この胸筋が全てを変えた! - 映画『007/カジノ・ロワイヤル』より
 - Sony Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

写真拡大

 ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドとしての15年間を振り返るドキュメンタリー「ジェームズ・ボンドとして」が、Apple TV アプリにて期間限定で無料配信中だ。ダニエルと『007』シリーズのプロデューサーであるマイケル・G・ウィルソン&バーバラ・ブロッコリの率直な対談と、『007/カジノ・ロワイヤル』から最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』までの未公開映像から成る46分の番組となっている。

 ダニエルが“初の金髪のボンド”として6代目ジェームズ・ボンドにキャスティングされたのは37歳の時のこと。それまで出演してきたのは主にアート系の作品で、主役というよりも脇役として評価されていたダニエルは、「クールな役はやってこなかった。演じ方がわからないから嫌だった」とボンド役にも消極的だったが、ウィルソンとブロッコリは彼だけを希望。ダニエルは「脚本を読んでから断ればいいと思っていたが、それが出来なかった。素晴らしい内容で」と当てが外れてボンドになったことを笑って明かしている。

 しかし、世間やメディアのダニエルに対する目は厳しく、ダニエルは「僕は記者会見で不機嫌に(笑)。誰かの質問に『くだらない』と答えた。ぶっきらぼうだったと思う」と振り返る。それからメディアの攻撃は一層ひどくなり、「凡庸」「力不足」「国民の71%が反対」「最悪の選択」「シュレック的ヒーロー」「不快で醜い顔」とまだ誰もダニエルが演じるボンドを見ていないのにもかかわらず、罵詈雑言を浴びせられた。「ある人からネットを見ろと言われ、『何だろう?』と思った。一晩中ネットを見たよ。現実を受け止めようと全て読んだ。かなりひどかった。悪意に満ちていた。それでも翌朝起きた時には『クソくらえ』と思ったよ。いい映画になると自信があったからね」

 あまりの悪評にすでに撮影に入っていたスタッフ全員が怒り心頭で、ダニエルの方が「心配いらない。これは特別な映画になる」となだめる事態に。役を引き受けたからには「ボンドに見えないとダメだ」と決心していたダニエルは、パーソナルトレーナーと共に週7日の劇的な肉体改造にも取り組んでいた。

 そして、全てが変わったのがボンドとして海パン姿で海から上がるダニエルの写真をパパラッチに撮られたこと。写真が公表されるや、ダニエルの鍛え上げられた肉体に世間の反応は酷評から絶賛にがらりと変わったといい、「ダニエルは突然、世界一クールな男になったの」とブロッコリたちは大笑いしながら振り返っていた。

 「ジェームズ・ボンドとして」ではこのほか、よりよい作品にするためなら議論もいとわなかったダニエルが意見した結果生まれた名シーンの裏話や、『007/カジノ・ロワイヤル』の成功により自身を取り巻く環境が激変して苦悩していたダニエルをヒュー・ジャックマンが救ったこと、ボンド引退作である『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』撮影最終日の感動的なスピーチ、ダニエルのボンド役への深い思いなども明かされている。

映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は10月1日より日本公開