スマートフォンで災害から身を守る方法! 緊急時での正しく活用するための注意点と心得え

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ここ数年、夏になると特に自然災害のニュースが増える。
台風や大雨による土砂崩れ、道路や鉄道の寸断……一昔前よりも明らかに大きな災害が起きていると、誰もが感じているのではないだろうか。

大雨や酷暑は地球温暖化との関連性も指摘されているが、これらは「異常気象」ではなく、「毎年起こる気象」になりつつある。
また夏から秋にかけては台風もやってくる。この台風も、近年では巨大化する傾向がみられる。そして遠からず起きると予想されている巨大地震も心配だ。

私たちはさまざまな災害に備え、災害から身を守らなければならない。

そこで、必要になるのが防災対策だ。
現在は、科学技術が進み、地震速報や避難情報など、迅速で正確な情報が提供されるようになってきた。

しかしそれだけでは十分とは言えない。自分に役立つ情報を得てから、災害から身を守り、また災害発生後にも正しい行動をする。

そのために欠かせないのが、常に携帯している「スマートフォン」である。
そこで災害に役立つスマートフォンの使い方、3つのポイントを紹介しよう。


●アプリで災害の予兆をチェック
災害から身を守るために、最も重要なのは「災害を予見し、状況に応じて避難すること」だ。そのためにアプリが役立つ。

たとえば最低限必ず、1つの天気予報アプリはスマートフォンにインストールしておこう。最近の天気予報は、時間ごとの天気に加えて、降水量や雨雲レーター、雷レーダーなど多くの情報を得ることができる。避難情報が出れば通知が届く。少し前までは予測不可能だったゲリラ豪雨もだんだん分析できるようになってきた。


「YAHOO!天気」アプリの「雨雲レーダー」。


もし朝の天気予報で「今日は局所的な大雨が予想されます」と聞いたら、
・天気予報アプリで雨雲をチェックする。
・避難情報の通知が届いたらすみやかに安全な場所に移動する。
これだけでも大雨による洪水災害から身を守ることができる。

これは台風や落雷にも有効だ。
地震予知のように未だ科学を駆使しても現実的には難しいとされるものもあるが、アプリなら地震直後に通知される津波情報が命を救うことになる。

1つめのポイントは、まずはアプリを使い「災害が起きそうなとき、起きたときの危険性」をできるだけ早くキャッチすることだ。


●災害発生、まずは何をするか
もし災害が発生し、自分の身に危険が及ぶ可能性が発生したら、
安全な場所に避難することが最優先となる。

しかしこのとき、大きな問題が起きる。
多くの場合、災害直後にはスマートフォンの回線がつながりにくい、またはつながらないケースが発生する可能性があることだ。
設備の故障や回線の混雑などで、「ネットが使えない」状態がしばらく続くこともある。
携帯電話各社は、災害時の回線保持に資金を投じて、災害後でも回線の保持ができる体制を強化しているが、そうした備えを上回る災害が発生する可能性は常にあるのだ。

そこでスマートフォンがネットにつながるまでは、ラジオを持っておくとよい。
停電でテレビが使えなくても、多くのラジオは一次電池で使える。
スマートフォンでの回線が復活するまでの間、情報はラジオから得ることができる。

ではスマートフォンが役に立たないかといえばそうではない。
停電で真っ暗な中でもスマートフォンのライトは懐中電灯の代用として利用できる。
ライトは万が一どこかに閉じ込められても救出を求める合図にも使える。

またスマートフォンを持っているだけで、GPSによって自分の位置を送信しているため、位置情報を使って捜索も可能だ。

ただし、スマートフォンのバッテリーを使いきらないように注意が必要だ。
なぜなら災害時は、災害エリアで停電が発生する可能性もあり、いつスマートフォンを充電ができるかわからないからだ。スマートフォンのバッテリーが切れてしまえば、モバイル回線が復旧した際に、連絡を取ることもできなくなってしまう。


スマートフォンのライトが停電時に役立つ。iPhoneなら画面右上を下方向にスワイプして懐中電灯のアイコンをタップ。真っ暗な場所でもすぐ起動できる。


2つめのポイントは、災害発生直後から回線が復旧するまではスマートフォンの機能を有効に使い、バッテリー消費には注意をすること。もちろんモバイルバッテリーなど、災害に備えて予備のバッテリーを用意しておくことも大切だ。


●正確な情報を見抜く力をつけておこう
さて、災害時に回線が復旧して、ネットがつながるようになれば、最新の詳細情報が収集できる。

そこで注意しないといけないのが、ネットには多くのデマで溢れていることだ。
特に災害時のSNSには、必ずと言っていいほどデマが広がる。
もちろん災害時のSNSには有益な情報もたくさんあり、情報ソースと欠かせないのだが、一部のデマ情報により、行動を誤ったり、被害を受けたりすることも多い。

普段であれば「大丈夫、そんなウソは見抜ける」と思っていても、自分が被災して追い込まれてしまった状況下では、デマに引っかかってしまうこともあるのだ。

そこで普段から、正確な情報を見抜く力を付けておくことが大切だ。
たとえば行政機関の公式サイトやアプリの情報であれば信頼できる。
誰でも知る放送局や新聞社のサイトも信頼できる。

非常時の情報は、確実に信頼できる情報源から得るように普段から心がけておくと良い。
また、安否確認にはキャリアが設置する「災害用掲示板」が役に立つ。

災害時のSNSには、情報の速報性や詳細情報が多く、役に立つのは事実だ。
そこで身に付けてほしいのは、「SNSの情報は裏を取る」ということ。
SNSで知った情報は、すぐに鵜呑みにせず、別のSNSやニュースサイトなどを使い、同じ情報があるかを確かめ、真実であるか否かを確かめることが大事だ。
周囲の知人などに聞き、情報の確実性を確認するのもよいだろう。

一刻を争う場面でも、ネットで何カ所か検索するだけで、誤情報やデマを見分けられる。
事実確認にはそれほど時間はかからないので、慌てないことが肝要だ。

3つめのポイントは、災害時の情報は、ほんの少しだけ時間をかけて「裏を取る」ことを忘れないようにすることだ。慌ててデマに騙され間違った行動をしたら取り返しがつかないことになるケースも多いからだ。

スマートフォンを使った防災対策はまだまだあるし、災害の種類や状況によっても活用法は変わってくる。

防災対策をまとめた本なども多く出ているので、特に災害時でも持って出られそうなものを用意しておくのも身を守るよい対策となるだろう。


東京都が住民向けに配布した防災マニュアル「東京防災」は、好評で全国販売された。



スマートフォンを使った防災の心得がわかりやすく紹介されている「スマホで防災」(ジャムハウス)。



執筆 八木 重和