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全国で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、8月24日に開幕する東京パラリンピックで小中高生らが競技を観戦する「学校連携観戦プログラム」の実施に疑問の声が上がっている。

毎日新聞(8月19日)によると、東京都内では8つの自治体と都立学校23校の生徒計約13万2000人が参加の意向を示しているというが、8月18日に開かれた都教育委員会では出席した教育委員4人全員が反対(1人欠席)する意見を述べた。ただ、委員の議決を取らない報告事項であるため、実施の決定に影響することはないそうだ。

都の教育庁は弁護士ドットコムニュースの取材に「教育委員の意見は大変重要なので、様々な意見が出れば次回改めて修正案を報告することもあるが、今回は来週東京パラリンピックが開幕するので、そうした時間的な余裕もないのが実情」と話す。

●専門家「議決を要するべき事案」と批判

中京大学の大内裕和教授(教育社会学)は「学校連携観戦プログラムは明らかに議決を要するべき事案で、報告事項と扱っていることが問題だ」と指摘する。

都の担当者によると、委員会が議決をとる事案は「東京都教育委員会事案決定規程」に定められている。教科書の採択や教員の懲戒、任免などに関することは議決を必要とするが、個別の事業については「教育委員にご意見いただき事務事業の進め方を見直すことはあるが、議決をすることは通常ない」という。

大内教授は「パラリンピックそのものを開催してはならない感染状況や医療体制になっている。まして、無観客開催を決めたのになぜ子どもたちだけ行かせるのか、納得いく説明がなされていない。デルタ株は従来株よりも子どもの感染リスクが高いとされているのに、大人は無観客にして、児童生徒だけ行かせるというのは論理的に成り立たない」と批判した。