に動力がなくても運動エネルギーが持続する限り進むことが可能なのです。

 また、水平方向にきりもみ回転していく「スクリュー状のコース」の場合はどうでしょうか。先述の担当者は「同様に、慣性で安全な地点まで走らせるのが一般的です」と話します。スクリュー状など複雑な線形のコースでは非常用通路も設置が難しいため、前後に安全設備などを設けるなど、非常時を考慮してコース設計がされているそうです。