すぎやまこういちさんは「最高齢でゲーム音楽を作曲した作曲家」としてギネス世界記録にも認定された

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ゲーム「ドラゴンクエスト(以下、ドラクエ)」シリーズの作曲家として知られる、すぎやまこういちさんが2021年9月30日に敗血症性ショックのため亡くなった。90歳だった。スクウェア・エニックス公式サイト内の「ドラクエ・パラダイス」で21年10月7日、発表された。

ドラクエシリーズの500曲以上におよぶ楽曲の全てを、すぎやまさんが一人で手がけていたという。直近では、ドラクエシリーズでおなじみのメインテーマ「序曲:ロトのテーマ」が、東京五輪開会式で使用されて話題となった。だが、名曲は数多い。

「ふっかつのじゅもん」で思い出す曲

「ドラクエで一番好きな曲」はこれだ――ツイッターで、ファンが特に多く挙げているすぎやまさんの曲名を、ナンバリングタイトルごとに最大2曲ピックアップした(スピンオフ作品などは除く)。

まずは「ロト三部作」と称されるI〜III。

・I
広野を行く
・II
この道わが旅
Love Song 探して
・III
おおぞらをとぶ
勇者の挑戦

中でも、複数人が推していたのが「Love Song 探して」。ファミコン版のドラクエIとIIに実装されていたパスワードシステム「ふっかつのじゅもん」入力の際に流れていた曲だ。

一度ゲームを終了するときに、画面に表示される「ふっかつのじゅもん」。再開時にこれを入れると、同じ名前・パラメータで再開できる仕組みで、今でいう「セーブ」機能にあたる。ただ数十に渡る文字列であるため、「メモを取り間違えてしまい、再開できない」プレイヤーも続出した。そうしたほろ苦い過去もあってか、思い出深い一曲になっているようだ。

「愛」「結婚」にちなんだ曲が多いV

続いて「天空三部作」と呼ばれるIV〜VIをみていこう。

・IV
栄光への戦い -生か死か-
ジプシーダンス
・V
愛の旋律
戦火を交えて
・VI
敢然と立ち向かう
木漏れ日の中で

IVは各章に主人公キャラクターがおり、それぞれのイメージを投影した専用のフィールド曲やバトル曲が与えられている。初め、勇者が一人きりで冒険をしている間のフィールド曲は少し寂しさを感じさせる「勇者の故郷」だが、章ごとにプレイヤーが操作するキャラたちが最終的に勇者の元へ集うと、勇ましい曲調の「馬車のマーチ」に変わるなど、音楽面での仕掛けも作品に深みを与えている。

映画「ドラゴンクエストユア・ストーリー」の題材にもなったVは、主人公の子ども時代から物語が始まる。やがて青年に成長し、結婚を経て、父親になる姿が描かれるため、「愛」や「結婚」にちなんだ楽曲が多いのが特徴だ。「結婚ワルツ」が思い出深いとツイートする人も多かった。

「どの作品の序曲が好きか」

最後に、VIIからXIまでは次の曲が並んだ。

・VII
血路を開け
・VIII
おおぞらに戦う ※III人気曲「おおぞらをとぶ」の戦闘曲アレンジ
広い世界へ
・IX
天の祈り
・X
神に挑みし者
・XI
愛のこもれび

なお、メインテーマ「序曲」はナンバリングごとにアレンジされているため、「どの作品の序曲が好きか」という話題でも盛り上がりを見せている。

「ドラクエ・パラダイス」によると、現在制作中の「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」の作曲が、すぎやまさんの最後の仕事となった。ツイッターには「何が何でも12を買う」「どのくらい新曲聴けるのか」と、発売を心待ちにする人が相次いでいる。